第4期叡王戦のトーナメント表発表! 段位別予選の見どころとは
第3期叡王戦は、高見泰地叡王の誕生で幕を閉じました。
そして6月9日、その高見叡王に挑む第4期叡王戦のトーナメント表が、早くも発表されました。
叡王戦の大きな特徴のひとつが、段位別の予選になっていることです。
つまり四段同士、五段同士という風に、同じ段位の棋士で予選を争うわけですが、このシステムだとめったに見られない組み合わせが見られる可能性が高まるのです。特に九段戦において。
将棋界の最高段位である九段には、大きく分けて2種類の棋士がいます。
- 現時点のトッププロ
- タイトル獲得やA級在籍歴がある、かつてのトッププロ
1の代表は羽生世代ですね。2は桐山清澄九段、南芳一九段、高橋道雄九段といった棋士が挙げられます。
そして1の棋士と2の棋士が公式戦で顔を合わせる機会は、あまりありません。順位戦でも竜王戦でもほとんどの場合クラスが違いますし、2の棋士はすでに指し盛りをすぎているため、他の棋戦においてもシードされることも多い1の棋士と当たる前に敗退するケースのほうが多いです。
しかし必ず九段同士で当たる叡王戦の予選なら、現在のトッププロvs往年のトッププロという、長く将棋ファンをやっている人にはたまらない組み合わせも実現することがあるわけです。昨年などは、羽生善治竜王vs小林健二九段という組み合わせもありました。
【第4期 #叡王戦 開幕局】追加情報⑦
— ニコ生公式_将棋 (@nico2shogi) 2018年6月9日
6/23(土)14時より、九段予選 屋敷伸之九段 vs.三浦弘行九段の開幕局を生放送します。
勝者は同日19時より、福崎文吾九段と対局します。
●開幕局・視聴→ https://t.co/3MaJ1gc5TO pic.twitter.com/qXB3bnCcNX
段位別予選は九段から、6月23日(土)に開始されます。まずは現在バリバリのトッププロである屋敷伸之九段vs三浦弘行九段。その勝者が戦うのは、十段と王座のタイトル獲得歴もある「妖刀」福崎文吾九段です。実に面白い戦いになりそうですね。
女性アマチュアの躍進、マイナビ女子オープンチャレンジマッチの結果
つい先日五番勝負が終わったばかりのマイナビ女子オープン、第12期がいよいよ開幕します。
西山朋佳女王に挑戦するのは誰か? その皮切りとなるのがチャレンジマッチです。将棋ライトノベル『りゅうおうのおしごと!』第4巻でも、スポンサー名そのままに描かれました。
これはいわゆる予備予選で、後日に行われる「一斉予選」への出場権を懸けたプロアマ混交戦です。出場資格者は以下のとおり。
- 奨励会3級以下(5月1日時点)、研修会所属を含む、アマチュア女性選手(元女流棋士は除く)
- 3期連続で予選1回戦敗退の現役女流棋士
そしてチャレンジマッチを通過したのは、以下の9人と決まりました。
- 渡辺弥生女流初段
- 相川春香女流初段
- 礒谷真帆アマ
- 野原未蘭アマ
- 山田久美女流四段
- 高群佐知子女流四段
- 小澤望アマ
- 脇田菜々子アマ
- 宮澤紗希アマ
なんと過半数がアマチュア選手です。
チャレンジマッチは、アマチュア選手にとってはプロに教えてもらえるまたとない機会で、のびのびと指せます。しかしプロにとっては、アマには負けられないというプレッシャーがあります。そういった事情も多少はあると推察されますが――単純に女性アマチュアの棋力が全体的に底上げされてきたと考えるのが妥当でしょう。藤井聡太七段の起こしたブームもあって、競技人口そのものが増えています。女性アマチュアの棋力は今後さらに伸びていくはずです。
一斉予選は7月7日(土)に行われます。アマチュア選手5人のさらなる飛躍を期待しましょう。
老朽化した東西将棋会館、ついに建て替えなるか?
本日は一切の公式戦がなく、どうしたのかと疑問に思われた方も少なくなかったと思います。
日本将棋連盟はこの時期、年に一度の棋士総会を開催しており、今年は本日がその日だったのです。棋士総会では東西の棋士が一堂に会して、さまざまな報告や質疑応答などが行われます。田丸昇九段のブログには、例年総会の模様がアップされます。去年には三浦九段の冤罪事件が大きく取り上げられました。
5月29日の日本将棋連盟の通常総会で報告された三浦九段の冤罪問題の後始末: 田丸昇公式ブログ と金 横歩き
今年も詳細なレポートがあることを、ぜひ期待したいと思います。
さて今年は、将棋ファンにとっても重要な議題があったようです。
日本将棋連盟の総会、先ほど終了しました。その後記者会見があり、東西の将棋会館の老朽化を受けて、「会館建設準備委員会」が発足したとの説明がありました。委員長には羽生善治竜王が就任しました。どう建て替えるのか、そもそも現在地での建て替えが可能かなど、今後検討を進めるとのことです。
— 村瀬信也 (@murase_yodan) 2018年6月8日
老朽化した東西将棋会館の建て替えを実現すべく「会館建設準備委員会」が発足したというのです。そして委員長には羽生善治竜王が!
東京千駄ヶ谷の将棋会館は1976年に、大阪福島の関西将棋会館は1981年に建築されました。これほどの時間が経てば老朽化は免れず、近年には大がかりな耐震工事や配管工事が行われています。
しかしこれも根本的な解決にはなりません。この先の数十年を見据えるなら、やはり立て替えが必要です。藤井七段が起こした将棋ブームを無駄にしてはならない、そんな考えもあったのではないでしょうか。
村瀬記者が書かれているように、さまざまな課題があるでしょう。しかしまずは棋士のみなさんが一致団結して、ひとつの目的に進んでほしい。一将棋ファンとしては心からそう願うばかりです。
はじめて将棋プレミアムを利用してみた感想
本日行われたリコー杯女流王座戦の二次予選、里見咲紀女流初段vs竹俣紅女流初段は竹俣さんの勝利でした。竹俣さんは最終盤、1分将棋の中で長手数の詰みを逃さず、実に見事な収束を見せてくれました。
竹俣女流初段が本戦進出!#竹俣紅 女流初段VS #里見咲紀 女流初段 戦は竹俣女流初段が勝利し、初の本選進出を決めました。先手の里見女流初段が優勢と検討されていましたが、竹俣女流初段が逆転しました。#女流王座戦 #ShogiLivehttps://t.co/Icbo52BMur pic.twitter.com/Y5I1qz4RxO
— 日本将棋連盟【公式】 (@shogi_jsa) 2018年6月7日
今回は↑の記事でも書いていたとおり、将棋プレミアムに1day登録して生中継を見ていました。そこでこのサービスを利用してみた感想を書いてみようと思います。
画質はまったく問題なし
一番大事な画質のクオリティですが、なかなか綺麗です。フルスクリーン表示しても対局者のおふたりの凜々しい姿は損なわれず、クッキリしていました。まあ有料サービスですから、これくらいは最低条件ですね。
ページがシンプルで見やすい
白を基調としたページは、余計なものがなくてシンプルです。このくらいでいいんですよね。コメントを書き込むこともできます。
動画再生はスムーズ
視聴者数が少ないこともあるのでしょうが、再生はスムーズです。大事なところで止まってしまった! なんて心配はなさそうです。
将棋プレミアムを利用したのは初めてのことでしたが、十分にいいサービスでした。
あとはどれだけコンテンツを充実させられるか。将棋連盟モバイルはほとんど女流棋士の対局を中継してくれないので、今回のように注目の女流棋士の生中継をもっと増やせば、視聴者増を見込めるのではないでしょうか。
藤井奈々女流2級誕生! 今年度は圧巻の5戦全勝
先日も取り上げた藤井奈々女流3級ですが、本日行われたリコー杯女流王座戦の二次予選、対中澤沙耶女流初段戦において勝利しました。これにより藤井さんは「女流王座戦本戦入り」の規定を満たし、女流2級への昇級を決めました。正式な女流棋士の仲間入りです。
藤井奈々女流3級が女流2級に https://t.co/TsgJ0822fH
— 名人戦棋譜速報 (@meijinsen) 2018年6月7日
さっきの将棋△42金やりましたね。終盤で1手の余裕を作る手筋です。女流棋界も藤井さんが活躍ですね。
— 大平武洋 (@oohira0511) 2018年6月6日
藤井女流二級昇級おめでとうございます。最近は棋士室でもよく指しておられ、勉強が実りましたね。
— 西遊棋実行委員会 (@kansaishogi) 2018年6月6日
終盤はさすがの切れ味でした。(糸谷)
細いように見えた攻めを上手く繋ぎ、終盤にはプロ棋士も賞賛する決め手がありました。
藤井さんは今年度5戦全勝で、本当に勢いがあります。勝ち進んでいけばさらに昇級昇段していきますが、一番早いのは伊奈川愛菓女流初段との倉敷藤花戦3回戦になりそうです。これに勝ってベスト8入りすれば、早くも女流1級です。
ともあれ、もう仮資格喪失のプレッシャーからは解放されたことでしょう。今後の活躍がますます楽しみです。
期待大のノンフィクション! 『師弟 ~将棋界、魂の伝承~』
将棋界には師弟関係というものがあることが、藤井聡太七段と杉本昌隆七段のおふたりによって、将棋を知らない人たちにもある程度は知られるようになりました。
そして今月、この将棋界独特の伝統である師弟制度をクローズアップした書籍が刊行されます。
弟子をとる、プロ棋士まで育てる道のりには、師弟の間でどんなドラマ、戦いが待っているのか。藤井聡太と師匠・杉本昌隆はもちろん、現在弟子を一人もとっていない羽生善治永世七冠も登場。ほか、谷川浩司-都成竜馬、森下卓-増田康宏、深浦康市-佐々木大地、石田和雄-佐々木勇気、森信雄-糸谷哲郎ら全6組の師弟が登場。将棋連盟全面協力、「観る将」そして「やる将」も必読のノンフィクションです!
Amazonにはまだ書影と内容紹介がありませんが、以下のサイトから引用させてもらいました。
このNetGalleyというサイトは初めて知ったのですが、出版社が提供する発売前の作品のゲラ・原稿を読むことができるんですね。著者の野澤亘伸さんは、ベテランのカメラマン。文章だけでなく写真でも楽しめるのでしょう。実際に読んだ人からはかなりよい評判のようで、期待大です。
タレントとしても人気の竹俣紅女流初段、ネット中継で対局姿を見られる!
第8期リコー杯女流王座戦は、本戦トーナメントへの出場者を決める二次予選がいよいよ今週から開幕します。
女流棋士の対局はタイトル戦や挑戦者決定戦、一部のプロアマ混交予選、あとは非公式のイベント対局くらいしか中継される機会がないのですが、対局予定のページを見ると、この二次予選はリコー杯サイトと将棋連盟モバイルでの中継が予定されています(二次予選の全部が中継対象であるかは、まだわかりませんが)。
そして6月7日(木)には、竹俣紅女流初段vs里見咲紀女流初段が行われるのですが、この対局が有料会員サービスの「将棋プレミアム」でも中継されるのです。
【生中継のお知らせ】
— 【公式】将棋プレミアム (@shogipremium) 2018年5月30日
6月7日(木)に行われる「第8期女流王座戦 竹俣紅女流初段vs里見咲紀女流初段」の一戦を、将棋プレミアムで生中継します!
両者とも、公式戦の動画生中継では初登場となります。お見逃しなく!
配信ページはコチラ⇒ https://t.co/VFKLCRg191#将棋プレミアム pic.twitter.com/xTPnQX88ms
有料会員しか閲覧できないとはいえ、予選段階での動画生中継というのは、男性棋士の対局でもそうそう組まれるものではありません。やはりタレントとしても人気の竹俣さんだから、この中継は実現したのでしょう。
竹俣さんといえば、先日に文春オンラインでのインタビューが公開されていました。
学生といっても職業を持っているので、経済的に自立したい思いが強かったんです。私は棋士として対局料をいただいていますが、高校の時に自分の対局料を知って、将棋だけではまったく自立できないことを自覚したんです。それで、もう一個何か職業を持った方がいいと考えて、タレント業もすることにしました。
対局料だけでやっていける女流棋士は、タイトル戦に出るトッププレイヤーくらい。このことは知識としては知っていましたが、当人の口から出る言葉はやはり重いですね。
一将棋ファンとしては、できる範囲で棋士の対局料に寄与したいと考えていますので、今回の対局、将棋プレミアムに1day会員登録してみようと思います。みなさんもいかがでしょうか。
千駄ヶ谷で将棋めしのイベントが開催!
6月3日に渋谷区で「渋谷おとなりサンデー」というイベントが開催されます。
地域コミュニティーの活性化を目的として開催されるイベントで、いろいろと楽しい企画があるようです。
そして明日には、前夜祭としてこんなイベントが。
千駄ヶ谷の鳩森八幡神社の裏手に将棋会館があります。
この将棋会館では棋士の方々が対局の合間のお昼ご飯や晩御飯に、出前をとって食べます。昨年「将棋めし」として注目をされました。
わたしたちは、「渋谷おとなりサンデー」の趣旨に賛同し、この「将棋めし」で「渋谷おとなりサンデー」の前夜祭を企画しました。
出前だけのお祭りは、今までないと言えます。色々と試行錯誤しておりますが、緑豊かな神社の境内敷地内で食べる出前は、とても美味しいのではと思っております。関係者一同、鋭意準備をしております。
皆さん、出前をとって一緒に「将棋めし」のご飯を食べにきませんか
将棋ファンにはおなじみの鳩森八幡神社で、これまた将棋ファンにはおなじみの店(ほそ島や・ふじもと・みろく庵・紫金飯店・千寿司)に出前を頼む。ただ食べるだけなのに、何と面白そうなイベント!
普段は見られない「将棋堂」の扉も開かれるそうなので、近隣の方もちょっと遠い方も、足を運ぶ価値があるのではないでしょうか。
いつの間にか公開されていた「女流棋士の降級点と引退制度」
先日、女流棋界のレジェンドである蛸島彰子女流六段の引退祝賀会が開催され、大好評のうちに終わりました。
女流棋界の先駆者・蛸島彰子女流六段「将棋から学んだことは続けることの大切さ」引退記念パーティーに約300人 https://t.co/LX2ROkLBlb pic.twitter.com/GUk5gQ0xlG
— スポーツ報知 (@SportsHochi) 2018年5月27日
蛸島さんの功績は非常に大きく、この方がいなければ今の女流棋界はなかったと言っても過言ではありません。蛸島さんはもう公式戦には出ませんが、今後もLPSAプロとして「1dayトーナメント」など、LPSA主催の大会には出場されます(ちょうど6月9日に開催されます)。まだまだ後輩たちに存在感を示されることでしょう。
さて、蛸島さんは自らの意思で引退されたわけですが、女流棋士にも棋士と同様に、降級点と引退に関する規定があります。
その規定というのは、これまで非公開でした。そのためどういう場合に降級点を取り、引退に追い込まれるか、ファンにはほとんどわからなかったのです。プレイヤーそれぞれにファンがいる競技にとって、これは好ましくないことでした。
しかしその降級点と引退制度についての文章が、将棋連盟サイトに公開されていたのです。
これが記載されているのは「よくある質問」のページ。どうやら先月には公開されていたようなのですが、トップページでもお知らせを見た記憶はありません。知らなかったという人のほうが圧倒的に多いのではないでしょうか。かなり大事なことなので、もっと大々的に告知してもよさそうなものですが……。
この内容は昨年度までとそう変わりはないのか、それとも女流棋士規定変更に合わせて、こちらにもかなり手が入ったのか、定かではありません。ともあれ、今までベールに包まれていた事柄が明らかになったのは、ファンにとってはプラスでしょう。
新たな女流3級、田中沙紀さんがプロへの道へ
本日、女流棋界に明るいニュースがありました。
田中沙紀さんが女流棋士3級に!#田中沙紀 さんから女流棋士への資格申請書が提出されました。2018年6月1日付で、関西本部所属の女流棋士3級になります。
— 日本将棋連盟【公式】 (@shogi_jsa) 2018年5月30日
※旧規定での資格申請となります。https://t.co/nux8IoxdGE pic.twitter.com/kWyIGS2Gni
関西研修会C1クラス所属の田中沙紀さんが、女流3級に!
今年度から女流棋士規定が改定されて、今後は女流3級がなくなると当ブログでも書いてきたのですが、
- 平成30年5月末日までに旧規定か新規定かを選択する。
- 旧規定を選択した者には、平成31年3月末日の申請まで旧規定を適用する。
- 旧規定での申請は1回限りとし、申請期間は資格取得日から2週間以内とする。
という項目があるのを失念しておりました。ともあれ、田中さんが旧規定を選択しての最初の適用者ですが、他に選択者がいなければ最後でもあるかもしれません。B2への昇級で女流2級を目指すとなれば、また少なくない時間が必要だったでしょうし、これは好手でしょう。
立場が人を強くするとは、よく言われることです。仮資格とはいえプロになったことで、これからは堂々と公式戦に参加できます。その身分が、きっと棋力の向上に寄与するはずです。
デビュー戦はおそらく夏のマイナビ女子オープン予選。ここで本戦入りすれば一気に女流2級なので、期待したいですね。