将棋連盟は棋譜・局面図のネット上での扱いについて公式見解を示してほしい
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ここ数日話題になっていますが、将棋連盟Liveアプリのアップデートが行われ、局面図ツイート機能が削除されました。
どういう機能かというと、当ブログでも先日こんな記事を書きました。
【参考記事】新たなる棒銀の使い手! 服部慎一郎三段が公式戦連勝
この機能はTwitterをやっている多くの将棋ファンが活用していました。「これは驚愕の一手!」とか、「こんな面白い棋譜コメントがあった」とか。何と言っても公式の機能だったので、誰もが遠慮なくツイートしていたわけです。
ところが今回の機能削除。先日連盟理事に就任した西尾明七段によれば、「権利上の関係」ということでした。
私自身この機能を使用したこともありますが、権利上の関係もあり、今回から観戦画面を添付したツイート機能は停止させて頂くことになりました。ご不便お掛けしますが、ご理解のほどよろしくお願い致します。
— 西尾明 (@nishio248) 2019年6月26日
そして将棋連盟に問い合わせた方もいました。
詳しくは書けないけど、中継アプリのツイートができなくなった件は、「スポンサーからの要請」が理由のようです。
— けいおー (@kotymimz) 2019年6月27日
多くの人が想像していたと思いますが、棋戦主催者であるスポンサー(新聞社)からの要請ということで間違いはないようです。
また、将棋ファンである伊藤雅浩弁護士(伊藤匠三段の父)は、この件に関しては否定的な見解を示しています。
行き詰まる対局の様子をSNS通じて将棋ファンがワイワイやることを禁ずることで誰にどんなメリットが生じるのか、わかりません。
— Masahiro Ito/伊藤雅浩🍀 (@redipsjp) 2019年6月26日
棋譜自体に著作権はない、とされているのですが、公式戦の棋譜・局面図の扱いについては、たびたび話題になります。以前にも藤井聡太七段が登場した朝日杯で、棋譜を元にリアルタイムで実況していた動画配信者が朝日新聞社から警告され、配信を取りやめるということがありました。
私はこの件については「それは当然だろう」と納得していますし、スポンサーの利益獲得を阻害するようなことは、ファンとしては厳に慎まなければならないと思っています。さもなければ、契約金を支払ってスポンサーになろうという企業がなくなってしまいます。伊藤弁護士も同様の見解を示しています。
整理すると、
- 棋譜そのものに著作権はない
- 棋譜コメントや観戦記には権利が発生する
- 無断のリアルタイム実況などスポンサーの商売の邪魔になることは慎むべき
このあたりはほとんどの将棋ファンの間で意識が共有されていることと思います。
しかし今回の将棋連盟Liveアプリのツイート機能削除は、いささか唐突でした。アプリの機能を削除するなら、普通は事前にスケジュールを決めて「諸般の事情につき、この日に削除します」などと予告するものです。今回は「スポンサーへの配慮ということなら仕方ない」と理解を示している人が多いはずですが、どんな理由があれ今まで使えていた機能が予告なく削除されれば、余計に物議を醸すのは当然です。
そして一番の問題は何かといえば、肝心の将棋連盟が棋譜・局面図のネット上での扱いについて、今まで公式の見解を示したことがないということです。少なくとも現在、将棋連盟サイトでは確認できません。
どうも、何かにつけ将棋連盟は後手後手というか説明不足という印象なのです。「あまりガチガチにガイドラインを決めるのはよくない」とか、そうした声も上がってきそうですが、棋譜はプロ棋士の心血を注いだ成果物です。だからこそそれを管理する将棋連盟には、はっきりした見解を示してほしい。
この件に関して、これから様々な調整が必要な段階でして、歯切れが悪くユーザーの皆様にご迷惑をお掛けして、申し訳ありません。
— 西尾明 (@nishio248) 2019年6月26日
ということですので、時間はかかるでしょうが、ぜひ新体制の理事会とスポンサー各社には活発な議論を交わしてほしいと思います。あとできれば、法律のプロも交えて。