Arai Koh's Shogi Life

将棋ライター・アライコウのブログです。将棋について書いていきます。

こういうのが欲しかった? 符号を書くのに便利なキーボードアプリ

 今朝、いつものようにTwitterを#shogiタグで眺めていると、こんなものを見つけました。

 その名も『将棋用キーボード』。つい先月リリースされたばかりの、Android用アプリです。
 私はTwitterでたびたび局面の内容をツイートすることがあります。パソコンだとそれほどでもないですがスマホのフリック入力だとわりと面倒ですよね。先手後手を表す▲&△とか、漢数字と算用数字の使い分けとか。

 しかしこのキーボードアプリを導入すれば、そんな煩わしさからは解放されるかもしれません。Androidユーザーの方で、しょっちゅうTwitterに符号を書く人はいかがでしょうか?

f:id:araicreate:20180505162247p:plainダウンロードはこちらから。

升田の系譜を受け継ぐ者! 長谷部浩平四段が今月デビュー戦

 新年度が始まって、早くも一ヶ月が経過しました。名人戦に叡王戦、王位戦の挑戦者決定リーグなど注目局が目白押しですが、個人的にはこの棋士に注目したいと思っています。

www.shogi.or.jp

 4月1日付けでデビューした、長谷部浩平四段。ちょうど最近誕生日を迎えた24歳で、栃木県出身です。
 これから長谷部四段を語る際には、この栃木県というワードが欠かせません。何しろ栃木県出身の棋士は故・永沢勝雄八段以来2人目で、戦後では初。実に81年ぶりの朗報に、地元の下野新聞は号外を出しています。今や栃木の星と言っても過言ではなさそう。

【電子号外】長谷部さん(宇大4年、小山)がプロ棋士に 栃木県出身者で戦後初|下野新聞「SOON」

 長谷部四段の師匠は、大平武洋六段です。大平六段はこれまで10人近く弟子を取りましたが、その中で長谷部四段が唯一プロ棋士になりました。Twitterやブログでは三段リーグを戦う彼を見守る様子がよく見られたのですが、ホッと一息というところでしょう。
 ところで長谷部四段、なぜ大平六段に弟子入りしたかというと、升田幸三に憧れているからと語っています。

www.hochi.co.jp

 四段昇段が決まったときの記事ですが、「升田名人の孫弟子だから大平六段にお願いした」とのこと。系譜をわかりやすく書くと、こうなります。

升田幸三⇒桐谷広人⇒大平武洋⇒長谷部浩平

 株主優待生活でおなじみの桐谷七段門下には、大平六段と今泉健司四段がいます。しかし大平六段はもう弟子は取らない予定とのこと。そして今泉四段は編入試験を経てようやくプロの座を射止めた苦労人、自分のことが第一で、弟子を取るということはおそらく考えておられないでしょう(少なくとも当分は)。
 つまり長谷部四段こそ、升田幸三の系譜を受け継ぐ最後の男というわけです。

 先日にはプロ入りを記念する祝賀会が開かれました。NHK宇都宮放送局のページでその様子が見られます。

www3.nhk.or.jp

「信手一生」実にカッコいいですね。
 居飛車力戦形が得意だという長谷部四段のデビュー戦は今月予定。楽しみに待ちたいと思います。

升田のごとく

升田のごとく

 

祝! 週刊少年ジャンプで将棋漫画『紅葉の棋節』連載決定

 とても喜ばしいニュースが飛び込んできました。

 天下の週刊少年ジャンプで、将棋漫画『紅葉の棋節』の連載が決定しました。
 実はこの作品、増刊誌の『ジャンプGIGA』で短期集中連載されたことがあり、単行本も発売しています。

モミジの棋節 (ジャンプコミックス)

モミジの棋節 (ジャンプコミックス)

 

 近頃の将棋ブームに乗ってということもあるでしょうが、作品そのものの人気とポテンシャルがあったからこそ、このたびの本誌昇格に繋がったのだと思います。
 気になる監修ですが、GIGA版はアニメ『3月のライオン』の監修もされた田中誠さんでしたが、今回は三枚堂達也六段です。ご本人のTwitterで発表されました。

 連載は5月14日発売のNo.24から。期待しましょう!

香川愛生女流三段のコスプレ、ニュースに取り上げられる

 先日、香川愛生女流三段がTwitterに投稿した『りゅうおうのおしごと!』のコスプレは、将棋ファンだけでなく多くの人に衝撃を与えました。

 なんと1万いいね。実際、ちょっとレベルが違う感じです。Twitterにコスプレイヤーの写真が流れてくることはさほど珍しくないのですが、日本人でここまで完成度の高いコスプレはめったに見ません。『りゅうおうのおしごと!』原作者の白鳥士郎さんも大絶賛です。

 このコスプレが披露されたのは、囲碁・将棋ブースもあった「ニコニコ超会議2018」において。しかし香川さんは仕事ではなく、あくまでプライベートで足を運んだだけだそうです。
 ご本人はあまりの反響の多さに驚かれているようで、今回の件についてあらためてTwitterに投稿されています。これがまた胸を打つ文章で。

 そしてこのことが、本日スポーツ報知に取り上げられました。

www.hochi.co.jp

 将棋を盛り上げるために、ファン拡大のために、文字通り体を張って活動する香川さんには敬意を表します。
 というかプロのコスプレイヤーとしてもやっていけるのではと、本気で思ってしまいました。またぜひ新作を! 

コンピューター将棋研究の第一人者、suimon氏が書籍を刊行!

 棋書を刊行するのは、何もプロだけの特権ではありません。そう多くないことではあるのですが、アマチュアが刊行することもあります。
 古くは元奨励会三段・鈴木英春さんの『英春流かまいたち戦法』。金子タカシさんの『○○の手筋』シリーズはロングセラーですし、最近では今泉健司四段がアマ時代に出した『最強アマ直伝! 勝てる将棋、勝てる戦法』や、亡くなられた天野貴元さんの『嬉野流』などがあります。

必殺!右四間―英春流「かまいたち」戦法〈完結編〉 (三一将棋シリーズ)

必殺!右四間―英春流「かまいたち」戦法〈完結編〉 (三一将棋シリーズ)

 
寄せの手筋200 (最強将棋レクチャーブックス)

寄せの手筋200 (最強将棋レクチャーブックス)

 
最強アマ直伝! 勝てる将棋、勝てる戦法 (マイナビ将棋BOOKS)

最強アマ直伝! 勝てる将棋、勝てる戦法 (マイナビ将棋BOOKS)

 
奇襲研究所 ?嬉野流編? (マイナビ将棋BOOKS)

奇襲研究所 ~嬉野流編~ (マイナビ将棋BOOKS)

 

 そしてこのたび、コンピューター将棋ファンが待ち望んでいた棋書が出ることになりました。

 suimon氏は「コンピュータ将棋研究blog」を運営している、将棋ソフト研究の第一人者として知られています。
 プロもアマも参考にしているであろう、コンピューター将棋の最新研究が、満を持して書籍化されるわけです。プロの棋譜では決して見られないような攻め筋が見られたりするのでしょうか? 今までとはひときわ違う棋書として注目していきたいと思います。

コンピュータ発! 現代将棋新定跡 (マイナビ将棋BOOKS)

コンピュータ発! 現代将棋新定跡 (マイナビ将棋BOOKS)

 

曖昧だった順位戦の昇降級規定、ようやく明文化される

 名人戦七番勝負が絶賛進行中ですが、今年度の順位戦の組み合わせ表が発表されました。

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 さて、前期のA級順位戦で、前代未聞の6者プレーオフに突入したことは記憶に新しいところです。これは一種の事件でした。
 そしてこの事件が浮き彫りにしたことがありました。それは順位戦の昇降級について、明文化されていない事項がいくつかあったということです。

  • 指し分けは降級しない
  • 全勝すれば順位にかかわらず昇級できる

 特に将棋ファンが関心があったのはこの2点です。将棋ライターの松本博文さんがベテラン観戦記者の東公平さんに尋ねたところ、こんな返事があったそうです。

 かつて将棋連盟に勤めていた方も、明文化はされていないけどそういうことになっている、という証言をされています。

 本来、A級は10名の総当たりのため指し分けはありえないのですが、前期は冤罪事件から復帰した三浦弘行九段のA級地位保全措置により、11名で行われていました。そして降級枠3名のうち、指し分けで終わる棋士が出る可能性がありました。実際はそうならなかったのですが、これを機に規定の不備を指摘する声が内外から続出したわけです。

 

 前置きが少し長くなりましたが、上記の点を含む順位戦の規定について、このたび(26日から?)大幅に追記されたようです。

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 まず「順位・昇級・降級・降級点」の部分。

  • 指し分け以上の成績でも降級枠(降級点枠)に該当する場合は、降級となります(降級点がつきます)。

 次にB級2組、C級1組、C級2組について、この規定が追記されました。

  • 【B級2組】成績上位者2名の棋士はB級1組に昇級します。ただし、リーグ戦成績の全勝者が3名以上いる場合は、全勝者全員が昇級します。
  • 【C級1組】成績上位者2名の棋士はB級2組に昇級します。ただし、リーグ戦成績の全勝者が3名以上いる場合は、全勝者全員が昇級します。
  • 【C級2組】成績上位者3名の棋士はC級1組に昇級します。ただし、リーグ戦成績の全勝者が4名以上いる場合は、全勝者全員が昇級します。

 このように明文化されたのは、やはりよいことだと思います。
 たとえば藤井聡太六段は、C級1組に新しく入ったため、順位がかなり下です。そのため今期も全勝で終えたとして、上の順位に全勝者が2名以上いたら、昇級できないということもありえたわけです。これは将棋ファンのみならず、世間からもおかしいという声が殺到するでしょう。

 少なくとも昇降級に関しては、もう規定の不備はないと見ていいのかなと思いますが、おそらく他にも明文化すべき事項はあるのでしょう。今後も将棋ファンのために、そして実際に戦う棋士自身のために、柔軟に規定の見直しをしていただきたいと思います。

将棋順位戦30年史 1984~1997年編

将棋順位戦30年史 1984~1997年編

 
将棋順位戦30年史 1998~2013年編

将棋順位戦30年史 1998~2013年編

 

またまた快挙達成! 藤井聡太六段の全局集が今夏刊行

 ゴールデンウィークを前にして、ビッグニュースが飛び込んできました。

『藤井聡太全局集 平成28・29年度版』!
 そもそも全局集とは、棋士の中でも長年活躍したトッププロにしか刊行できない類のものです。それをデビュー2年に満たない藤井六段が刊行するとは、まさに快挙です。しかも愛蔵版(箱入り・上製本)ありという気合いの入れよう。これはマストバイでしょう。

 注目すべきは詳細に解説される「特選編」の12局ですが、印象深い敗局も取り上げられるようです(佐々木勇気六段戦、深浦康市九段戦)。負けの中にも、確かな価値がある。プロの将棋を鑑賞するときは、そういうことにも思いをいたすのが大事なのでしょうね。

 とにかく発売の日が楽しみです。確実に手に入れるなら、今のうちに予約を!

藤井聡太全局集 平成28・29年度版

藤井聡太全局集 平成28・29年度版

 

ニコニコ動画で加藤一二三九段の若かりし頃の映像が見られる!

 いつもは夜に更新するこのブログですが、明るいうちにお知らせしたいニュースがあったので、急遽更新です。

 ニコニコ動画が送る「ニコニコドキュメンタリー」で、加藤一二三九段の若かりし頃の映像が流れます! NHK杯で初優勝したときの映像はしばしばメディアでも流れますが、名人挑戦時の映像というのはそれほど見た記憶がありません。これは超貴重なチャンスですね。

 放送は今夜19時から。ニコニコのプレミアム会員でない人も、あらかじめタイムシフト予約をしておきましょう!

鬼才伝説 - 私の将棋風雲録 (単行本)

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ユリイカ 2017年7月号 特集=加藤一二三 ―棋士という人生―

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  • 作者: 加藤一二三,羽生善治,森内俊之,佐藤康光,先崎学,糸谷哲郎
  • 出版社/メーカー: 青土社
  • 発売日: 2017/06/26
  • メディア: ムック
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公式コラボ待ったなし? 永瀬拓矢七段がバナナの差し入れを受ける

 先月末まで行われていた第43期棋王戦の五番勝負で、挑戦者の永瀬拓矢七段がバナナを注文しまくっていたことが大きな話題になりました。

abematimes.com

 とにかくすんごい量で、将棋めしネタに飢えているファン諸兄も、これにはド肝を抜かれました。今や永瀬と言えばバナナ、バナナと言えば永瀬です。

 そしてこのことが、思わぬ展開をもたらしたようです。

 バナナを中心に事業展開している株式会社スミフルジャパンから、バナナの差し入れを受けたとのこと! GACKTさんがイメージキャラクターを務めるというこのブランド、恥ずかしながら今まで存じ上げなかったのですが、とことん美味しさを追求したバナナとしてとても人気らしいですね。

 4月18日の広瀬章人八段との対局を再チェックしてみましたが、棋譜コメントでは特にこの件については触れられていませんでした。今回はあくまでご厚意で提供されたということなのだと思います。

 しかしこうなると、公式コラボとかスポンサー契約とか、夢のある想像をしてしまいます。
 つい最近には丸山忠久九段がカロリーメイトのCMに出演し、カロリーナ・ステチェンスカ女流1級が同じくカロリーメイトの大塚製薬とスポンサー契約を結びました。

 同じような展開が永瀬七段にあってもいいのではないでしょうか? すでに少なくないファンが期待しているようですし、ぜひバナナ業界の方々にはご検討いただきたいですね。

南国フルーツ フィリピン産バナナ13kg

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カゴメ 野菜生活100 Smoothie(スムージー) 豆乳バナナミックス 330ml×12本
 
キッコーマン飲料 豆乳飲料 バナナ 200ml×18本

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大塚製薬 ソイジョイ バナナCaプラス 30g×12個

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名棋士・石田和雄九段の新刊『棋士という生き方』は全将棋ファン要チェック

 いろいろと興味深い将棋本の刊行が続きますが、特に面白そうだと思えるものがこちら。

棋士という生き方 (イースト新書Q)

棋士という生き方 (イースト新書Q)

 

 1967年にデビューし、2012年に引退した石田和雄九段。順位戦A級に在籍したこともある、昭和から平成初期にかけて活躍した名棋士のひとりです。

 多くの棋士を育て上げた名伯楽としても知られ、特に去年は藤井聡太四段(当時)の30連勝を阻止した佐々木勇気六段の師匠として取り上げられることが多かったですね。ちょうど今日には、叡王戦七番勝負を戦っている高見泰地六段にエールを送ったという記事がスポーツ紙に掲載されました。

www.hochi.co.jp

 石田九段は現在、千葉県の柏将棋センターの師範として普及に尽力されています。このサイトで毎週更新される「石田九段の今週のつぶやき」は、弟子たちへの愛情にあふれていて、読んでいると心が温かくなります。
 きっと今度の新刊も、このような素晴らしい文章で綴られているのでしょう。発売日を楽しみにしたいと思います。

 また、新刊発売記念のイベントも開催されるようです。近隣の方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょう。