Arai Koh's Shogi Life

将棋ライター・アライコウのブログです。将棋について書いていきます。

再びプロ棋士への道のりを。鈴木肇アマ名人が公式戦登場

 明日、第45期棋王戦の予選で藤倉勇樹五段vs鈴木肇アマの対局が行われます。

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 アマチュア出場枠のある公式戦はいくつかありますが、棋王戦はアマチュア名人戦の優勝者1名が出場できます。
 このたびアマ名人として挑戦する鈴木さんは、元奨励会三段の強豪です。普段は将棋講師として活動する中、アマチュアプレイヤーとしても実績を築いています。最近は将棋漫画『リボーンの棋士』の棋譜監修者としても知られます。

 そして鈴木さんは、再びプロ棋士を目指す意欲があると語っておられます。

bunshun.jp

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 プロ編入試験の受験資格を満たすには、あまりにも長い道のりがあります。今はまだ具体的なイメージはないかもしれませんが、明日の対局がその夢への第一歩となるでしょう。
 今年度のアマチュアの活躍には目を見張るものがありますが、はたして鈴木さんも勝ち進むことができるでしょうか? 熱戦が期待されます。

リボーンの棋士 (2) (ビッグコミックス)

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出演俳優が逮捕……映画『泣き虫しょったんの奇跡』は無事にリリースできるのか

 この将棋ブログでこんな気の滅入る話題は取り上げたくなかったですが、俳優の新井浩文容疑者が逮捕されるという事件がありました。私も新井(字も同じ)なので余計気が滅入ります……。
 重大な事件を起こした俳優が出演するドラマや映画が、放送延期または中止になるのは残念ながら見慣れた光景です。その影響はインターネット番組にも及び、たとえばNHKオンデマンドでは10作品が配信停止になっています。

www.sponichi.co.jp

 

 新井容疑者は昨年秋に公開された瀬川晶司六段原作のノンフィクション映画『泣き虫しょったんの奇跡』にも出演していました。演じたのは清又勝という奨励会員で、モデルは勝又清和六段です。
 瀬川さんと勝又さんが奨励会で対局したとき、そのエピソードは生まれました。勝又さんは秒読み中にトイレに駆け込まざるを得なくなったのですが、瀬川さんが何でもいいからさっさと指してしまえば、時間内には間に合わず負けの可能性が高いという状況でした。
 しかし瀬川さんは次の手を指さず、勝又さんが戻るまで待ちました。そして対局に負けてしまう……勝負師に徹しきれない瀬川さんを描いた、原作の中でも印象的なエピソードです。

 新井容疑者はメインと言えるほどの役どころではなかったのですが、かといってこのシーンを削除してしまうようなことは、作品にとって決して見逃せない瑕疵となります。
 本作のBlu-ray&DVDは来月下旬に発売予定です。はたしてノーカットで無事にリリースされるのでしょうか? 今までの事例を考えると、このシーンは容赦なく削除されてしまうことが濃厚に思えますが……。CS放送などでも、本作が放映されるのはだいぶ先になってしまいそうです。被害者のケアが第一というのは当然ですが、自粛が行きすぎてはいけないとも声を上げていかなければならないでしょう。

81Dojoのスマホアプリ版がリニューアル! 抜群に使いやすく

【参考記事】ネット将棋でもっとも正確な段級位を測れるのは81dojoだろうという話

 以前に紹介記事を書いたこともある81Dojoですが、PC版だけでなくスマートフォンアプリ版もあります。それがこのたび、フルリニューアルと銘打ったアップデート版が配信されました。

play.google.com

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 さっそくダウンロードして対局してみました。以前は操作性や安定性などの面でイマイチという印象でしたが、ずいぶん使いやすくなったなという印象です。PC版とまるで変わらない機能が嬉しい。
 81Dojoユーザーはインストールしておいて損はないでしょう。今回のアップデートはAndroid版ですが、iOS版のアップデートも待たれます。

あの『Bonanza』開発者・保木邦仁さんがコンピュータ将棋選手権に帰ってくる!

 ゴールデンウィーク恒例の世界コンピュータ将棋選手権、今年も5月3日~5日に開催されます。

www2.computer-shogi.org

 さて、現在のコンピュータ将棋の礎となったソフトは何かといえば、多くの人が『Bonanza(ボナンザ)』を挙げるでしょう。

Bonanza - The Computer Shogi Program

 開発者は化学者の保木邦仁さん。ご自身はほとんど将棋をご存じないそうですが、コンピュータ将棋界に颯爽と現れたBonanzaは、2006年の第16回世界コンピュータ将棋選手権で優勝します。さらには2007年、渡辺明竜王(当時)と互角の勝負を演じて話題になりました。
 その後Bonanzaのソースコードが公開され、他の開発者たちが活用するようになります。それらはボナンザ・チルドレンとも呼ばれ、将棋ソフトの全体的なレベルが一気にアップしていきました。

 Bonanzaはこのようにコンピュータ将棋界に大きな影響を与えましたが、自身は2014年の大会を最後に出場していませんでした。ところが今年の参加チームの中に、保木邦仁さんのお名前が確認できます。
 チーム名はTeam Aoba Zero。メンバーの中に、第3回電王戦で豊島将之七段(当時)と戦った『YSS』の山下宏さんのお名前もありますね。
 いったいどういう経緯で、このメンバーで出場することになったのか? いずれアピール文書が公開されると思うので、その時を心待ちにしましょう。

コンピュータは将棋をどう変えたか? (マイナビ将棋BOOKS)

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小学生棋士で16歳竜王でA級で。新将棋漫画『龍と極北』連載開始!

 将棋連盟サイトのお知らせで知ったのですが、またまた新しい将棋漫画が誕生しました。

cycomi.com

 Web漫画サイトのサイコミで連載開始された『龍と極北』。作者は矢倉千圓さん。検索しても情報が出てこなかったので新人さんでしょうか。監修は村中秀史六段です。

もっとも長く苛烈な棋戦「名人戦」に人生を賭ける精鋭棋士たち!!!
天才達の華麗な将棋に酔いしれろ!!

 将棋担当に異動させられた、将棋をよく知らないスポーツ誌記者の真当莉央。彼女が取材するのは順位戦A級への昇級に挑む龍角よつは竜王。はたして勝負の行方は……。

 第1話はこんなストーリーです。主人公の龍角よつはの設定がまた、てんこもりというか。小学生で棋士になった、現在16歳の竜王。そしていよいよA級に手をかけようとしている――今の将棋界は現実離れしたニュースが多すぎるので、このくらいやらないとフィクションとして映えないのでしょう。
 もうひとりの主人公(?)である真当莉央は、おそらく将棋をよく知らない読者の代弁者的な立ち位置ですね。

「初手2六歩」
「なるほど わからん」

 といった感じの彼女が、将棋を好きになる過程も描かれるのでしょうか。
 ともあれ将棋漫画としては奇をてらわず、正統派な作風という印象でした。長く連載されることを祈っています。

予約しよう! 『こんなレベルの低い将棋見たことがない!』の発売日が決定

【前回の記事】おめでとう! 『こんなレベルの低い将棋見たことがない!』が商業電子書籍化決定

 既報のとおり、安藤たかゆきさんの将棋漫画『こんなレベルの低い将棋見たことがない!』が、イースト・プレス社から商業電子書籍で発売されます。そして発売日も正式に決まったようです。

世は空前の将棋ブーム!
おもしろい将棋マンガもたくさん!
しかし自分は将棋を知らない…。
将棋の楽しさを味わいたい。
そこで一念発起した著者が
底辺から将棋王を目指す
進撃の実録コミックエッセイ!

 何度か当ブログでも紹介してきましたが、確かな面白さということは保証します。
 Kindle版はすでに予約が開始されています。予約していれば発売日には自動的に配信されますので、購入予定の方はさっそくいかがでしょうか。もちろん私も予約済みです。

 最後に安藤さん、本当におめでとうございます!

こんなレベルの低い将棋見たことがない!

こんなレベルの低い将棋見たことがない!

 

折田翔吾アマ、銀河戦で5連勝! 決勝トーナメント進出ほぼ確定か

【前回の記事】折田翔吾さん、銀河戦でプロ相手に4連勝! 決勝トーナメント進出はきわめて濃厚

 先ほどまで放映されていた第27期銀河戦本戦Aブロック5回戦、堀口一史座七段vs折田翔吾アマは、折田アマが勝利しました。

www.igoshogi.net

 堀口七段の先手矢倉に対し、後手の折田さんは居角左美濃で挑みました。つい数年前まで一番の流行戦法だった矢倉を激減させた急戦として知られますが、折田さんはこの戦法を入念に研究されていたようで、徐々に優位を拡大。見事折田さんの勝利となりました。

 これで折田さんは5連勝で、最多連勝者になれることはまだ確定してはいません。しかしなれないパターンというのは、

  • 次戦で豊川孝弘七段が勝利する
  • 以降、豊川七段が5連勝してブロック決勝で中村太地七段に敗れる

 この「最多連勝者が豊川七段、最終勝ち残り者が中村七段になる」という1パターン以外にありません(同じ連勝数の場合はトーナメント上位者が選ばれる)。
 まだ確定ではないとはいえ、折田さんの決勝トーナメント進出はきわめて可能性が高そうです。もちろん次戦で勝てば、文句なしで確定です。

銀河戦で木村孝太郎さんも4連勝! 2人のアマが決勝トーナメント進出の可能性

 Gブロックでは木村孝太郎さんも4連勝していますし、本当に楽しみになってきました!

【続きの記事】折田翔吾アマ、銀河戦決勝トーナメント進出決定! 瀬川晶司六段以来の快挙

朝日杯に前年度覇者・藤井聡太七段が登場! 相手は以前敗れた稲葉陽八段

 第12回朝日杯将棋オープン戦、本戦がいよいよ開幕しました。そして明日20日、前年度の覇者である藤井聡太七段が登場します。
 前年度は当ブログでも記事を書いていましたが、あまりにも世間の反響が大きかったためか、うちのような弱小ブログでさえアクセス急上昇を記録するほどでした。

araishogi.hatenablog.com

 明日の藤井七段の対局相手は稲葉陽八段です。藤井七段は以前、NHK杯テレビ将棋トーナメントにおいて稲葉八段と対局しており、敗れています。

NHK囲碁と将棋 -NHK杯テレビ将棋トーナメント 棋譜再生-

 もちろん藤井七段は当時とは比較にならないほど成長しており、前回のようにはいかないと静かに燃えていることでしょう。
 一方の稲葉八段は、今期A級順位戦で降級の危機にあり、年度成績でも現状負け越しています。本調子とは言えそうにないですが、だからこそ藤井七段に勝って今後に弾みをつけたいと思っているはずです。

 対局は午前10時スタートです。NHK杯の放送とかぶりますが、PCでも中継が見られるので同時にチェックしましょう!

天才 藤井聡太 (文春文庫)

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新型雁木のすべて (マイナビ将棋BOOKS)

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谷川浩司九段と都成竜馬五段、大注目の師弟戦!

 明日1月18日、第60期王位戦の予選決勝で谷川浩司九段と都成竜馬五段の対局が行われます。

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 都成五段については以前に記事を書いたことがありますが、谷川九段の唯一の弟子であることは将棋ファンにはよく知られているところです。

araishogi.hatenablog.com

 谷川九段は名人位を通算5期獲得した十七世名人の有資格者ですが、王位は6期獲得と、名人以上の期数を誇ります。そして今回リーグ入りすれば、数々の名勝負を演じた羽生善治九段との対局数更新(現役では最多)が期待されます。
 実績と経験ではとても敵わない都成五段ですが、何と言っても若さと勢いがあります。この偉大な師匠を破って初の王位リーグ入りを果たす可能性は決して低くありません。

 誰もが待ち望んだ師弟戦の実現です。携帯中継されますので、注目しましょう。

光速の終盤術 (将棋連盟文庫)

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振り飛車最前線 対中飛車 角道不突き左美濃 (マイナビ将棋BOOKS)

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銀河戦で木村孝太郎さんも4連勝! 2人のアマが決勝トーナメント進出の可能性

 1月15日に放映された第27期銀河戦の本戦Gブロック4回戦、長沼洋七段vs木村孝太郎アマは木村アマが勝利しました。

www.igoshogi.net

 戦型は相穴熊で、長沼七段がプロの貫禄を示しずっと優勢に進めていたのですが、致命的な見落としから一気に形勢逆転。そして秒読みに追われた長沼七段が、二歩の反則をしてしまうという衝撃の結末でした。

www.toonippo.co.jp

 

 さて、何度か当ブログでも書いていますが、本戦Aブロックでもうひとりのアマチュア・折田翔吾さんが勝ち進んでいます。

折田翔吾さん、銀河戦でプロ相手に4連勝! 決勝トーナメント進出はきわめて濃厚

 ふたりのアマが同時に4連勝という、相当にすごい事態になってきました。この両名が最多連勝者として決勝トーナメントに出場できる可能性は高いです……というより、そう望まずにはいられません。
 折田アマの第5回戦は1月22日に放映です。まずはこちらを楽しみにしましょう!

【続きの記事】木村孝太郎アマ、銀河戦の連勝ストップ。しかし決勝トーナメント進出の可能性はあり