Arai Koh's Shogi Life

駆け出し将棋ライター・アライコウのブログです。将棋について書いていきます。

加藤一二三名人誕生の一局をAIに解説させてみた

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 将棋観戦に欠かせないもの、それは解説です。
 プロの将棋は面白いのですが、非常に深くて難しい。だからわかりやすく解説してくれる人が不可欠なのです。将棋連盟モバイルなどでは観戦記者による棋譜コメント、ニコ動やAbemaの生中継ではプロ棋士の解説があります。彼らあってこそ、プロの将棋はより面白く伝わってきます。
 そして最近、ファンの間でにわかに注目を集めているのが「将棋山脈」というウェブ上のツールです。棋譜を読み込ませると、AIが自動的に解説文を作ってくれるという画期的なシステムです。

将棋山脈 - 将棋解説文自動生成

 昔の名局をこれに読み込ませると、面白いんじゃないか? そう思ったのでさっそくやってみました。
 取り上げたのは1982年7月30~31日、加藤一二三九段が名人になったときの記念すべき一局です。

 

加藤一二三 対 中原誠

 

 最初のポイントは48手目、後手が角銀交換に踏み切ったところ。後手が駒損になりますが、評価値は後手のほうがよくなっています。この時点で中原名人が作戦勝ちになってるんですね。
 63手目、現在では加藤九段が「敗着」と言っている▲6一角が打たれます。ここで評価値は大きく後手に傾きました。
 79手目、加藤九段が最近発見したという先手必敗の手順「△5五金 ▲6五歩 △4六金 ▲同角 △5五銀打 ▲同角 △5九飛打」を、AIは正しく指摘しています。しかし中原名人はこの手を逃しました。評価値が-1420だったのが、一気に互角まで戻るのはちょっとした感動です。飛車を取って悪いはずがないのに! たった一手でひっくり返る将棋の恐ろしさがここにあります。
 その後も互いに最善手は逃したようですが、だんだんと加藤九段がよくなっていきました。
 そして98手目△5二同金が指された瞬間、後手玉に詰みが生じました。17手詰めです。最後の▲3一銀は、実に美しい。これに加藤九段はなかなか気づけなかったそうですが、ついに発見したときに「あ、そうか!」と叫んだのです。万感の叫びだったことでしょう。

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 というわけで、昔の名局をAIに解説させてみる試みですが、予想以上に面白かったです。この解説の精度は素晴らしいですね。これからもっと改良されて、人間味のあるコメントができるようになればいいと思います。いや、もしかしたらAIにはそんなものは必要ないでしょうか……。