将棋連盟とテレビ棋戦主催社に問い合わせました
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※この記事の主張は古いものですので、以下の記事をご覧ください。
一連の記事について - Arai Koh's Shogi Life
23日の銀河戦、藤井聡太四段と上村亘四段の対局は上村四段の勝利でした。いつか「上村亘名局集」が出版されるとしたら、間違いなく収録されるであろう快勝譜でした。非常に素晴らしい将棋だったのですが、それだけに先入観なしで観たかったというのが正直なところです。
この件に関してはさまざまな意見が飛び交いましたが、上村四段はファンからのリプライに答える形で反省の意を示しています。非常に立派だと感じました。心機一転し、次戦以降も熱戦を期待したいと思います。
しかしそれでこの件は終了、としてしまっては今後も同じケースが起きて物議を醸す、ということが繰り返されかねません。将棋ライターを名乗る身としては、少なくとも将棋連盟とテレビ棋戦主催社(NHKと囲碁将棋チャンネル)の見解を聞くべきだと思い、以下のように意見を送付しました。
囲碁・将棋チャンネル担当者様
新井耕治と申します。
このたびメールさせていただいたのは、銀河戦についてです。
銀河戦はテレビ棋戦のため、未放送分の対局の内容はきわめて重要な機密情報であると思います。また御社も普段からそのように取り扱っていることと存じます。
先日23日に、藤井聡太四段と上村亘四段の対局が放映されましたが、その前に上村四段が以下のようなツイートをしていました。
https://twitter.com/kamimurawataru/status/932506912578342914
このとき一部ネットで「上村四段は勝ったのではないか」と考える人が出ました。
実は私も「負けず嫌いのプロ棋士が、負けた対局を見てほしいと考えるだろうか。このように告知をするということは、この対局に勝ったのではないか?」と考えてしまいました。実際に上村四段はこの対局に勝利しました。
上村四段はただ純粋に、自分がテレビに出るから見てほしいと思っただけなのかもしれません。負けていたとしても同じように告知したかもしれません。しかし機密情報の管理の観点から、たとえわずかでも憶測を生むような事態は避けるべきではないでしょうか。
すでに上村四段は以後注意していきたいとの反省の意を示されており、私も上村四段を責める意図はまったくないのですが、今後も同様のケースが起こりうるかもしれません。SNS等で対局者本人が事前告知をすると余計な憶測を生みかねないことについて、棋戦主催社としての正式な見解を伺えればと思います。可能であれば、私の運営する将棋ブログにお返事を掲載させていただきたいのですが、不可能であれば全文掲載は差し控えます。
http://araishogi.hatenablog.com/
以上、ご返答いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
※以上は囲碁将棋チャンネルに送付した文面。将棋連盟とNHKにも同様の趣旨の文面で送付。
対局者本人なのに自分が出るテレビ棋戦を宣伝できないのか? という声があります。しかしそれより優先されるべきは、機密情報の漏洩防止であることは間違いありません。
私は登録型の某アルバイトをしていて、いろんなところに足を運んでいますが「業務で知り得たことはSNS等に書かないように」と厳しく言われています。これは業務内容を書いてはいけないというのはもちろんのこと、どこそこで勤務したということ自体も書いてはいけないということです。肝心の内容は書いてないんだからいいだろう、なんて言い訳は通用しません。もちろん違反したことがわかれば、厳しいペナルティが与えられます。このくらいの基準を設けているところはいくらでもあるでしょう。
これが情報管理のスタンダードなのです。このネット時代、ほんの些細な書き込みでもあらぬ憶測、邪推がされてしまうのが現実です。どれだけ慎重になっても、なりすぎることはない。それが情報管理というものです。ではどうすれば疑念を抱かれずに済むか? 当然ながら何も語らないことです。
だから今回の件でも、10人のうち1人2人だけでも「もしかして勝ったんじゃないか」と思ってしまった時点で、情報管理には失敗してしまったというのが私の考えです。
将棋連盟および棋戦主催社からの返信があれば、また記事にしたいと思います。