将棋ファンから見たアニメ『りゅうおうのおしごと!』のスゴいこだわり
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ついにスタートしたアニメ『りゅうおうのおしごと!』。割合から言えば、将棋ファンよりも将棋を知らないアニメ好きやラノベ好きのほうが、ずっと多いでしょう。このアニメを機に、ますます将棋好きになる人が増えてほしいと思っています。見逃してしまった人はAbemaTVで見逃し放送があるので、ぜひご覧ください。
本作の面白さのひとつが、実際に将棋界で起こったエピソードを巧みに取り入れていることです。この手のパロディは原作者・白鳥士郎さんの十八番なのですが、少なくとも今回の第1話においてはそれらは見られませんでした。原作にあったあれやこれを大胆にカットして、より万人向けに仕上がっているという印象です。この構成は次回以降も続くのでしょうか?
ともあれ、非常に素晴らしいアニメ化がされていると感じました。特に将棋ファンにとっても、よくぞここまで! と絶賛したくなる描写と演出が随所に見られたのです。
リアルな将棋盤と駒
押し入れから将棋盤を取り出し、雛鶴あいちゃんの前に置く。
「り、立派なしょーぎばんです……!」
「大事に扱ってね。ローン残ってるから」
駒も合わせると新車が買えるくらいのお値段がするんだ。(第1巻 P44)
原作から引用しましたが、あいの体が半分隠れてしまうほどの高さがある七寸盤。そして駒が虎縞模様になっているのにお気づきでしょうか。これは虎斑と呼ばれ、将棋駒の中でも最上の高級品のひとつです。押し入れには他の盤も見られましたが、主人公の八一は竜王となったことで高額の賞金を獲得したので、これほどの盤駒を買えたのでしょう。
盤の微妙な木目といい、虎斑といい、盤駒をここまでリアルに描いたアニメは初めてではないでしょうか(3月のライオンはどうだったか……ちょっと確認します)。
リアルな駒音
試験対局のシーンで、まず八一が駒袋から駒を出し、盤の上に広げます。これが非常にリアルでした。実際の音、そのままです。
駒袋から駒を取り出す音なんて、普通ならほとんど聞く機会はないでしょうが、気になった方は毎週日曜日の朝に放送されるNHK杯将棋トーナメントをご覧になってください。対局者が駒を取り出すときの音、まさにこれです。
あいの駒の並べ方
並べ方の作法も知らないようで、とにかく急いで並べていく。緊張のためか駒を綺麗にマス目の中に入れるのすら苦労してるようだ。(第1巻 P46)
対局が開始したシーン。八一の陣とあいの陣を見比べてみてください。八一の駒がきっちりと揃っているのに対し、あいの駒は微妙にずれたりしてます。まさに将棋を覚えて三ヶ月くらいの子供であることをリアルに描写しているのです。
駒の置き方
エンディング(次回以降のオープニング)の最初で、あいが駒を横から滑らせるようにマス目に置く描写があります。これ、プロでもよくあるんです。単純に上からパチンとやるより、なんだか技巧的(?)に見えます。
これほどまでにこだわって作られているのは、将棋ファンとして非常に嬉しい。可愛らしい作画と声優の演技も文句なし。ネットの反応を見るとおおむね好評ですし、この調子で多くのアニメファンを獲得してほしいですね。
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