Arai Koh's Shogi Life

駆け出し将棋ライター・アライコウのブログです。将棋について書いていきます。

もっと将棋作品を読もう!【ライトノベル編】

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 藤井四段が起こしたブーム、あるいは映画化された『聖の青春』、アニメ化された『3月のライオン』、はたまた先日放送開始したドラマ『将棋めし』。いろんな形で将棋に興味を持つ人が増えて、将棋ファンとしてはまこと喜ばしいかぎりです。
 将棋への取っかかりとして、そういったフィクション、ノンフィクションはうってつけです。これらの多くは、将棋がよくわからなくても楽しめるからです。
 そこで今回のテーマは「もっともっと将棋がテーマの作品を読もう」。まずはライトノベル編からどうぞ。なおラノベ文芸的なジャンルも含めています。

王手桂香取り! 

王手桂香取り! (電撃文庫)

王手桂香取り! (電撃文庫)

 

上条歩。中学一年。三度の飯より将棋好き。ひそかに憧れる人は将棋クラブの主将、大橋桂香先輩。そんな歩のもとに突如美少女たちが現れる。
「私たちは、将棋の駒だ」
そう言い放つ彼女たちは駒の化身だという。人知を超えた将棋の強さをそなえる彼女たちの指導のもと、歩は棋力をめきめき上げていく。
折しも団体戦の大会が間近に控えており、歩は桂香先輩とともにライバルを打倒し、頂点を目指すべく奮闘する。
第20回電撃小説大賞・銀賞受賞、駒娘たちと送る熱い勝負とさわやかドラマの将棋青春ストーリー!

 これが商業ラノベにおける史上初の本格将棋作品です。個人出版で細々と将棋ラノベ(サイドバーで紹介しているやつです)を書いていた私は、この作品の登場にそれはもう歓喜したものです。お堅いと思われていた将棋も、充分に商業ラノベシーンに通用するのだと。駒が女の子に、という今なら誰もが思いつくであろうアイディアも、見事最初にやってくれました。
 あいにくと本作は第3巻で「第一部・完」的な終わり方をして、それっきり刊行がありません。将棋描写は非常に丁寧で、爽やかな青春をしていて、物語的にもしっかりまとまっていて楽しめるのですが、ファンとしてはやはり続刊を期待したい。今将棋ブームなことだし、どうですかね?

りゅうおうのおしごと! 

玄関を開けると、JSがいた――
「やくそくどおり、弟子にしてもらいにきました! 」
16歳にして将棋界の最強タイトル保持者『竜王』となった九頭竜八一の自宅に押しかけてきたのは、小学三年生の雛鶴あい。きゅうさい。
「え? ……弟子? え?」
「……おぼえてません?」
憶えてなかったが始まってしまったJSとの同居生活。ストレートなあいの情熱に、八一も失いかけていた熱いモノを取り戻していく――
のうりん』の白鳥士郎最新作! 監修に関西若手棋士ユニット『西遊棋』を迎え最強の布陣で贈るガチ将棋押しかけ内弟子コメディ、今世紀最強の熱さでこれより対局開始!!

『王手桂香取り!』が将棋ラノベというジャンルを確立した作品なら、本作はそれをよりラノベ的に発展させました。じわじわと売れ行きを伸ばし、将棋ペンクラブ大賞優秀賞、このライトノベルがすごい!第1位、そして先日発表されたアニメ化! 将棋作品という枠をとうに超えて、今もっとも注目を集めるラノベのひとつなのです。Amazonでも圧倒的好評価の嵐。多少(?)のロリコンネタや下ネタに抵抗がなければマストバイです。
 作者の白鳥士郎氏は緻密な取材に定評があり、本作の将棋描写も非常にリアリティがあり、かつ熱い。とにかく熱い。将棋に興味を抱いたばかりのみなさん、将棋は地味だというイメージが少なからずあると思います。しかし『りゅうおうのおしごと!』はそのイメージを見事に吹き飛ばしてくれるはずです。
 現在は第6巻まで刊行されており、第7巻も来年の1月に発売予定です。ぜひそれまでに、全巻読んでみましょう。

歩のおそはや ふたりぼっちの将棋同好会 

歩のおそはや ふたりぼっちの将棋同好会 (集英社オレンジ文庫)

歩のおそはや ふたりぼっちの将棋同好会 (集英社オレンジ文庫)

 

将棋に挫折し、無気力な日々を送っていた元天才少女の歩は、将棋同好会を立ち上げた元陸上部エース・涼の熱意に負け、将棋を再開する。
元ライバルの奈津子、師匠だった父、挫折の原因となった天才棋士・龍也…。将棋盤に向き合うたびに、過去の痛みに立ち向かっていく歩の隣には、いつも涼がいて…。
ひたむきに盤上を駆ける少女達の、ひと夏のガール・ミーツ・ガール。

 もうちょっと女性向けの作品はないのかしら? そんな人にはこちら。女の子が主人公というだけで、非常に貴重な将棋小説です。
 細やかな情景描写と心理描写をメインに、少女たちの友情と青春が広がっていきます。将棋バカの先輩とツンツンな後輩の関係が、実にいい。女性でなくても、熱さではなく爽やかなものを感じたい人にオススメです。

復讐ゲーム ―リアル人間将棋― 

取られた駒は死ぬ。それが仁義なきリアル人間将棋

将棋部に所属する南と後藤は、お互いの彼女を連れてダブルデートを重ねるなど、充実した高校生活を謳歌していた。しかし、文化祭の準備で学校に泊まりこみとなった夜、恐るべき復讐劇に巻き込まれる。
リアル人間将棋――それが復讐のために用意された舞台だった。
取られた駒は死ぬ、という仕掛けのもと、南と後藤は駒となった恋人を守るため、死力を尽くして対局に臨む。
一手一手が生死を分ける、待ったなしの対局の結末は? 戦慄のリアルゲーム×サスペンス・ストーリー!

 『王手桂香取り!』の作者による将棋サスペンスです。こんな作品も書けるのだなあと、芸風の広さを見せてくれました。
 よくも悪くも、将棋で殺人ゲームというアイディア一本勝負の作品。人がバンバン死ぬので、それが苦手でなければ手に取ってみてください。ちなみに私はかなり好きです。ラストシーンが、普通の将棋ではないということを見事に生かしているんですよ。

大江戸棋客伝 将棋に生きた女たち 

大江戸棋客伝 将棋に生きた女たち (楽ノベ文庫)

大江戸棋客伝 将棋に生きた女たち (楽ノベ文庫)

 

天明元年(1781年)、白部藩の江戸屋敷に、お香という女武芸者がいた。剣術だけでなく、将棋の腕も立つお香は、白部藩主の娘の教育係に抜擢された。

そんなお香の実家は本屋だった。早くに両親を亡くし、弟とともに非番のときは本屋業を商うお香のもとに、ある日、一冊の詰め将棋本が持ち込まれる。その本を検分していると、謎の浪人があらわれ「その本を売ってくれ」ともちかける。男の素性を怪しんだお香は、通常の何倍もする金額をふっかけるが、男はあっさりとそれを支払った。

はたしてお香は謎の詰め将棋本をめぐる大勝負を勝ち抜けられるのか?
大江戸を舞台にした痛快・将棋時代劇がいま始まる。

 マイナビ出版は将棋関連で知られていますが、こういったライトな文芸レーベルも持っています。……楽ノベ文庫は表紙がひどいと一部で有名ですが、本作はたぶんもっともマシな部類です。
 将棋名人の制度が始まったのは徳川家康の時代から。将棋が本格的に日本で盛んになったのは、江戸に入ってからのことなのです。本作はそんな時代の活気を見事に描写しています。読み込んだ江戸時代の資料はどれほどだろうかと唸らされますね。詰将棋が随所に出てきて、局面図を掲載しているのもユニークポイントです。

俺の棒銀と女王の穴熊 

俺の棒銀と女王の穴熊〈1〉

俺の棒銀と女王の穴熊〈1〉

 

季節は春、私立彩文学園に入学した春張来是と碧山依恋。
新しい学園生活に想いを馳せていた2人が出会ったのは……なんと将棋!
史上初?の本格将棋ライトノベル! 

 最後はただの宣伝。ぜひ買ってください。普通のラノベよりずっとお安いですよ。