「三流は人の話を聞かない(以下略)」って本当に羽生さんが言ったの?
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先日、このようなツイートが流れてきたのを目にした方もいるかと思います。
三流は人の話を聞かない。
— zapa (@zapa) 2018年9月1日
二流は人の話を聞く。
一流は人の話を聞いて実行する。
超一流は人の話を聞いて工夫する。
という羽生名人の名言がある。
ツイッターにいると、四流の存在に気づくことができる。
四流は人の話を聞いても理解することができなくて怒る。
これ、以前から羽生善治さんの「名言」としてネット上に存在するのですが、疑問に思う人も多いようです。
- 検索してもヒットするのは「羽生名人語録」みたいなまとめサイトばかり
- そもそも羽生さんがこんなことを言うとは考えづらい
1ですが、一応活字となっているものがあります。
ビジネス書の『どんな人にも大切な「売る力」ノート』。この書籍内に「羽生善治名人の言葉です」として紹介されています。ただし出典元は何も挙げられていません。
『どんな人にも大切な「売る力」ノート』津田晃・著vol.2129 | 「ビジネスブックマラソン」バックナンバーズ
最初期にこの本から引用したサイトがあるだろうと考え、日時指定してGoogle検索したところ、こういったサイトがヒットしました。これが延々とまとめサイトにコピペされた……ということで間違いありません。その証拠に、この本の発売日以前では一切ヒットしません。
そして2ですが、この「名言」のような攻撃的なことを羽生さんは言うだろうか? と疑問なわけです。特定の人に対して言っているのではないとはいえ、常に言葉を選んで発言する羽生さんが三流だの二流だの……やはりちょっと考えづらい。普段羽生さんをチェックしている将棋ファンなら、わかっていただけると思います。
羽生さん関連の著作や掲載雑誌は七冠達成あたりから爆発的に増えましたし、もしかしたら本当にどこかの本に書かれているのを、ほとんどの人が見逃している場合もあります。
あるいは、発言内容が微妙に変わっているのかもしれません。「一流の人は、人の話を聞いて実行する。超一流の人は、人の話を聞いて工夫する。」ここだけなら羽生さんが言っても不思議ではないです。それに類する発言に、なぜか三流、二流も付け加えられてしまった……など。
はたまた『どんな人にも大切な「売る力」ノート』の著者(超一流ビジネスマンです)が、直接羽生さんに会って聞いたことがある、講演で発言したのを耳にした、ということなのかもしれません。羽生さんは各界の著名人とたくさん対談していますし、年に何度も講演をしています。この本の前書きにはこう書かれています。
多くのお客様、先輩、同僚、後輩と接しながら学んだこと、気がついたこと、意識して注意しておきたいことを、『備忘』として大学ノートにメモし、今でも時々見るようにしています。
(中略)
本書は、私が20代のころから書き続けてきた『備忘』をもとにまとめたものです。
いずれにしても、確かなことはわかりません。こんな結論で申し訳ないですが。
とりあえず昔の羽生さんの本を手に入れて、のんびり調べてみようかなと思っています。
【続きの記事】「三流は人の話を聞かない(以下略)」の調査の件、ほんの少し進展がありました
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