Arai Koh's Shogi Life

将棋ライター・アライコウのブログです。将棋について書いていきます。

大人気ほのぼの将棋漫画『それでも歩は寄せてくる』発売前から重版決定!

【参考記事】山本崇一朗さんの将棋漫画『それでも歩は寄せてくる』が来週から連載開始!

 現在、週刊少年マガジンで連載中の『それでも歩は寄せてくる』。いよいよ来週にコミックス第1巻が発売されるのですが、なんと発売前から重版が決定したそうです。

 作者の山本崇一朗さんが、もともと大人気作家であることが大きいのは言うまでもないのですが、それにしても発売前から重版というのは、もしかしたら将棋漫画史上初めてなのでは? とにもかくにも楽しみです。

 というかすでにアニメ化企画とか、動いていたりして。

それでも歩は寄せてくる(1) (KCデラックス)

それでも歩は寄せてくる(1) (KCデラックス)

 

『将棋番組が10倍楽しくなる本』が重版しました

 先月に出版した、私の将棋ライターデビュー本『将棋番組が10倍楽しくなる本』ですが、このたび重版しました。

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 実は刊行直後から、重版するかもというお話は出版社から聞いていたのです。ホントにそうなったらいいなーと思っていましたが、実現してしまいました。それもこれも、全国の書店と将棋ファンの方々のおかげです。ありがとうございます。

 実を言うと初版には若干の誤字があったりしたのですが、第2版では直っている、かと思います。Amazonでもおおむね好評をいただいているので、少しでも興味のある方は、ぜひ重版分から手に取っていただければ幸いです。

将棋文化・歴史・専門用語がわかる! 将棋番組が10倍楽しくなる本

将棋文化・歴史・専門用語がわかる! 将棋番組が10倍楽しくなる本

 

新たな観る将本に注目! 『将棋「観る将になれるかな」会議』

 先日、第31回将棋ペンクラブ大賞の最終選考候補作が発表されました。

 私は毎年、文芸部門に注目しているのですが、今回はそれ以上に技術部門の候補作に目を惹かれました。高野秀行六段、岡部敬史さん、さくらはな。さんの共著『将棋「初段になれるかな」会議』(扶桑社)です。

【参考記事】角の利きは3万回確認! 将棋ファン発の格言(?)が書籍に掲載

 この部門はだいたいプロ棋士による有段者向けの本がノミネートされるという印象でしたが、プロとアマチュアとの共著、しかも初段を目指そうという、明確な級位者向けの本がノミネートされるのは、珍しいのではないでしょうか。

 そして、この執筆陣による第二弾が今月末に刊行されます。

将棋「観る将になれるかな」会議 (扶桑社新書)

将棋「観る将になれるかな」会議 (扶桑社新書)

 

 その名も『将棋「観る将になれるかな」会議』。なんとビックリ、観る将向けの本です。ちょうど私も同様のテーマの『将棋番組が10倍楽しくなる本』を刊行したばかりで、何だか親近感が湧いてきます。Amazonに内容紹介がありましたが、私の本と比べると、かなりコアな部分も取り上げられるようです。「盤を離れているとき、何をしているの?」「対局のときに持っていくもの」などは、プロ棋士に直接聞かなければ書けないでしょうし。

 というわけで観る将の方々、要注目です。

羽生善治九段と杉本昌隆八段、8年ぶりの対局へ

 第45期棋王戦の挑戦者決定トーナメント表が発表されました。

第45期棋王戦挑戦者決定トーナメント/五番勝負

 ご覧の通り、上り調子の若手、脂の乗った中堅、そしてトッププロがひしめきあう厳しいトーナメントですが、そんな中で数少ないベテランとして杉本昌隆八段の名前があります。
 そしてその対戦相手は、羽生善治九段です。両者の最後の対戦は、8年前の第19期銀河戦までさかのぼるようです。

第19期 銀河戦 本戦Dブロック 11回戦

 この8年ぶりの対局、おそらくお昼のワイドショーなどでも取り上げられるのではないでしょうか。今から楽しみですね。

 杉本八段は、近年は藤井聡太七段の師匠として有名になっています。しかし前年度の順位戦C級1組において、この年代としてはあまり例がない再昇級を果たすなど、「中年の星」としての存在感も増しています。
 挑決トーナメント入りしている50代の棋士は、他には谷川浩司九段と畠山鎮七段のふたりしかいません。ぜひベテランパワーを発揮して、ファンを沸かせて欲しいものです。

羽生流・決断の極意 『決断力』+『大局観』【2冊 合本版】 (角川新書)

羽生流・決断の極意 『決断力』+『大局観』【2冊 合本版】 (角川新書)

 
弟子・藤井聡太の学び方

弟子・藤井聡太の学び方

 

将棋会館移転を機に、ぜひとも椅子対局を導入してほしい

 既報の通り、老朽化問題を抱えていた将棋会館は、現在の千駄ヶ谷と同じ「千駄ヶ谷センタービル」への移転が決定しました。

www.sponichi.co.jp

 この建物を所有しているのが、棋聖戦と清麗戦のスポンサーをしている株式会社ヒューリックです。前々から建て替えが予定されていたのですが、将棋連盟が新築ビルの一部を取得する方向で決まりました。移転時期は2024年をめどにしているとのことです。
 本来なら現在のような自社ビルが最善なのでしょうが、今回の移転案も限りなくそれに近いのではないでしょうか。将棋界に理解のあるヒューリックですから、将棋ファンの望む形になるのではないかと期待しています。


 この問題のために、羽生善治九段が対局の合間に奔走していたことも報道されましたが、少々無理がたたったのでしょうか、脚を怪我されてしまったようです。

 この一連のツイートを見て、思ったことがあります。それは将棋会館移転を機に、ぜひとも椅子対局を導入してほしいということです。

 将棋棋士と椅子対局を巡る問題は以前からあり、有名なのは升田幸三実力制第四代名人が、椅子対局を申し入れたものの却下された、というエピソードです。

【勝負師たちの系譜】新手一生を目指した升田名人、賞創設で永遠に残る名に 最初の受賞者は内藤九段 (1/2ページ) - zakzak

 近年では、2015年に引退した内藤國雄九段が「膝と腰が痛くて長時間座って対局することができなくなった」と明かしています。内藤九段は当時、順位戦C級2組所属で降級点が2つという状況でした。順位戦規定で引退したわけではなく、健康問題が大きかったのです。もし椅子対局があったら、引退をもう少し伸ばされたかもしれません。

将棋の内藤國雄九段が引退表明/芸能/デイリースポーツ online

 お隣の囲碁界では、世界的競技という背景もあり、椅子対局がスタンダードです。将棋のような和室で対局というのはごく一部に留まっています。
 これまでは和室中心という建物の構造上、椅子対局の導入は難しかったかもしれません。しかし新しい将棋会館に移るにあたり、いよいよ本格的に議論できると思います。ぜひ棋士の間でも積極的に話題にしていただきたいです。

羽生善治九段による観る将向け将棋ガイド『教養としての将棋 おとなのための「盤外講座」』

 先日、羽生善治九段が大山康晴十五世名人の持っていた歴代最多勝記録を塗り替えました。

 無冠となっても依然として注目が集まる、現代将棋の第一人者である羽生九段ですが、このたび興味深い書籍を出版されるようです。

教養としての将棋 おとなのための「盤外講座」 (講談社現代新書)

教養としての将棋 おとなのための「盤外講座」 (講談社現代新書)

 

将棋は指さなくても面白い。「観るファン」のための初めての本格的将棋ガイド。羽生永世七冠、梅原猛氏らが将棋の魅力を語り尽くす!

 とのことです。
 私もちょうど観る将向けの『将棋番組が10倍楽しくなる本』を刊行したばかりですが、他ならぬプロ棋士からこういうタイプの本が出版されることは、今後ますます増えるんじゃないかなと予想します。

「ありがとう平成!記念免状授与式」にて三段の免状をいただきました

 本日、東西の将棋会館で「ありがとう平成!記念免状授与式」というイベントが行われ、私も出席しました。

www.shogi.or.jp

 前々から免状を取得してみたいと思っていたのですが、これ以上の記念はないだろうと思ったので申し込んでいたのです。
 段位は三段です。81Dojoで以前に到達したことがあり、これを元に申請しました。将棋倶楽部24では最近1級になったのですが、棋力対応表を見るに、それなりに妥当な段位なのかなと思います。
 しかし出来不出来が激しいという自覚はあり、瞬間的には三段の実力を発揮することもある――くらいに思っています。本当の三段には今少し及ばない、と。

 それでもあえて三段で申請し、このたび取得したのは、来年には将棋連盟の普及指導員の資格を取りたいと思っているからです。
 藤井聡太七段の影響で将棋ブームと言われていますが、実際にはこういった報道もあります。

www.oita-press.co.jp

 将棋を的確に指導できる人はまだまだ足りず、せっかく将棋に興味を持った人もなかなか定着しない……ということです。これではいけない。この将棋ブームを継続させるために、私も微力ながら力を尽くしたいと思っています。

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 こうして免状を正式にいただいたからには、もう後戻りできません。まずはこの1年、真の三段として胸を張れるようにしっかり修行するつもりです。

初段になるための将棋勉強法

初段になるための将棋勉強法

 

新たなる棒銀の使い手! 服部慎一郎三段が公式戦連勝

 若手棋戦のひとつ、第9期加古川清流戦が進行中です。

加古川青流戦 |棋戦|日本将棋連盟

 この棋戦には奨励会三段にも出場枠があるのですが、今日は服部慎一郎三段が登場しました。富山県出身の中田章道七段門下で、2013年に6級で奨励会入会、2017年に三段ということなので、かなり速いペースで上がってきたと言えます。三段リーグにおいては初参戦の第62回でいきなり次点を取り、以後も負け越しなし。現在進行中の第65回は5勝1敗と、序盤からトップグループに入っています。
 そんな服部三段ですが、まずは午前中に兵庫県アマ名人の山田祥五アマを危なげなく下し、午後に西田拓也四段と対局しました。西田四段は第7期の加古川清流戦で優勝した、若手の中でも期待の振り飛車党です。

 そして両者の戦型は、意外や意外――

 感動のあまり、私もこのようにつぶやいてしまいました。
※将棋連盟LiveアプリにはTwitterと連動する機能があり、局面付きでツイートすることができます。

 四間飛車に棒銀。あの加藤一二三九段が現役時代に愛用したことで将棋ファンにはつとに有名ですが、近年は居飛車側が比較的安全な穴熊に組むため、ほとんど見られなくなっています。
 しかしながらプロの卵である服部三段はそんな常識には囚われず、「まだこの戦い方には可能性がある」と信じているわけですね。ぜひとも加藤九段にこの対局の棋譜をご覧いただきたい!
 両者の対局は素晴らしい熱戦となり、最後には服部三段がものにしました。見事に1日2連勝を決め、多くの将棋ファンにその存在感をアピールしたことでしょう。ぜひともプロになってほしい三段が、また増えました。

井上慶太の居飛車は棒銀で戦え (NHK将棋シリーズ)

井上慶太の居飛車は棒銀で戦え (NHK将棋シリーズ)

 

各所で話題! 少年ジャンプの新将棋漫画『ふたりの太星』の第1話が無料公開中

 週刊少年ジャンプで新しい将棋漫画『ふたりの太星』が連載スタートしたことは、ご存じの方も多いと思います。監修は里見咲紀女流初段です。

 第1話の評判は、Twitterで観測したかぎりでは上々のようでした。私はもう何年もジャンプを買ってないので確認はしてなかったのですが、このたび第1話が無料公開されたので、さっそく読んでみました。

www.shonenjump.com

 昼と夜で人格が入れ替わる、二重人格者の天童太星。彼は将棋棋士になるべくプロ試験に臨もうとしていたが――こんなあらすじです。
 やはり二重人格者という設定が目を惹きます。プロを目指すというストーリーの将棋漫画は数多く生まれてきましたが、ただそれだけじゃ厳しいというのが私の考えです。
 青年誌ならまだしも、少年漫画であれば少年がワクワクさせられるような非現実要素が欲しい。『ヒカルの碁』は平安時代の最強棋士が主人公に取り憑いたという設定が、その後のヒットを約束した要素のひとつだったはずです。

『ふたりの太星』は二重人格者という主人公にすることで、この点をクリアしたと言えると思います。それと絵柄はシャープだし幼馴染の女の子は可愛いし、今時の男の子たちに受けそうです。
 これは長期連載、期待できるんじゃないでしょうか。

『将棋番組が10倍楽しくなる本』発売! なぜ一介の将棋ファンが将棋本を刊行できたのか

『将棋番組が10倍楽しくなる本』がいよいよ全国書店、ネット書店に並びました。さっそく話題にしてくださる方もいて、ありがとうございます。出版社から連絡があったのですが、全国から多くの注文をいただいているそうです。

 

 ビジネス教育出版社から本企画のお話をいただいたのは、昨年11月のことでした。
 なぜ一介の将棋ファンにすぎない私に、こんなありがたい話が舞い込んできたのか。

参考記事:藤井聡太四段のインタビュー記事を担当しました

 ほんのちょこっと将棋ライターらしきお仕事はしたことがあったのですが、それを肩書として名乗るのは憚りがありました。本職の将棋ライターや観戦記者の方々と比べたら全然……と、自分の気持ち的にも、あくまで将棋ファンに留まっていました。
 しかし、そんな姿勢ではダメなのだ。もっと前向きでなければ、この先も将棋の仕事はきっとできないだろうと思ったのです。
 そこで一念発起し、まずは「将棋ライター」とブログの説明にもプロフィールにも記載することにしたのです。将棋ライター志望ではなく、将棋ライターであるという意思表示です。もとより資格が必要なわけでもないし、一度でも将棋の仕事をしたことがあるなら、堂々と名乗っていいじゃないか!

 幸い、将棋ブログ運営に関しては一年以上の経験がありました。これが判断材料になったのでしょう。ビジネス教育出版社から連絡をいただいたのは、まもなくのことでした。

 

 ところで漫画家さんの話ですが、少し前にこんな記事が話題になりました。

kaichinomangablog.com

なぜ、「漫画家」と名乗っただけで仕事が来るようになったのか考えたが
おそらく相手の“選択肢に入った”ということだろうと思った。

 これには我が意を得たりと思ったものです。
 仕事を頼む側に立って考えてみれば、わかりやすすぎる話でした。どんな企業が、単なる志望者に仕事を依頼しようと思うでしょうか? それも将棋のような専門的な知識が要求される分野において。

 将棋ライターだとはっきり名乗った。それが今回の書籍刊行にまで繋がったのです。

将棋文化・歴史・専門用語がわかる! 将棋番組が10倍楽しくなる本

将棋文化・歴史・専門用語がわかる! 将棋番組が10倍楽しくなる本

 

  というわけで、よろしくお願いします!