Arai Koh's Shogi Life

将棋ライター・アライコウのブログです。将棋について書いていきます。

映画『聖の青春』が明日テレビ放送! 『泣き虫しょったんの奇跡』特別番組も

 明日9日、CS放送の日本映画専門チャンネルにて、2016年公開の映画『聖の青春』が放送されます。おそらくCS放送では初ではないでしょうか。
 そしていよいよ公開開始された『泣き虫しょったんの奇跡』を紹介する特別プログラム『映画「泣き虫しょったんの奇跡」の全て』も、先週から放送されています。

『聖の青春』のほうは、私も映画館で見ました。原作のノンフィクションを非常に上手く映像化しており、オリジナルのシーンも見どころありです。とりわけ終盤、東出昌大さん演じる羽生善治の(ネタバレ反転)は、胸打たれるものがありました。

 というわけで、CS放送を契約している将棋ファンは録画必至です。

聖の青春 [Blu-ray]

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聖-天才・羽生が恐れた男- 新装版 1 (ビッグコミックススペシャル)

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キラキラな奨励会員の物語。将棋漫画『fellows』がウェブ連載開始!

 先日、週刊少年ジャンプの『紅葉の棋節』が連載終了してしまいましたが、新しい将棋漫画がまた新たに生まれています。

sonorama.asahi.com

 朝日新聞出版のコミックサイト「ソノラマプラス」にて連載開始された『fellows』。作者のおおきぼん太さんは、主に女性向けで活躍されている漫画家・イラストレーターです。

少年たちは将棋のプロをめざし、81マスの盤上で戦い続ける――。奨励会員たちの日常を描く青春グラフィティ!

 試し読みができるのでさっそく読んでみましたが、テーマはまさに青春グラフィティ。先日の『紅葉の棋節』の記事でも書いたのですが、将棋漫画には将棋以外にも核となる要素が欲しいというのが私の持論です。その点、『fellows』はバッチリです。キラキラした絵柄の奨励会員男子が、既存の将棋漫画とは一線を画す楽しいやりとりをしています。
 そして将棋のほうも、かなり本格的です。

角引き不成り…!? まさか打ち歩詰めの筋が発生して詰めろが解けてる…!?

 とか、

あの人の右玉まじ化け物だから勉強しとけっつってんだ!!

 とか。中途半端な将棋の知識じゃ、こんなシーンは描けないでしょう。作者さんが結構将棋に詳しいか、あるいは腕のいい監修者がついているのだと思います。

 ともあれ期待作の誕生です。隔週で水曜日更新とのことなので、ぜひ注目していきましょう。

おおきぼん太 あこや貝とオマールえび (MOOG COMICS / LouisSeries)

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「三流は人の話を聞かない(以下略)」って本当に羽生さんが言ったの?

 先日、このようなツイートが流れてきたのを目にした方もいるかと思います。

 これ、以前から羽生善治さんの「名言」としてネット上に存在するのですが、疑問に思う人も多いようです。

  1. 検索してもヒットするのは「羽生名人語録」みたいなまとめサイトばかり
  2. そもそも羽生さんがこんなことを言うとは考えづらい

 1ですが、一応活字となっているものがあります。

どんな人にも大切な「売る力」ノート

どんな人にも大切な「売る力」ノート

 

 ビジネス書の『どんな人にも大切な「売る力」ノート』。この書籍内に「羽生善治名人の言葉です」として紹介されています。ただし出典元は何も挙げられていません。

f:id:araicreate:20180905160609j:plain

『どんな人にも大切な「売る力」ノート』津田晃・著vol.2129 | 「ビジネスブックマラソン」バックナンバーズ

 最初期にこの本から引用したサイトがあるだろうと考え、日時指定してGoogle検索したところ、こういったサイトがヒットしました。これが延々とまとめサイトにコピペされた……ということで間違いありません。その証拠に、この本の発売日以前では一切ヒットしません。

 そして2ですが、この「名言」のような攻撃的なことを羽生さんは言うだろうか? と疑問なわけです。特定の人に対して言っているのではないとはいえ、常に言葉を選んで発言する羽生さんが三流だの二流だの……やはりちょっと考えづらい。普段羽生さんをチェックしている将棋ファンなら、わかっていただけると思います。

 羽生さん関連の著作や掲載雑誌は七冠達成あたりから爆発的に増えましたし、もしかしたら本当にどこかの本に書かれているのを、ほとんどの人が見逃している場合もあります。
 あるいは、発言内容が微妙に変わっているのかもしれません。「一流の人は、人の話を聞いて実行する。超一流の人は、人の話を聞いて工夫する。」ここだけなら羽生さんが言っても不思議ではないです。それに類する発言に、なぜか三流、二流も付け加えられてしまった……など。
 はたまた『どんな人にも大切な「売る力」ノート』の著者(超一流ビジネスマンです)が、直接羽生さんに会って聞いたことがある、講演で発言したのを耳にした、ということなのかもしれません。羽生さんは各界の著名人とたくさん対談していますし、年に何度も講演をしています。この本の前書きにはこう書かれています。

多くのお客様、先輩、同僚、後輩と接しながら学んだこと、気がついたこと、意識して注意しておきたいことを、『備忘』として大学ノートにメモし、今でも時々見るようにしています。
(中略)
本書は、私が20代のころから書き続けてきた『備忘』をもとにまとめたものです。

 いずれにしても、確かなことはわかりません。こんな結論で申し訳ないですが。
 とりあえず昔の羽生さんの本を手に入れて、のんびり調べてみようかなと思っています。

【続きの記事】「三流は人の話を聞かない(以下略)」の調査の件、ほんの少し進展がありました

将棋から学んできたこと これからの道を歩く君へ (朝日文庫)

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『紅葉の棋節』連載終了。個人的に将棋漫画に求めたいもの

 週刊少年ジャンプで連載されていた将棋漫画『紅葉の棋節』が、今週発売のNo.40で連載終了となりました。明日には単行本第1巻が発売されるのですが、残念なニュースです。

 つくづく、将棋漫画は難しいと思わされます。それとも少年ジャンプのスタイルには合わないのでしょうか? そんなことは決してないと思うのですが。

 将棋漫画にはプラスαが欲しい。私はよくそのように考えています。つまり勝負以外にも核となるものが欲しいということです。

 将棋+人間ドラマの『3月のライオン』。
 将棋+ミステリーの『しおんの王』。
 将棋+荒唐無稽なアングラバトルの『ハチワンダイバー』。
 将棋+食事の『将棋めし』。

 これらは単に将棋を勝ち抜いていくだけではない、魅力的なテーマを備えています。
 少年ジャンプでも、こういった作品作りはきっとできるのではないでしょうか。編集部のみなさんにはまた、将棋漫画の企画を考えていただきたいですね。 

紅葉の棋節 1 (ジャンプコミックス)

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「有吉反省会」に香川愛生女流三段が登場! 何を反省するのか?

 明日9月1日、日本テレビ系列のバラエティ番組「有吉反省会」に香川愛生女流三段が登場します。

 この番組には以前にも高橋道雄九段、橋本崇載八段が出演されたことがあります。
 高橋九段は「アニメやアイドルが大好き過ぎる」、橋本八段は「自己主張が強すぎて将棋界に迷惑をかけている」という反省内容でした。

参考リンク:ハッシーこと橋本崇載八段が有吉反省会で大久保佳代子さんに寄せられた件。あと戦型予想答え合わせ | 将棋ワンストップ・ニュース

 今回の香川さんは、やはりというかコスプレに関することで出演されるようですが、具体的にどういう反省内容となるのか、気になるところです。香川さんのコスプレについては、当ブログでもいろいろと記事にしてきました。

香川愛生女流三段のコスプレ、ニュースに取り上げられる - Arai Koh's Shogi Life

香川愛生女流三段、今度はメイド姿を披露する - Arai Koh's Shogi Life

香川愛生女流三段の快進撃。将棋にコスプレに出版に - Arai Koh's Shogi Life

 ところで先日、こんなツイートもされていました。

 ううむ、取材してみたい。
 それはそうと、先日発売された初の著書『職業、女流棋士』が好評です。ご興味のある方は手に取ってみてはいかがでしょうか。

職業、女流棋士 (マイナビ新書)

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女流棋士の春

女流棋士の春

 

羽生善治竜王らプロ棋士も通った「八王子将棋クラブ」が今年で閉店

 思わぬニュースが飛び込んできました。

 有名な将棋道場の「八王子将棋クラブ」が、12月で閉店するというお知らせです。
 八王子将棋クラブは、多くの将棋ファンによく知られています。それというのも羽生善治竜王が少年時代に腕を磨いた道場だからです。羽生竜王以外にも多くの少年少女がここに通い、中村太地王座や阿久津主税八段といった棋士が、その将棋人生のスタートを切っています。

shogipenclublog.com

www.townnews.co.jp

 このように八王子将棋クラブについては羽生竜王が語ることも多くありますし、メディアに取り上げられることもしばしばです。
 何よりこの名門クラブをずっと支えてきた、席主の八木下征男さん。間違いなく日本一有名な席主でしょう。

 ビルの老朽化、そして八木下さんの体調問題により閉店を決断されたそうです。おそらく今後、将棋世界等で取り上げられることもあるでしょう。近隣に住んでいて一度も行ったことはなかったな、という方は、閉店の前に足を運んでみてはいかがでしょうか。

羽生善治の将棋入門 ジュニア版

羽生善治の将棋入門 ジュニア版

 

羽生善治竜王、早指し棋戦で(だいたいいつもどおり)若手を寄せ付けず!

 本日放映されたNHK杯テレビ将棋トーナメントに、将棋界の第一人者である羽生善治竜王が登場しました。相手は期待の若手のひとり髙野智史四段でしたが、危なげなく勝利。貫禄を示しました。

NHK杯テレビ将棋トーナメント|NHK囲碁と将棋

 先日放映された銀河戦では、決勝トーナメント第1回戦で黒沢怜生五段と対局。細い攻めを超一流のテクニックで繋ぎ、振り飛車党期待の星を完封しています。CS放送を契約していない方も多いと思いますが、棋譜は公開されています。この攻めは本当にすごかった。

銀河戦 | 将棋 | 囲碁・将棋チャンネル

 そして早指し棋戦といえば、「AbemaTVトーナメント」が非公式戦ながら公式戦と同等以上の盛り上がりを見せています。先週も発案者である羽生竜王が登場しましたが、やはり有望な若手である佐々木大地四段相手に2戦2勝し、準決勝に進出しています。

 NHK杯は通算10回の優勝(史上唯一の名誉NHK杯選手権者)、銀河戦は通算7回の優勝。羽生竜王のすごさが語られる際は、まず通算タイトル数99期が挙げられますが、このように早指し棋戦の勝ちっぷりも外せません。
 天才の条件のひとつは「早指しに強いこと」であると、加藤一二三九段が『羽生善治論』で書いています。

羽生善治論 「天才」とは何か (角川oneテーマ21)

羽生善治論 「天才」とは何か (角川oneテーマ21)

 

 さらにこのようにも断言。

 もっとも強力な一手、最強の一手が、局面を見た瞬間に浮かんでくるものなのだ。こうした能力は努力したからといって身につくものではない。もって生まれた、並外れた素質としかいいようがない。(P25)

 読みの量と瞬発力では、本来若手のほうが有利のはず。それでいて最後には勝ちきるのですから、あらためて羽生竜王の強さがわかります。この先の戦いも楽しみですね。

大局観 自分と闘って負けない心 (角川oneテーマ21)

大局観 自分と闘って負けない心 (角川oneテーマ21)

 

名作将棋ミステリー『千里の棋譜』に新展開が?

 スマートフォン向けのアドベンチャーゲーム『千里の棋譜』をご存じの方も多いと思います。

千里の棋譜 【将棋ミステリー/アドベンチャーゲーム】 Android/iOSアプリ

 将棋を題材にしたミステリーで、ユーザーからは圧倒的な好評を博しています。以前には将棋連盟のコラムに取り上げられたこともありました。

www.shogi.or.jp

 そんな『千里の棋譜』ですが、どうやら新展開がありそうなのです。

 開発者である宮下英尚さんのTwitterに、先日このように投稿されました。具体的なことは続報待ちですが、そう遠い話ではなさそうですね。

 宮下さんはかなり年期の入った将棋ファンで、高橋和女流三段が代表を務める「将棋の森@吉祥寺」の設立・運営にも携わっています。私も本業であるゲームクリエイター繋がり、そしてこの将棋繋がりで、何度かお会いしたことがあります。その私から見ても『千里の棋譜』は本当に素晴らしい作品で、負けてはいられないなと思っています。

 圧倒的クオリティでありながら無料で、しかも広告バナー等もありません。将棋ファンになったばかりのお子さんにもオススメです。まだプレイされていない方はぜひ!

千里の棋譜【将棋ミステリー/アドベンチャーゲーム】

千里の棋譜【将棋ミステリー/アドベンチャーゲーム】

 

電子書籍時代の今、アマチュアでも気軽に戦術書を出せるのです

 将棋界で戦術書を出すのは、もちろんプロが大多数なのですが、しばしばアマチュアが出版することもあります。そのあたりのことは以前に記事にしたことがありました。

araishogi.hatenablog.com

 とはいえ出版社から出すためには、編集部の目に止まらなければならないという前提があります。だからハードルはものすごく高いわけです。
 しかし今なら、出版社から出す以外のルートもあります。そう、個人での電子書籍出版ですね。たとえばこちら。 

アブノーマル三間飛車

アブノーマル三間飛車

 

 タップダイス氏と信玄m@ster氏の三間飛車シリーズ、その第一作です。2014年のリリースですから、もう個人による電子書籍出版は珍しくなくなっていましたが、それでもアマチュアが電子書籍で、商業出版並みにボリュームある戦術書を出すというのは、これが最初の例ではないでしょうか。

 そして最近も、気になるものが出ていました。

筋違い角新定跡

筋違い角新定跡

 
続・筋違い角新定跡

続・筋違い角新定跡

 

 まさかの筋違い角本! それも2冊! ひそかにこの戦法を勉強したいと思っていた人には、ちょうどいいのではないでしょうか。著者のよっしー氏は「有名ネット将棋サイトで8段超え。全国優勝歴あり」、つる氏もまた「学生大会での全国優勝経験あり。ネット将棋サイト6段」とのことです。

 というわけで、アマチュアでも気軽に戦術書を出せる時代です。もちろん原稿と電子書籍作成ソフトがあれば、ですが。原稿はともかく、電子書籍までは作れないという方が多いかもしれません。

 アライクリエイト事務所(このブログの運営元)では、電子書籍作成のご依頼を随時承っています。もちろん戦術書でなくても、将棋界に一言もの申したいとか、あの棋士について熱く語ってみたいとか、内容は問いません。電子書籍出版にご興味がある方、ぜひご連絡いただければと思います。

このブログについて - Arai Koh's Shogi Life

『ベイビーステップ』の作者、勝木光さんの将棋漫画が来週登場!

 たびたび新しい将棋漫画について取り上げている当ブログですが、またまたお知らせしたいニュースが飛び込んできました。

 アニメ化もされた人気漫画『ベイビーステップ』の作者、勝木光さんの将棋をテーマにした読切作品が、8月29日発売の「週刊少年マガジン39号」に登場とのことです。

あと1つ勝てばプロになれる将棋の三段リーグ最終局を巡る2人の男の人間ドラマ

 奨励会を舞台にした将棋漫画は珍しくありませんが、このようにシチュエーションを限定しているのは珍しいかもしれません。
 人気作家が描くだけに、クオリティには何の心配もいらないでしょう。マガジン読者ならずとも、要チェックですね。

ベイビーステップ(1) (週刊少年マガジンコミックス)

ベイビーステップ(1) (週刊少年マガジンコミックス)