Arai Koh's Shogi Life

将棋ライター・アライコウのブログです。将棋について書いていきます。

平成最初の名手だった! 羽生善治時代の幕開け・伝説の5二銀

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 あと数時間で平成が終わります。先日には「棋才 平成の歩」というイベントも開催されるなど、いろんな形で平成の将棋界が振り返られています。

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 平成の将棋界はまさに羽生善治の時代だったと言い換えられます。史上初の七冠達成、タイトル獲得99期、そして永世七冠……その業績には枚挙にいとまがありません。
 ではその羽生時代の幕開けを象徴する出来事は何だったか? 多くの人が思いつくのが、1988年度のNHK杯テレビ将棋トーナメントでしょう。大山康晴、加藤一二三、谷川浩司、中原誠と名人経験者4人を立て続けに破り優勝を飾ったシリーズで、今も語り継がれています。
 その中でも特に語り草となっているのが、加藤一二三九段戦で出現した5二銀という一手。ここを訪れている方には、ほとんど説明不要でしょう。

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 さて、この加藤九段戦が放映された日時まで気に留めていた方は多くないかもしれません。私も初めて知ったのですが、1989年(平成元年)1月9日です。
 元号が平成に変わったのは1月8日です。すなわち平成最初のNHK杯放映で、この伝説の一手が飛び出したわけです。名実ともに平成最初の名手だったのですね。

 ところで私は先日、「天才 羽生善治 激戦対局集 第2巻」というビデオテープを手に入れました。

 このビデオに、5二銀が打たれた将棋が羽生さん自らの解説で収録されているのです。この将棋についてはいろんな人が語っていますが、羽生さんが映像に残る形で自戦解説というのは、なかなか珍しいのではと思います。ではどういうことを語っていたのかというと……。

「このテレビの放送されたあとファンの方に非常に反響がありまして、『あの将棋はすごかったですね』などということをよく言われたものでした」
「5二銀という気持ちのいい手は、一年に一度指せるかどうか」
「自分にしては珍しく、会心の一局だったのではないかなと」

 このビデオの発売は1993年ですが、現在でも未だに語り継がれているというのは、さすがの羽生さんも予想できなかったのではと思います。そして元号が令和に変わっても、この手が忘れ去られることなど決してないでしょう。

羽生善治 (小学館版学習まんがスペシャル)

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