Arai Koh's Shogi Life

将棋ライター・アライコウのブログです。将棋について書いていきます。

藤井聡太七段、念願のタイトル挑戦ならず。そして加藤一二三九段の2年前の金言

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 本日行われた王将戦挑戦者決定リーグ戦の最終局で、広瀬章人竜王が藤井聡太七段に勝利し、渡辺明王将への挑戦を決めました。

 タイトル挑戦の最年少記録が期待されていた藤井七段。マスコミも多く将棋会館に押しかけ、あの29連勝のような注目ぶりでしたが、快挙はならずです。

 さて、今回藤井七段は先手番で「矢倉」という戦法を用いました。昭和~平成にかけて流行した一大戦法なのですが、ここ数年は後手の有力策が進歩したことで、先手番で矢倉をやろうという棋士は激減していました。
 そんな矢倉を、なぜ今回藤井七段が採用したのかは、今後のコメントを待ちたいところですが、彼の戦いぶりに感心したであろう棋士がいます。ご存じ加藤一二三九段です。
 加藤九段は現役時代に矢倉の大家と呼ばれ、これで名人をはじめとする数々のタイトルを獲得しました。そして2年前の藤井四段(当時)が連勝街道を突き進んでいた頃、こんなコメントを残していたのです。

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「我々、将棋界のトップは先手の矢倉でトップに立っている」と過去を振り返りながら「藤井さんが、これから先、先手の矢倉を熟達するとタイトル取れます。これが無関心だったらば、いけません」と金言を贈っていた。

 藤井七段は、矢倉に無関心ではありませんでした。この大一番で挑んだのです。先手矢倉は依然有力と考えているからに他なりません。
 難しい中終盤で秘術を尽くし、一時は勝利目前というところまでいきました。
 しかし頓死という劇的な幕切れでした。最後の最後で間違えてしまったのです。

 あまりにも悔しい、おそらくはプロ入り以降でもっとも悔しい敗戦でしょう。
 しかしトッププロと呼ばれる棋士の誰もが、こんな負けを経験してきたはずです。
 藤井七段はきっと、矢倉戦法にさらなる磨きをかけて、いつか再びこのような大舞台に立つでしょう。その日が遠くない未来に来ることを、多くの将棋ファンが願っています。

藤井聡太全局集 平成30年度版

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