初級者から有段者までおすすめ! 『奇襲の王様 筋違い角のすべて』
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奇襲戦法の一種に「筋違い角」というものがあります。
▲7六歩、△3四歩となったら角交換し、即座に▲4五角と打ちます(初型の筋からずれるので筋違い角と言います)。この局面、後手は▲6三角成とされるわけにはいかないので、その地点を銀か金で守ることになりますが、そうすると先手は3四にある歩を確実にせしめることができます。
そしてこの戦法のメリットはもうひとつあり、後手は角成りを防ごうと動かした銀や金が邪魔をして、飛車を振れなくなります。
すなわち「振り飛車封じ」戦法でもあります。アマチュアは振り飛車を愛用する人も多いので、その時点で戸惑わせることもできるわけです。
そんな筋違い角戦法ですが、現在のプロ間では「一歩確実に得られるメリットより、角を温存しているメリットのほうが大きい」とされ、公式戦で見ることはまずありません。しかしこの戦法を愛用していた棋士もいました。2014年に引退した武市三郎七段です。
#ShogiLive 牛蒡@東京>本日は第27期竜王戦のランキング戦6組、▲武市三郎六段-△田丸昇九段戦を中継しています。戦型は武市六段が得意とする「筋違い角戦法」。普段の中継ではまず見られない作戦です。田丸九段の対策も参考になると思います。
— 日本将棋連盟モバイル (@shogi_mobile) 2013年12月23日
これは2013年末のことですが、私もこの対局を見ていました。めったに見られない戦型ということで、少なくない将棋ファンが盛り上がっていた記憶があります。
私の考えでは、使われないというのはあくまでプロ間の話、アマチュアの間なら十分に通用します。実際、痛い目に遭ったことが何度もあります。
筋違い角を指してみたいという人は結構多いと思うのですが、朗報です。このたび武市七段が筋違い角の集大成というべき戦術書を出版されます。
『奇襲の王様 筋違い角のすべて』。非常にストレートなタイトルですね。共著として名を連ねている美馬和夫さんは、アマチュア強豪として知られている方です。
「この本を読み、相手が読んでいなければ、きっと面白い戦いができるでしょう」
とのことで、何かひとつ隠し球を身につけたい人にはピッタリではないでしょうか。