Arai Koh's Shogi Life

将棋ライター・アライコウのブログです。将棋について書いていきます。

天才とは何よりも量である。加藤一二三九段の詰将棋制作60年の集大成が刊行

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 詰将棋本は毎月さまざまなタイプのものが発売されていますが、ひときわ注目を浴びそうなのがこの本です。

 JAグループ(農協)系列が刊行する月刊誌『家の光』にて、加藤一二三九段が60年間にわたり休まず連載してきた詰将棋コーナーから収録した詰将棋本です。
「天才とは、何よりも量である」
 故・栗本薫氏*1を評して、文芸評論家の福田和也氏が著書『作家の値うち』の中でこう言っています。汲めども汲めども尽きないアイディア、それを出力し続けられるエネルギー、それこそが天才の証だというわけです。羽生善治九段も「才能とは続けられること」といろんなところで語っていますね。
 同じ雑誌で60年間休まず詰将棋の出題を続けていた加藤九段も、まあ今さらではありますが、天才と呼んでしかるべきなのです。

 さて、ちょっと興味が湧いたので『家の光』に初めて加藤九段の詰将棋が掲載された号を入手しました。

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メルカリにはこんなものまで出品されてるから侮れません。

 1959年(昭和34年)の9月号。それまでは渡辺東一名誉九段が出題されていたそうです。
 加藤九段が1958年(昭和33年)、18歳にしてA級八段に昇ったことはあまりに有名ですが、やはり知名度が抜群に増したこの頃から、詰将棋の依頼がよく舞い込むようになったのでしょう。この年には週刊明星でも詰将棋を掲載していました。

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こちらはヤフオクで入手。

 

 とにもかくにも、60年です。私はまだその2/3も生きてはいません。想像を絶する継続力に、あらためて感嘆します。

直感精読 加藤一二三の詰将棋 (マイナビ将棋文庫)

直感精読 加藤一二三の詰将棋 (マイナビ将棋文庫)

 

  発売は来月の10月25日、心待ちにしたいと思います。

*1:世界最長の小説シリーズ『グイン・サーガ』が有名