若手声優・松井恵理子さん将棋を大いに語る
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将棋と声優。数年前はこの2つが結びつくことなど、ほとんど想像できませんでした。しかしアニメ『3月のライオン』のおかげもあり、着実に接点ができているなと感じます。
『3月のライオン』で二階堂晴信を演じる岡本信彦さんは、声優の中でも特に将棋好きで知られ、電王戦をはじめニコニコ動画の将棋イベントに数多く出演しました。好きだけでなく棋力も相当なもので、子供の頃はプロ棋士を目指していたほど。駒落ちで橋本崇載八段や香川愛生女流三段に勝利したこともあります。
もっと将棋好きの声優が増えたら嬉しいと思っていたところ、驚きのツイートを見かけました。
あとは竜王戦が気になるけど、将棋も中身が本当にわからない😭でも気になる
— 松井 恵理子 (@ErikoMatsui) 2017年10月29日
若手声優の松井恵理子さん。竜王戦が気になるとはいったい?
気になった人は少なくなかったようで、インターネットラジオ『松井恵理子のにじらじっ!』の最新回で、将棋についてのメール質問が寄せられました。
お待たせしました!「松井恵理子のにじらじっ!」第53回配信開始です!是非お聴きください♪(サラ) https://t.co/7SEgu8RTU6 #音泉 #にじらじっ pic.twitter.com/cBT5UC7bEr
— インターネットラジオステーション<音泉> (@onsenradio) 2017年11月15日
すると松井さんは予想以上に熱を入れて語っていたので、書き起こしてみました。
将棋は今まで全然語ったことないんですけど、私とりあえず将棋のルール自体はあまり知らないんですけど、結構前から羽生善治さんをめちゃめちゃ好きで。
そうなんですよ、強いっていうのももちろんなんですけど、羽生善治さんの考え方とか、名言集であったりとか、考える力の本とか拝読していて。本当にあれだけ強くて才能もあって努力もされている方なのに、めちゃめちゃ謙虚というか、ハングリー精神がすごいというか。
強くなって勝率を重ねると、私のイメージでは勝ちのルートを、今まで積み上げてきた勝ちのルートを追い求めるみたいなイメージがあるんですけど、でも羽生さんは今までにないものをどんどんやっていかないとっていう……。結果は大事なんだけど負けることを恐れていない。だから新しい手を打ってどんどん追及していきたいみたいな。その考え方とかがめちゃめちゃ好きで、すごいあの、『プロフェッショナル』(筆者注:NHKの番組のことかと思われる)とかそういうのもめちゃめちゃ見ていて、すんごい好きなんですよ。
だから藤井四段がワッて騒がれてるすごい前から、羽生善治さんのタイトル戦とかは気にして見ていて。で、まさに今年、竜王戦の挑戦者になって、今年永世七冠が決まるかどうかの、大事な! そうなんですよ! ここで永世七冠という快挙を成し遂げられるかっていう、私の中ではすごい熱いイヤーなんですよね。ここで負けるとまた来年勝ち上がってこなきゃいけないですし。
またね、竜王戦も確か何年か越しの挑戦なので、だから今回ちょっと、ああ頑張ってほしいなみたいな。でもね今2勝してるんですけど、ここから立て続けに負けてしまうっていう場合も将棋にはあるんで。でもそういう意識自体はおそらくあるんでしょうけど、でもそこにこだわるんじゃなくて、内容を追求していこうみたいなのは、私的には見てて感じ取れるというか。羽生さんの「結果は大事だけど、結果じゃなく過程も大事で。結果だけ求めるならジャンケンでいい」っていう、そういう名言とかを聞くと、ああそうだなあみたいな。確かにそうなんだよなって。
まあいろいろあると思います本当に。結果がすべてだからっていう方もいらっしゃると思うし。私は何というか、職人気質な方が好きで、どういう持論であっても自分の持論を貫いている方が好きなので。羽生さんはめちゃめちゃ尊敬している方のひとりなので。だからちょっとね、竜王戦はね、今年はちょっと気にしながら、ああ大丈夫かなって。将棋のルールはね、あの、ちょっとしかわかんないんですけど。これがこう動くとかしかわからないんですけど。
すごいですよね。だって何十手先を読んで、何通りもある先を読んでっていうのが、ちょっとわけがわかんなくて(笑)。見てても駒がこう動くっていうのはわかるんですけど、これがこのあとどうなるかっていうのはやっぱり、私はそういう思考は持ってないので、これは持って生まれた思考回路というか、そういうのもあるんだろうなって。もちろん努力もね、みなさんありますけど。だから将棋界ってすごく面白いなと思って。
今、(加藤)一二三さんもすごいバラエティに出られていて面白いですけど、やっぱあの、長年将棋に懸ける思いみたいなのが……。特にこう、将棋って日本だとすごくメジャーな感じが。囲碁ってあんまりメディアに出にくいっていうか。ヒカ碁とかが流行った時期はすごい盛り上がったんですけど、日本人には将棋のほうが馴染み深いのかなっていうのもあって。その一本の道を突き進むみたいなのを、テレビを通してとかネットを通してとか、そういうのを見れるのが好きなんです。
将棋そのものはよくわからない、でも棋士のあり方はよく伝わってくる――
松井さんの語っていることには、将棋普及に大事なヒントが込められていると思います。何よりもまず、魅力的な人間であることが必要なのです。