Arai Koh's Shogi Life

将棋ライター・アライコウのブログです。将棋について書いていきます。

角の利きは3万回確認! 将棋ファン発の格言(?)が書籍に掲載

 今月末、こんな書籍が刊行されます。

将棋「初段になれるかな」会議 (扶桑社新書)

将棋「初段になれるかな」会議 (扶桑社新書)

 

 高野秀行六段の『将棋「初段になれるかな」会議』。ライターの岡部敬史さんと『将棋好きになりまして!』の漫画家さくらはな。さんが、級位者代表として高野六段と質疑応答するという形式のようです。級位者向けの本はたくさんありますが、新書サイズというのは珍しいかもしれません。

 で、一部将棋ファンがざわついているのが目次です。

第1章 常に「と金」を考えよ ~級位者が覚えるべき10の格言~
角の利きは3万回確認!

 角の利きを見落として大駒をただで取られたり、王手放置で負けになってしまうのは、アマチュアにはよくあることです。そういう凡ミスには重々気をつけて、何度も確認しましょうと言っているわけですね。
 これは別に昔からある格言というわけではなく、ごく最近、一部の将棋ファンが軽いノリで使うようになったというだけなのですが、まさかの商業本デビューです。

 Twitterで日時検索したところ、これが一番古いツイートのようです。
 将棋はプロとアマの距離がとても近いと感じますが、これもまたその一例なのかなと思います。

「読む将」なら一度は行ってみたい国会図書館

araishogi.hatenablog.com

 先日、調べ物のために初めて国会図書館に行ってみたわけですが、端的に言えば国会図書館とは日本中すべての書物が集まる場所です。つまり将棋関係の書物もどこよりも集まっています。

 たとえば将棋世界は戦前の1937年に創刊されましたが、一部を除いて創刊号から揃っています。2000年12月号まではすべてデジタル化されており、カウンターで手続きせずともPCで閲覧することができるのです。
※逆に資料保存の観点から紙の本を利用することはできません。

 書籍だけでなく、雑誌や新聞に掲載された将棋関係の記事もたくさん検索できます。江戸時代の古書さえもマイクロフィルムで保存されています。
 最近は「読む将」というファンの形もありますが、そういう人にとっては天国でしょう。私もまだ一度足を運んだきりですが、沼にはまるとはこういうことなのかな、と思ったりしました。

国立国会図書館入門 (三一新書)

国立国会図書館入門 (三一新書)

 

「三流は人の話を聞かない(以下略)」の調査のために国会図書館に行ってみました

【前回の記事】出典不明の羽生善治語録、書籍から削除される方向へ?

 先日、懸案の「三流は人の話を聞かない(以下略)」問題の調査のために、初めて国会図書館を訪れました。

 まあ国会図書館で調べるくらいのことは、すでにやってる方も少なくないと思うのですが、一度自分の手でやってみたかったのです。
 気になるのが「最近、羽生善治さんの本で読んだ(2003年後半時点)」という点です。しかし普通の新書や文庫にはいまだ見当たらないことを考えると、ちょっと見方を変えなければならない……そこで考えたのが「羽生さんが表紙の将棋世界ではないか」ということです。
 将棋世界には羽生さんが表紙を飾っているものがたくさんあるので、それを「羽生さんの本」と捉えることも、もしかしたらあるかもしれないと。それに長く羽生ファンをやっている人でも、何年も前の将棋世界を集めるなんてそうそうしないでしょうし、見逃されてきたということはありそうです。

 で、この日は2002年~2003年の将棋世界をメインに調査したのですが、何ひとつ成果はありませんでした。まあそう簡単にはいきません。
 いろいろとアプローチを模索したのですが、羽生さんと対談したことのある方を調べてみるのはどうだろうと考えました。
 そこでピックアップしたのが評論家・スポーツジャーナリストの二宮清純さん。羽生さんとは対談本や共著を出したこともあります。

簡単に、単純に考える (PHP文庫)

簡単に、単純に考える (PHP文庫)

 
歩を「と金」に変える人材活用術―盤上の組織論

歩を「と金」に変える人材活用術―盤上の組織論

 

 そうすると2000年9月号の将棋世界に、ちょっと気になる記述がありました。

相撲界に「二流は型がない。一流は型がある。超一流は、どんな相撲もとれる」という言葉がありますが、それを高いレベルで実践されている。固定観念にとらわれず、常に未知の世界と対峙している。そこに羽生将棋の魅力を感じます。(将棋世界2000年9月号 P46)

 第71期棋聖戦第4局、谷川浩司棋聖vs羽生善治四冠に寄せた「無言の会話」というエッセイの一部です。
 うーん、惜しい(?)。ともあれこの手の文法は将棋棋士ではなく、やはり評論家やジャーナリストが好む類のものだなと再認識しました。

 とても1日では調べきれなかったのですが、なんとしてもこの問題を解決したいので、また折を見て国会図書館に行ってみます。

プロ編入試験を目指す折田翔吾さん、銀河戦で3連勝!

 昨日放映された第27期銀河戦の本戦Aブロック3回戦で、アマチュアの折田翔吾さんが三枚堂達也六段と対局し、見事勝利を収めました。

www.igoshogi.net

 これで折田さんはプロを相手に3連勝です。以前も記事にしたとおり、銀河戦は最終勝ち残り者だけでなく最多連勝者も決勝トーナメントに進出できます。今回の勝利で、折田さんの決勝トーナメント進出はかなり現実味を帯びてきました。

 さて、折田さんは元奨励会三段ですが、瀬川晶司六段と今泉健司四段が辿った道――すなわちプロ編入試験への意欲をすでに示しています。

 プロ編入試験の資格を得るには、いいとこどりでプロ相手に10勝以上かつ勝率6割5分以上です。まだまだ先は長そうなのですが、ぜひとも頑張っていただきたいですね。

【続きの記事】折田翔吾さん、銀河戦でプロ相手に4連勝! 決勝トーナメント進出はきわめて濃厚

藤井聡太新人王、豊島将之二冠との記念対局が決定

 先月、新人王戦で優勝した藤井聡太七段。新人王戦の優勝者はタイトルホルダーとの記念対局が行われるのですが、その相手は誰になるのかと注目されていました。
 この記念対局、2005年以前は公式戦で、その相手を名人が務めていました。現在は非公式戦となっており、名人にかぎらずタイトルホルダーが登場することになっています。※参考:毎日新聞のツイート

 そして今回は、豊島将之二冠と決まったようです。

 今年に棋聖、王位と立て続けにタイトルを奪取し、いよいよ名実ともにトッププロの仲間入りをした豊島二冠。藤井七段も過去に対局していますが、敗北しています。

www.nikkansports.com

 非公式戦とはいえ、藤井七段にとってはリベンジの機会です。はたしてどのような対局になるでしょうか。棋譜は例年、しんぶん赤旗の新春企画として掲載されるようです。

将棋世界 2018年9月号

将棋世界 2018年9月号

 
将棋世界 2018年12月号

将棋世界 2018年12月号

 

応援しよう! 書籍化を目指す『こんなレベルの低い将棋見たことがない!』

【前回の記事】期待大! Web将棋漫画『こんなレベルの低い将棋見たことがない!』に新展開が

 Web将棋漫画『こんなレベルの低い将棋見たことがない!』に何やら新展開があることを先日記事にしました。
 そして昨日、詳細が発表されました。

matogrosso.jp

 イースト・プレス社のWebメディア「マトグロッソ」にて、あらためて連載です。
 個人が好きに描いてアップしていたのが、はっきり書籍化を目指して連載されるというのが今までと違うところです。

 安藤たかゆきさんは以前にも単行本を刊行されたことがあるのですが、Amazonレビューでも高評価です。

こころを病んで精神科病院に入院していました。 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)

こころを病んで精神科病院に入院していました。 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)

 

 日常コミックエッセイについてはすでに実績があるわけで、その実力は確かなものです。『こんなレベルの低い将棋見たことがない!』も書籍化されれば、必ずや評判になるはずです。というわけで将棋ファンのみなさん、ぜひ応援していきましょう!

屋敷伸之九段の御子息、屋敷陽希さんが芸能界入りへ

 今日は朝からビックリさせられるニュースがありました。

 屋敷伸之九段の御子息、屋敷陽希(はるき)さんが芸能事務所に入ったというのです。よく見ればその目鼻立ちが、屋敷九段に似ていますね。趣味や特技を見ると、まさに文武両道といった感じです。将棋については記載がないので、指されないのかもしれません。

 将棋棋士の家族や親族が芸能人というのはしばしば例があります。近年将棋ファンを驚かせたのは、NHK連続テレビ小説『あさが来た』に出演した森下大地さん。父親は森下卓九段です。
 お笑いタレントのハブサービスは本名が羽生幸次郎さん。羽生善治竜王の従弟に当たります。

 屋敷陽希さんもぜひ、大きく羽ばたいてほしいものです。このことに関して屋敷九段のコメントも、そのうちニコ生などで聞けるかもしれませんね。

連続テレビ小説 あさが来た 完全版 ブルーレイBOX1 [Blu-ray]

連続テレビ小説 あさが来た 完全版 ブルーレイBOX1 [Blu-ray]

 

ハードル高すぎ! 短編恋愛将棋漫画『将棋、私に勝てたら』

 11月17日は将棋の日でした。さまざまな個人、団体、企業が将棋と関連づけて盛り上がっていましたが、こういった作品も生まれていました。

 恋愛漫画を手がけられている「せいほうけい」さんの『将棋、私に勝てたら』。わずか4ページの中で、見事に起承転結しています。

 好きになった人が将棋をやってる人だった――というのはひとつの黄金パターンで、間もなくドラマ化する『この恋はツミなのか!?』や、以前に紹介した胸キュン少女漫画『盤上パティシエール』もそうです。ついでに私が個人出版しているライトノベル『俺の棒銀と女王の穴熊』も(便乗して宣伝)。

将棋漫画『この恋はツミなのか!?』がドラマ化! 主演にAKB48の柏木由紀さん

恋する少女が主人公の将棋×胸キュン漫画『盤上パティシエール』が面白かった!

『俺の棒銀と女王の穴熊』第2巻が無料に! そしてAmazonで第1位を獲得

 将棋漫画は真剣勝負を描くものが多数派ですが、こんな風に恋愛を絡める作品も今後増えていくのではないでしょうか。
 というわけで将棋×恋愛漫画の原作、ぜひおまかせください!(唐突)

異世界ダンジョンの恋愛事情1 (電撃コミックスNEXT)

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快挙! 最年長の長沢千和子女流四段が女流王位戦リーグ入り

 第30期女流王位戦は昨日、挑戦者決定リーグの最後の一枠を決める対局、長沢千和子女流四段vs渡辺弥生女流初段が行われました。結果は長沢さんの勝利でした。

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 女流棋界はここのところ棋力アップが著しいですが、そんな中で女流最年長の長沢さんが若手に交じってリーグ入りというのは快挙といって差し支えないでしょうし、ファンにとっても胸の熱くなる展開です。

 確認してみたところ、2002年の第13期に蛸島彰子女流五段(当時)がリーグ入りをしていました。今回の長沢さんは歴代最年長でのリーグ入りではなかったのですが、数年後この記録を塗り替える可能性は十分にありそうですね。

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レコチョク / iTunes

待望の復活! 『ひらけ駒!return』の第1巻が近日発売

 将棋にハマる息子――その母親の視点で描くという斬新なストーリーと優しい絵柄が人気を博した将棋漫画『ひらけ駒!』。2011年に連載開始され、好評のうちに8巻の単行本が刊行されましたが、いつしか長期休載に入っていました。
 しかし2017年にWeb漫画サイト「ベビモフ」に場を移し、『ひらけ駒!return』として連載再開されました。そしてもうすぐ単行本第1巻が発売されます。

ひらけ駒!return(1) (モーニング KC)

ひらけ駒!return(1) (モーニング KC)

 

 休載以降、しばらく読んでいなかったという方も多いと思います。この機会に新刊と一緒に最初から読み直してみるのはいかがでしょうか。もちろんまったく初めてという人にもおすすめです。