Arai Koh's Shogi Life

将棋ライター・アライコウのブログです。将棋について書いていきます。

戦型・戦術

明治27年の棋書に「棒銀」の単語を確認できました

【前回の記事】江戸時代から「馬鹿銀」と言われていた棒銀戦法 前回の記事で、1909年(明治42年)の棋書に「棒銀」の単語が記述されているのを確認しましたが、またひとつ進展がありました。 国立国会図書館オンライン | National Diet Library Online 1894…

江戸時代から「馬鹿銀」と言われていた棒銀戦法

【前回の記事】「棒銀」という戦法名はいつから見られるようになったのか 棒銀という単語の初出はいつ頃なのか、というのを調べているわけですが、新しい史料に行き当たりました。 1909年(明治42年)に将棋新報社から刊行された『獨習速成 将棋定跡解 全』…

「棒銀」という戦法名はいつから見られるようになったのか

私が一番好きな戦法は棒銀です。加藤一二三九段の影響が大きく、相手が居飛車でも振り飛車でもよく使っています。 で、前々から気になっていたのですが、そもそも棒銀という戦法名はいつから見られるようになったのか……ということです。飛車先に銀を繰り出し…

新たなる棒銀の使い手! 服部慎一郎三段が公式戦連勝

若手棋戦のひとつ、第9期加古川清流戦が進行中です。 加古川青流戦 |棋戦|日本将棋連盟 この棋戦には奨励会三段にも出場枠があるのですが、今日は服部慎一郎三段が登場しました。富山県出身の中田章道七段門下で、2013年に6級で奨励会入会、2017年に三段と…

森内俊之九段、次戦は藤井聡太七段と対局。ところで最近矢倉ってどうなの?

本日行われた大阪王将杯王将戦の一次予選にて森内俊之九段vs田中寅彦九段の対局が行われ、先手の森内九段が勝利しました。 www.shogi.or.jp 両者は矢倉を得意とする、居飛車党の本格派。今回の戦型も矢倉でした。といっても双方ががっちり金矢倉に組み合う形…

これぞ加藤流! 角換わり拒否△4四歩戦法

今日明日と、第31期竜王戦七番勝負の第2局が行われています。羽生善治竜王が突き放すか、広瀬章人挑戦者が1勝1敗のタイに戻すか、要注目です。 【第31期竜王戦 七番勝負】本日9時より、羽生善治竜王(後手) vs.広瀬章人八段(先手)の第2局初日を生放送中です…

女流王位を翻弄! 島本亮五段の独創的すぎる駒運びを見よ

昨日は順位戦B級1組での菅井竜也七段の反則負けが大きな話題になりましたが、囲碁・将棋チャンネルで放映された銀河戦も、なかなか衝撃の将棋でした。 対戦カードは渡部愛女流王位vs島本亮五段。LPSA所属の渡部さんは、今まぎれもなく女流棋士のトップグルー…

四間飛車vs居飛車急戦……なのか? 川上猛七段vs田中悠一五段戦を振り返る

ここのところタイトル戦、A級順位戦、王将戦リーグ、JT杯などトップ棋士同士の注目戦が目白押しですが、中堅棋士にも注目すべき戦いが少なくありません。 10月1日、第67期王座戦の一次予選で川上猛七段vs田中悠一五段が行われました。これがまたアマチュア好…

初級者から有段者までおすすめ! 『奇襲の王様 筋違い角のすべて』

奇襲戦法の一種に「筋違い角」というものがあります。 ▲7六歩、△3四歩となったら角交換し、即座に▲4五角と打ちます(初型の筋からずれるので筋違い角と言います)。この局面、後手は▲6三角成とされるわけにはいかないので、その地点を銀か金で守ることに…

相手を一番悔しがらせる? 『将棋・究極の勝ち方 入玉の極意』

藤井聡太七段の師匠として一般にも広く知れ渡るようになった杉本昌隆七段ですが、このたび意外な棋書を刊行されました。 将棋・究極の勝ち方 入玉の極意 (マイナビ将棋BOOKS) 作者: 杉本昌隆 出版社/メーカー: マイナビ出版 発売日: 2018/09/12 メディア: 単…

電子書籍時代の今、アマチュアでも気軽に戦術書を出せるのです

将棋界で戦術書を出すのは、もちろんプロが大多数なのですが、しばしばアマチュアが出版することもあります。そのあたりのことは以前に記事にしたことがありました。 araishogi.hatenablog.com とはいえ出版社から出すためには、編集部の目に止まらなければ…

振り飛車党必見! 久保利明王将の最新振り飛車講座がスタート

7月になり、囲碁・将棋チャンネルに最新の将棋講座が加わるのですが、そのラインナップにいささか驚きました。 www.igoshogi.net 久保利明王将の「久保流! 攻める振り飛車」。まさかの現役タイトルホルダー&A級棋士の登場です。以前にNHKの将棋フォーカスで…

初心者必見! 窪田義行七段の奇襲戦法講座

将棋連盟サイトのコラムの中には、プロ棋士による戦法の紹介があるのですが、このたび非常に興味深いシリーズがスタートしました。 新連載スタート!#窪田義行 七段のわかりやすく面白い解説で奇襲戦法を学びましょう!#将棋コラム #奇襲戦法https://t.co/HM…

佐藤慎一五段がNHK杯で森内俊之九段に挑んだ「極限早繰り銀」とは?

本日放映されたNHK杯テレビ将棋トーナメント、森内俊之九段が佐藤慎一五段を破り、2回戦進出を決めました。 両者はこれが初手合いでした。永世名人の有資格者であり、居飛車の大家である森内九段を相手にして、佐藤五段はインタビューの段階でちょっと緊張気…

初心者にもオススメ! 一年一度のお楽しみ『新手年鑑』

毎年5月、『将棋世界』の別冊付録に『新手年鑑』というものがつきます。 新手年鑑2018年版(将棋世界2018年6月号付録) 出版社/メーカー: マイナビ出版 発売日: 2018/05/05 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る その1年、公式戦で出現した新手を…

読む将必見、駒落ち定跡のバイブル『将棋大観』が復刻!

戦前から戦中にかけて無敵を誇り、将棋界の中心であり続けた木村義雄十四世名人。 この人の業績はたくさんありますが、その中のひとつに定跡の整備があります。当時は満足な定跡書がなかったと述懐する木村名人は、アマチュアが楽しんで学べるようにと、この…

コンピューター将棋研究の第一人者、suimon氏が書籍を刊行!

棋書を刊行するのは、何もプロだけの特権ではありません。そう多くないことではあるのですが、アマチュアが刊行することもあります。 古くは元奨励会三段・鈴木英春さんの『英春流かまいたち戦法』。金子タカシさんの『○○の手筋』シリーズはロングセラーです…

窪田義行七段の将棋講座が囲碁・将棋チャンネルで再放送

囲碁・将棋チャンネルの将棋講座は新旧いろいろあるのが特徴ですが、4月13日(金)からこの方の講座が再放送されます。 www.igoshogi.net 【窪田義行の「相振り飛車解析~囲いと端と角道~」】 窪田義行七段は独特の指し回しが持ち味の振り飛車党。相振り飛…

囲碁・将棋チャンネルの新講座、ちょっと振り飛車党に厳しい

居飛車党と振り飛車党。それは永遠にわかり合えぬ敵同士。出会ったならばどちらかが倒れるまで戦う運命――。 というのは冗談ですが、居飛車と振り飛車の対抗型が将棋の永遠のテーマであることは確かでしょう。これをテーマにした定跡書はいくつも発売されてき…

今年度の升田幸三賞を予想する

4月頭に発表される将棋大賞、もっとも注目されているのはやはり、藤井聡太六段の4部門(最多対局賞、最多勝利賞、勝率1位賞、連勝賞)独占なるかどうかです。この分だと、かなり可能性は高そうですね。 しかし私がいつも注目しているのは、升田幸三賞です。…

飛車を詰ませ! 意外すぎるテーマの戦術書が登場

今日もつらつらとAmazonで将棋の新刊を調べていたのですが「おおっ?」と唸らざるを得ないものを発見しました。 史上初の詰飛車問題集 作者: 石田直裕,タカ大丸 出版社/メーカー: 主婦の友社 発売日: 2018/03/22 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品…

絶対王者に急戦で挑む! 八代弥六段-羽生善治竜王戦を振り返る

この週末にいよいよ開幕した、第11回朝日杯将棋オープン戦の本戦。今日は佐藤名人に藤井四段が勝利したことが話題となりましたが、それと同等以上に盛り上がったのが、昨日の八代弥六段vs羽生善治竜王戦です。 羽生竜王はこれまでに5回の優勝を誇り、実績で…

三枚堂達也六段、なんと棒銀で四間飛車撃破!

1月4日、群馬県高崎市の「ヤマダ電機LABI1高崎」において、上州将棋祭りが開催されました。今年で第8回を迎える新春恒例の将棋イベントです。 このイベントではプロ棋士の席上対局が行われますが、そのひとつ三枚堂達也六段-戸辺誠七段戦で驚愕の展開が繰り…

増田康宏四段の雁木講座がはじまる!

囲碁・将棋チャンネルでは3ヶ月おきに新しい将棋講座がスタートしますが、ついにあの戦法の講座が! 【最新講座】本日21:40~放送!増田康宏の将棋講座 「ザ・雁木」(全26回)新人王戦2連覇の若手トップ棋士・増田康宏四段による新講座。評価が見直され、再…

「ノーマル四間飛車」という言葉はいつ生まれたのか

先日の記事を書いていて、ふと気になったことがありました。 角道を止める、従来型の四間飛車――今では「ノーマル四間飛車」と呼ばれることも少なくないですね。 そもそも何がノーマルなのかといえば、角交換型の四間飛車の採用が増えたことで、それと区別す…

急戦はいまだ死なず! 青野照市九段、四間飛車相手に会心の勝利

先日12月8日、棋聖戦二次予選において青野照市九段と阿久津主税八段との対局が行われました。 将棋ファンが驚き、あるいは喜んだのは、その戦型でした。 後手阿久津八段の角道を止める従来型の四間飛車に対し、先手青野九段は左の銀を5七から4六へと繰り出…

加藤一二三九段も愛用した右四間飛車が今熱い!

右四間飛車。その名のとおり、右から見て四筋目に飛車を据えて戦う戦法です。飛車を振るのですが振り飛車ではなく居飛車の戦法です。 将棋の攻めは飛車角銀桂と言いますが、それを一点に集中させるこの戦法はまさに破壊力抜群。棒銀と同じく狙いがわかりやす…