Arai Koh's Shogi Life

将棋ライター・アライコウのブログです。将棋について書いていきます。

『将棋番組が10倍楽しくなる本』のKindle版がリリースされました

 私の将棋ライターデビュー本『将棋番組が10倍楽しくなる本』ですが、先日我が家にも見本が届きました。そこで日頃Twitterで相互フォロワーになっている将棋クラスタの方々にも献本をさせていただいてます。

 橋本さん、ありがとうございます!

 ところで発売は今月末なのですが、Kindle版がいち早くリリースされたようです。

将棋番組が10倍楽しくなる本

将棋番組が10倍楽しくなる本

 

 もう本棚に空きがないとか、もう紙の本は普段買わないという方は、ぜひこちらでお買い求めいただければ幸いです。

第二のカロリーナも夢じゃない! モンゴル出身のトゥルムンフ・ムンフゾルさん

 本日、第9期リコー杯女流王座戦の一斉一次予選が行われました。

TOPページ | リコー杯女流王座戦中継

 この棋戦の特徴のひとつが、アマチュアに広く門戸を開いていることです。アマチュア東西予選を勝ち抜いた6名と、海外招待選手1名の計7名が参戦します。アマチュア時代のカロリーナ・ステチェンスカ女流1級が、外国籍としては初めてプロから勝ち星を挙げたことはよく知られているところです。

 そして今期、海外招待選手となったのはモンゴル出身のトゥルムンフ・ムンフゾルさん。驚いたのはその経歴です。チェスの強豪で、FIDEのWoman FIDE Masterという称号を持っているとのこと。データベースを見る限り、18歳以下の女性では世界でも五本の指に入るということでしょうか。将棋では81Dojoで四段だそうです。

Munkhzul, Turmunkh FIDE Chess Profile - Players Arbiters Trainers

 そんなムンフゾルさんが今回対局したのは渡辺弥生女流初段。戦型は角交換からの大乱戦――に見えたのですが、どうやらムンフゾルさんはかなり研究していた模様です。
 プロも感心する指し回しで、これはもしやと思わせましたが、最後には渡辺女流が勝ちきりプロの貫禄を見せました。

 そしてこの対局は、ただアマチュアが善戦したというだけではない、価値のあるものでした。対局後のコメントで、チェスでグランドマスターに、将棋ではプロになりたいという希望を明かしたのです。
 すなわち第二のカロリーナも夢ではありません。ぜひこれからも注目していきましょう!

『将棋番組が10倍楽しくなる本』の公式ページが公開されました

araishogi.hatenablog.com

 先日から告知している、私の将棋ライターとしてのデビュー本『将棋番組が10倍楽しくなる本』の公式ページが公開されています。

将棋番組が10倍楽しくなる本|ビジネス教育出版社

 発売日はAmazon等では5月20日となっていますが、公式では5月29日となっています。こちらのほうが正しい……のかな?
 内容もちょろっと紹介されていますが、全100項目のQ&Aが用意されています。主に初心者を対象に、文化や歴史、戦法などについて解説しています。広く浅くという感じですね。

 ともあれ発売日まであとちょっとです。ぜひ今のうちにご予約お願いいたします。

将棋文化・歴史がわかる 将棋番組が10倍楽しくなる本

将棋文化・歴史がわかる 将棋番組が10倍楽しくなる本

 

羽生善治九段、歴代最多勝利数の1434勝まであと5勝!

 先ほどまで行われていた第60期王位戦挑戦者決定リーグ白組、中村太地七段vs羽生善治九段は、羽生九段が勝利しました。

 すさまじい玉頭戦で、最後までどちらが勝つかわからなかったのですが、羽生九段がギリギリの勝負を制しました。

 ところで羽生九段は、これで通算勝利数を1429としています。
 歴代最多勝利数は、大山康晴十五世名人の1433です。すなわちあと5勝でこの記録を抜きます。近いうちに追い越すだろうなと思われていましたが、もうこんなに近くまで来ていたのですね。

 その日にはまた、一般紙でも大々的に報道されるほどのニュースになるでしょう。今から楽しみです。

羽生善治×AI

羽生善治×AI

 

平成最初の名手だった! 羽生善治時代の幕開け・伝説の5二銀

 あと数時間で平成が終わります。先日には「棋才 平成の歩」というイベントも開催されるなど、いろんな形で平成の将棋界が振り返られています。

mainichi.jp

 平成の将棋界はまさに羽生善治の時代だったと言い換えられます。史上初の七冠達成、タイトル獲得99期、そして永世七冠……その業績には枚挙にいとまがありません。
 ではその羽生時代の幕開けを象徴する出来事は何だったか? 多くの人が思いつくのが、1988年度のNHK杯テレビ将棋トーナメントでしょう。大山康晴、加藤一二三、谷川浩司、中原誠と名人経験者4人を立て続けに破り優勝を飾ったシリーズで、今も語り継がれています。
 その中でも特に語り草となっているのが、加藤一二三九段戦で出現した5二銀という一手。ここを訪れている方には、ほとんど説明不要でしょう。

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 さて、この加藤九段戦が放映された日時まで気に留めていた方は多くないかもしれません。私も初めて知ったのですが、1989年(平成元年)1月9日です。
 元号が平成に変わったのは1月8日です。すなわち平成最初のNHK杯放映で、この伝説の一手が飛び出したわけです。名実ともに平成最初の名手だったのですね。

 ところで私は先日、「天才 羽生善治 激戦対局集 第2巻」というビデオテープを手に入れました。

 このビデオに、5二銀が打たれた将棋が羽生さん自らの解説で収録されているのです。この将棋についてはいろんな人が語っていますが、羽生さんが映像に残る形で自戦解説というのは、なかなか珍しいのではと思います。ではどういうことを語っていたのかというと……。

「このテレビの放送されたあとファンの方に非常に反響がありまして、『あの将棋はすごかったですね』などということをよく言われたものでした」
「5二銀という気持ちのいい手は、一年に一度指せるかどうか」
「自分にしては珍しく、会心の一局だったのではないかなと」

 このビデオの発売は1993年ですが、現在でも未だに語り継がれているというのは、さすがの羽生さんも予想できなかったのではと思います。そして元号が令和に変わっても、この手が忘れ去られることなど決してないでしょう。

羽生善治 (小学館版学習まんがスペシャル)

羽生善治 (小学館版学習まんがスペシャル)

 

『将棋番組が10倍楽しくなる本』の発売日が決定しました

araishogi.hatenablog.com

 先月の告知以来ご無沙汰していましたが、私にとって初の将棋本となる『将棋番組が10倍楽しくなる本』、いよいよ発売日が決定し、Amazonにも登録されています。

将棋文化・歴史がわかる 将棋番組が10倍楽しくなる本

将棋文化・歴史がわかる 将棋番組が10倍楽しくなる本

 

 5月20日です。令和最初の月に出せるというのも感慨深いものがあります。
 近いうちに、出版社のサイトでも紹介ページが作られるでしょう。そのときにまたご報告します!

第2巻を目指して! 『こんなレベルの低い将棋見たことがない!』がWeb掲載再開

【前回の記事】予約しよう! 『こんなレベルの低い将棋見たことがない!』の発売日が決定

 今年の2月にめでたく第1巻が発売された『こんなレベルの低い将棋見たことがない!』ですが、お話はまだまだ続いています。作者さんがTwitterで最新話を不定期にアップしていますが、イースト・プレス社のマトグロッソでも、再びWeb掲載が始まりました。

matogrosso.jp

 第1巻からの続きとなる第12話に、香川愛生女流三段が登場です。トンボという駒落ち将棋は初めて知りましたが、なかなか面白そうです。

 ともあれ次の目標は、第2巻の発売です。私も引き続き応援しようと思います。

こんなレベルの低い将棋見たことがない!

こんなレベルの低い将棋見たことがない!

 

先崎学九段の『うつ病九段』が大宅壮一ノンフィクション賞にノミネート

 朗報が舞い込んできました。

 去年に刊行された先崎学九段の『うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間』が、大宅壮一ノンフィクション賞にノミネートされました。
 50年の歴史があるこの賞は、国内でも最高のノンフィクション賞のひとつです。これに『うつ病九段』がノミネートされたというのは、将棋界にとって大きなニュースでしょう。

araishogi.hatenablog.com

 以前の記事でも触れましたが、先崎九段がうつ病になった原因のひとつに、今も多くの将棋ファンの間に暗い影を落としている、三浦弘行九段が巻き込まれた将棋ソフト冤罪問題があります。先崎九段が当時どれほどの心労を抱えていたか、とても計り知ることはできません。
 そうした経緯もある題材なだけに、純粋に喜んでいいのかという気持ちもあるのですが、先崎九段のことがより世間に知られるようになることは、やはり将棋界全体にとってプラスかなと思います。ぜひとも受賞することを願っています。

うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間

うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間

 
先崎学の浮いたり沈んだり (文春文庫)

先崎学の浮いたり沈んだり (文春文庫)

 

VHS再生環境を導入! 不要な将棋ビデオぜひお譲りください

 先日、VHSビデオデッキをネットオークションで購入しました。

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 10代や20代前半の人だと、なんじゃそれってな感じでしょうかね。
 Blu-rayが標準のこの時代に、なぜ今さらこんな古いものを導入したかというと、もちろん趣味のためですが、今後仕事で必要になるかもと思ったからです。
 将棋のビデオはこれまでいろいろ発売されていますが、未DVD化がほとんどだと思います。たとえば将棋ペンクラブログでも紹介されたことのある『天才 羽生善治 激戦対局集』。

shogipenclublog.com

 第2巻には「第38期NHK杯戦/対 加藤一二三九段」とありますね。そう、伝説の▲5二銀が出た、あの対局です。
 この手についてはいろんなところで語られているのですが、羽生さん自身が映像に残る形で何かを語ったり解説したりというのは、結構貴重なのではないでしょうか。なのでいずれは手に入れたいと思っています。

 ところで将棋ファンのご家庭には、昔に録画した将棋番組のビデオがまだ眠っているということがあるかもしれません。
 もしそれらが不要という方がいらっしゃったら、ぜひお譲りいただけないでしょうか? 着払いで引き取らせていただきます。「もう再生環境がないからちゃんと映るかどうかわからない」というものでも結構です。ただし明らかにケースやフィルムが壊れている、カビが生えているといったものはご遠慮ください。

 詳しくはプロフィールページからご連絡ください。よろしくお願いします。

折田翔吾アマ、ついに連勝ストップ。プロ編入試験への展望は

【前回の記事】折田翔吾アマ、銀河戦で7連勝! プロ編入試験の条件がもうひとつくらいあってもいいのでは?

 16日に放映された第27期銀河戦本戦Aブロック8回戦、野月浩貴八段vs折田翔吾アマは、野月八段が勝利しました。

www.igoshogi.net

 アマチュアながら怒濤の快進撃をしていた折田アマでしたが、ついに連勝ストップです。しかし棋譜を見てみると素晴らしい熱戦で、互角の戦いをしていたと言っていいと思います。

 これで折田アマは対プロ成績が、もっとも良いところから見て7勝1敗(○○○○○○○●)となっています。
 気になるプロ編入試験への道のりですが、受験資格の条件は【もっとも良いところから見て10勝以上、なおかつ6割5分以上】、10勝5敗(0.667)を挙げればいいのです。
 まずは出場決定している銀河戦の決勝トーナメントです。ここであと3勝を積み重ねれば……つまりは決勝進出という高すぎる壁なのですが、10勝目を挙げることで規定の成績を満たすことができます。

 銀河戦を敗退しても、3勝を挙げるまでに4敗まではしてもいい計算です。他のアマ大会で優秀な成績を収めて、アマチュア枠のある公式戦に出場し、再び勝ち星を重ねる……ここまでの快進撃を見るに、折田さんなら可能性は十分に思えますね。

 ちなみにもうひとり、プロ相手に4連勝をしていたGブロックの木村孝太郎アマですが、こちらも決勝トーナメント進出の可能性は残っています。
 Gブロックは現在、増田康宏六段が3連勝中です。仮に次戦で増田六段が敗れれば、Gブロックの最多連勝者は木村さんに確定します。増田六段がブロックの最後まで勝ち続けた場合も、最終勝ち残り者と最多連勝者は重複しませんので、木村さんが最多連勝者として決勝トーナメントに出場します。

 かつてないほどアマチュアが活躍している現在の将棋界。令和になってからも、彼らがいっそう楽しませてくれそうです。

【続きの記事】折田翔吾アマ、銀河戦決勝トーナメントに参戦! 初戦は佐藤天彦銀河と対決