Arai Koh's Shogi Life

駆け出し将棋ライター・アライコウのブログです。将棋について書いていきます。

元祖将棋漫画『あばれ王将』を読んでみた

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 先日『5五の龍』についての記事を書きました。

araishogi.hatenablog.com

 将棋漫画初のベストセラーはおそらくこの作品だと思うのですが、では元祖と言える作品は何でしょうか。確認できるのは『あばれ王将』という作品です。
 作者は貝塚ひろしさん。少年ジャンプ創刊期の看板作家だったそうです。『あばれ王将』は週刊少年サンデーで1966年から1967年にかけて連載され、単行本は全2巻が発売されました。これより古いのはちょっと見つからなかったのですが、もしご存じの方がいれば教えていただけると幸いです。

週刊少年サンデー あばれ王将(貝塚ひろし)

 何しろ50年も昔の作品なので、普通なら入手するのは難しそうですが、最近になって電子書籍化されています。もちろんKindleにもあったので、こちらを購入してみました。

あばれ王将 (1)

あばれ王将 (1)

 

火事の中、母親の死と引きかえに生まれた嵐大吾。母のかたみの王将を握りながら育ち、将棋では負け知らず。しかし、中学に進学した大吾は、ある日出会った酔っ払いの男に初めての敗北を喫する。この将棋界の鬼才・鬼頭八段との出会いで大吾はさらに将棋にのめりこんでいく。

 ケンカっぱやく口は悪いが、根っこの部分は純なヤツ。嵐大吾はまさに昭和的な主人公です。村田英雄の『王将』が歌われていたり、「将棋きちがい」なんて今なら絶対に使えない言葉が使われているあたりも、時代を感じさせます。
 ところで将棋漫画の定義というのは、実は意外と難しい。『5五の龍』などはずーっと将棋ばかりなのでわかりやすいですが、現在もっとも有名な『3月のライオン』は、どちらかといえば「将棋棋士をキャラクターとした人間ドラマ」の側面が強いんですね。将棋がひとつのテーマではあるけれど、将棋漫画と言い切れるかどうかはちょっと難しい問題です。
 では『あばれ王将』はどうか。紹介文に「大吾はさらに将棋にのめりこんでいく」とありますが、実際は将棋ばかりやっているわけではなく、家族の問題やふたりの棋士・鬼頭八段と荒巻八段を巡る因縁がメインテーマになっています。そういう意味では『3月のライオン』に近いものがあります。人間ドラマというより、人情ものというほうが昭和の作品にはふさわしいでしょうか。


 全2巻は予定どおりの終わり方だったのかはわかりませんが、打ち切りという感じはあまりなく、きっちりまとまっている印象でした。将棋漫画の源流に触れてみたい人にはオススメです。