Arai Koh's Shogi Life

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藤井聡太七段vs今泉健司四段、史上最年少と史上最年長の戦い!

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 明日7月15日、NHK杯テレビ将棋トーナメントで藤井聡太七段と今泉健司四段の対局が放映されます。NHKのPRもいつも以上の力の入れよう。

 藤井七段は言わずと知れた史上最年少デビューの棋士ですが、今泉四段こそは史上最年長デビューの棋士です。今泉四段のことをよく知らない、最近将棋ファンになった方のために、あらためてその経歴を振り返ってみます。

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 今泉四段は1973年生まれの45歳。1987年に奨励会入りし、1994年に三段リーグに登り詰めました。
 しかし1999年には年齢制限により奨励会退会を余儀なくされます。三段リーグ在籍時には次点(3位)を2回取るほどの勝ち星を挙げており、もし現行制度であればフリークラス入りでのプロデビューが叶ったのですが、当時はその規定はありませんでした。

 普通ならここで「プロになれなかった多くの奨励会員のひとり」として話は終わるのですが、今泉さんのプロへの情熱は消えはしませんでした。
 アマチュアとして数々の大会で優勝をかっさらい、2003年にはアマ枠で参加した竜王戦のランキング戦6組において、プロを立て続けに破りベスト8にまで進出しています。
 そして2007年には、奨励会三段リーグ編入試験に合格。この編入試験、現在に至るまで今泉さんの他に合格者はいないという、きわめて狭き門です。
 しかし……このときも今泉さんは規定の成績を満たせず、再び奨励会退会となります。

 普通ならここで「プロに再挑戦するも叶わなかった元奨励会員」として話は終わったでしょう。ところが今泉さんのプロへの情熱は、それでも消えなかったのです。
 2013年、竜王戦のランキング戦6組で再びベスト8入りするなど、対プロで抜群の成績を残します。やがて2014年、プロ編入試験の条件「現在のプロ公式戦において、最も良いところから見て10勝以上、なおかつ6割5分以上の成績」を満たし、受験を表明しました。

 そして行われた編入試験五番勝負。将棋連盟のモバイル中継やニコニコ生放送だけでなく、一般マスコミでも「不屈の男、三度目の挑戦」は大きく取り上げられました。
 結果は、3勝1敗での合格。
 瀬川晶司五段以来のアマチュアからの編入、史上最年長(41歳)デビューのプロ棋士誕生の瞬間でした。当時の将棋ファンの興奮たるや、それこそ今の藤井フィーバーに勝るとも劣らないものがありました。

 フリークラス入りした今泉四段はその後、安定した活躍を見せます。2016年には順位戦C級2組への昇級を成し遂げ、前期は8勝2敗という好成績。あと一歩でC級1組に昇級できるところでした。順位から考えても、今期の昇級候補のひとりには間違いありません。

 今泉四段のより詳しい来歴は、自ら執筆されたノンフィクションにまとめられています。未読の人はぜひ読んでみてください。

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 藤井七段が「希代の天才」なら、今泉四段は「努力の天才」。大熱戦を期待しましょう。