LPSA再びの悲願へ向けて! 渡部愛女流二段の奮闘
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3月5日、女流王位戦挑戦者決定リーグ戦の最終戦が行われました。
白組優勝を決めたのは清水市代女流六段。女流タイトル獲得数は通算43期でぶっちぎりの第1位、4つのクィーン称号を保持するなど、言わずと知れた女流棋界の現役レジェンドです。
そして紅組優勝を決めたのはLPSA(日本女子プロ将棋協会)所属の渡部愛女流二段。2016年から2017年にかけてNHK「将棋フォーカス」の将棋講座の聞き手を務め、一躍顔を知られるようになりました。女流棋界期待の星のひとりです。
期待の星というのはむしろLPSAにとって、と言えます。
LPSA所属プロの成績はおしなべて低調です。発足以来タイトルに絡めた人は、今はもう引退・退会した石橋幸緒さんのみ(2007年、女流王位奪取。2008年防衛、2009年失冠)。決勝トーナメントやリーグ戦に進めること自体が少ないという状況です。そもそも将棋連盟と比べて、所属棋士の数が少ないのが大きな原因ですが……(総数15人のうち、現役は7人)。
渡部さんはデビュー時、いわゆる女流プロ認定問題に巻き込まれた悲劇の人です。どんな問題だったかあらためて書くことはしませんが、もし藤井聡太ブームに沸く現在に起こっていたら、将棋界の評判は相当に下がったかもしれません。それほどのネガティブなニュースでした。
渡部さんは自分の実力とは無関係なところで、大きな苦労を強いられました。
しかし本格的にデビューしてからはめざましい活躍を見せます。各棋戦の上位進出をはじめ、2015年には新人王戦で三枚堂達也四段(当時)を破り、男性棋士初挑戦にして勝利という快挙を成し遂げました。また新設棋戦の女子将棋YAMADAチャレンジ杯で初代女王になり、翌2016年にも優勝して連覇を達成します。
2017年には女流初段昇段後60勝の規定で女流二段に昇段しました。女流棋士は棋戦が少ないので、勝数規定での昇段は時間がかかるのですが、およそ3年半での達成はかなりのペースと言えます。
そして今回、女流王位戦の挑戦者決定戦にまでコマを進めました。5戦全勝とは実に見事な成績です。
タイトル挑戦となれば、LPSA所属としては石橋さん以来の悲願になります。相手は実績と経験ではるかに上回る清水さんですが、現役レジェンドをしても渡部さんの若さと勢いは脅威のはずです。
挑戦者決定戦は3月14日(水)に行われる予定。本格派居飛車党同士の熱戦が期待できます。