Arai Koh's Shogi Life

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豊島将之棋聖誕生! 八大タイトルを8人で分け合う群雄割拠

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 本日行われたヒューリック杯棋聖戦第5局、挑戦者の豊島将之八段が3勝2敗で羽生善治棋聖を破り、念願の初タイトルを手にしました。

 史上初の平成生まれのプロ棋士としてデビューした豊島八段、いや豊島棋聖。2011年の王将戦でタイトル挑戦して以来、実に四度にわたり栄冠を逃してきました。
 もう彼がタイトル奪取に失敗する姿は見たくない――そんな将棋ファンが増えていく中、ついに成し遂げたのです。本当におめでとうございます。

 さて、このたびの豊島棋聖誕生を受けて、将棋界は非常に面白い展開になってきました。
 現在の将棋界は8つのタイトル戦がありますが、それらを1人1人の棋士が持ち合うという状況になっているのです。

竜王:羽生善治(47)
名人:佐藤天彦(30)
叡王:高見泰地(25)
王位:菅井竜也(26)
王座:中村太地(30)
棋王:渡辺明(34)
王将:久保利明(42)
棋聖:豊島将之(28)

 戦前は名人戦だけだったタイトルは、戦後の社会の発展に伴い、どんどんと数を増やして現在の8つに至っています。しかしほぼすべての期間で、誰かが複数冠を保持しているというのが当たり前の光景でした。

 唯一の例外が1987年10月-11月で、第35期王座戦において塚田泰明さんが中原誠王座(名人)を破り、奪取。当時の七大タイトルを7人の棋士で持ち合ったのです。

名人:中原誠
十段:福崎文吾
棋聖:桐山清澄
王位:谷川浩司
王座:塚田泰明
棋王:高橋道雄
王将:中村修

 このときは、すぐに高橋道雄さんが福崎文吾さんから十段を奪取し二冠になったため、1人1タイトルという状況はわずか1ヶ月で終わっています。

 話を戻しますが、複数冠を保持する棋士がいるというのは、言わばトップオブトップと言うべき実力者が、常に1人ないし2人存在していたのです。
 しかし今、群雄割拠の時代がやってきました。長らく羽生世代と、一回り下の渡辺明さんが君臨していた将棋界は、さらに下の世代が猛烈な進撃を見せています。将棋ファンにとってこれほど面白い状況はないでしょう!

 念願の初タイトルを手にした豊島棋聖ですが、気の休まる暇はありません。現在、王位戦でも番勝負を戦っています。
 もし豊島棋聖がこの王位戦でもタイトル奪取となれば、1人1タイトルの状況は再び早期終焉を迎えます。そのあたりにも注目して、ますます楽しんでいきましょう。

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