Arai Koh's Shogi Life

将棋ライター・アライコウのブログです。将棋について書いていきます。

夢までのあまりに過酷な道のり。『奨励会 ~将棋プロ棋士への細い道~』

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 第63回奨励会三段リーグ戦は、全18回のうち9回戦まで終了しました。

第63回奨励会三段リーグ戦

 注目度が高いのは、以前も取り上げたことのある最年少の伊藤匠三段、また史上初の「女性棋士」を目指す西山朋佳三段ですが、ともに5勝3敗です。高くない順位のことを考えると、最低ラインはおそらく13勝5敗。許される黒星はあと2つ程度でしょう。いずれにせよ、ようやく折り返し地点。まだまだ長い戦いは続きます。

 過酷で有名な奨励会ですが、その普段の光景は積極的には発信されていないこともあり、将棋に詳しくない人には実情があまり知られていません。
 最近の将棋ブームで奨励会に興味を持ったとか、子供がプロ棋士になりたいと言い出したけど奨励会ってどんなところか知りたいとか、そういう人は結構多いのでは思います。そこでうってつけの本が、明日刊行されます。

奨励会 ?将棋プロ棋士への細い道? (マイナビ新書)

奨励会 ~将棋プロ棋士への細い道~ (マイナビ新書)

 

 著者は橋本長道さん。以前にも記事を書きましたが、橋本さんは元奨励会員の作家です。将棋関係者が奨励会について書くことは珍しくありませんが、実際に奨励会員だった人が作家という肩書で出版するというのは、おそらく初のケースではないでしょうか。

「元奨」が語るプロ棋士養成機関「奨励会」の実像

 

「どうすればプロ棋士になれるのか?」

 

本書はプロ棋士養成機関「奨励会」の実像を描くことで、その問いに答えるものです。

 

プロ棋士という職業が多大な労力を払ってでも目指す価値のあるものかどうか、という問題から始まり、奨励会の制度、戦い方、勉強法が元奨励会員である著者本人の述懐を交えて語られます。

 

プロ棋士養成機関「奨励会」とはどんな場所か?
どのくらい強ければプロ棋士になれるのか?
奨励会員の日常とは?
重要なのは努力か? 才能か?
夢破れた退会者のその後は?
そこは青春を捧げる価値のあるところか?


天才少年、天才少女が淘汰される奨励会という沼でもがき苦しんだ姿がそこにはあります。

 

将棋界に現れた超新星・藤井聡太ですら6連敗を喫したこともある奨励会。

 

その世界を本書でぜひ覗いてみてください。

 もちろん私も買わせてもらいます。みなさんもいかがでしょうか。