今年度の升田幸三賞を予想する
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4月頭に発表される将棋大賞、もっとも注目されているのはやはり、藤井聡太六段の4部門(最多対局賞、最多勝利賞、勝率1位賞、連勝賞)独占なるかどうかです。この分だと、かなり可能性は高そうですね。
しかし私がいつも注目しているのは、升田幸三賞です。
「新手一生」を掲げた昭和の大棋士・升田幸三にちなんだこの賞は、新手や妙手を指した棋士、定跡の進歩に貢献した棋士に与えられます。
直近5年の受賞者を見ると、以下のようになっています。
第40回 | 藤井猛「角交換四間飛車」 |
第41回 | 松尾歩「横歩取り△5二玉型」 |
第42回 | 菅井竜也「中飛車左穴熊やゴキゲン中飛車、早石田など数々の戦法における新工夫に対して」 ・升田幸三賞特別賞 塚田泰明 「塚田スペシャル」 |
第43回 | 富岡英作「角換わり腰掛け銀富岡流」 |
第44回 | 千田翔太「対矢倉左美濃急戦」「角換わり腰掛け銀4二玉・6二金・8一飛型」 ・升田幸三賞特別賞 加藤一二三 「棒銀をはじめとする数々の新工夫」 |
これらを見ると、既存の戦法に新たな息吹を吹き込んだという感じの受賞が多いですね。おそらく今年度もそうなるだろうと思います。
今、一番ホットな戦法は何だろうか――と考えると、角換わり腰掛け銀、横歩取り、そして雁木です。
角換わり腰掛け銀は去年一昨年と受賞しているので、今年度は横歩取りか雁木ではと思います。
では横歩取りの新機軸とは? やはり勇気流でしょう。
佐々木勇気六段が指したことでその名が付いた、6八玉と上がる形です。連採するや高勝率を上げ、あっという間にプロ間で流行しました。飛車に近づくのでいかにも怖い形なのですが、これでバランスが取れているんですね。
一方の雁木です。とうに廃れた昔の戦法と思われていましたが、数々の工夫が加えられ現代に蘇りました。その立役者が増田康宏五段です。
これは昨年の新人王戦決勝戦第1局です。旧来の雁木は5七に銀があるものを言ったのですが、そうしないのが現代調。形を決めないのが重要ということでしょうか。
この2つ、どちらも升田幸三賞にふさわしいと思いますが、すっかり定着したという意味では勇気流に軍配が上がる気がします。
というわけで、本命は「横歩取り勇気流▲6八玉型」。これが受賞時の正式な名称になると予想します。