Arai Koh's Shogi Life

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四間飛車vs居飛車急戦……なのか? 川上猛七段vs田中悠一五段戦を振り返る

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 ここのところタイトル戦、A級順位戦、王将戦リーグ、JT杯などトップ棋士同士の注目戦が目白押しですが、中堅棋士にも注目すべき戦いが少なくありません。
 10月1日、第67期王座戦の一次予選で川上猛七段vs田中悠一五段が行われました。これがまたアマチュア好みの戦型となったのです。

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 後手のノーマル四間飛車に対して、▲5七銀左と上がった川上七段。プロ棋戦ではすっかり見られなくなった急戦の形です。棋譜コメントには「前例の数こそ多いが、今年に入ってからは飯塚裕紀七段しか指していないようだ。」との記述が。
 プロ間ではそれほどまでに勝ちにくいと見なされてしまっているわけですが、わりと最近には青野照市九段が阿久津主税八段に快勝した将棋があります。

araishogi.hatenablog.com

 こうした例もありますので、完全にプロの将棋から消えてしまうこともないのではと思います。
 さて川上田中戦ですが、すぐに駒がぶつかるかと思いきや、じりじりした展開に。

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 ただでさえ薄い先手玉をさらに薄くしてしまう金上がり。なかなか見た記憶がありません。
 このあと数手して、ついに開戦しました。終始混沌とした形勢でしたが、熱戦を制したのは居飛車側、川上七段でした。急戦の定義は早めに相手を攻めることですが、この将棋は急戦のようなそうでもないような、珍しく面白い形でした。
 いずれにしても四間飛車に対しては居飛車穴熊、プロだとどうしてもそうした将棋になりがちです。しかし忘れた頃にこういう戦型で戦ってくれるプロは貴重ですし、応援したいと感じます。

四間飛車の急所〈3〉 急戦大全(下) (最強将棋21)

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四間飛車破り【急戦編】 (最強将棋21)

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