Arai Koh's Shogi Life

将棋ライター・アライコウのブログです。将棋について書いていきます。

山本一成さんの『人工知能はどのようにして「名人」を超えたのか?』が将棋ペンクラブ大賞の文芸部門にノミネート

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 優れた将棋関係の著作、書籍等に授賞する将棋ペンクラブ大賞は、今年で記念すべき第30回を迎えます。本日、その最終候補作が発表されました。

 私がいつも注目しているのは文芸部門です。ノンフィクションもあれば将棋小説もあり、一昨年はライトノベル『りゅうおうのおしごと!』が優秀賞に輝きました。優れた作品であれば媒体は不問という、懐の深さを感じさせます。
 そして今年も意外な作品が文芸部門にノミネートされていました。それが山本一成さんの『人工知能はどのようにして「名人」を超えたのか?』です。

 山本さんは将棋ファンにはご存じ、最強将棋ソフトとしてプロ棋士相手に無敗を誇った『Ponanza』の作者です。その開発を通じて得た知見や、そもそも人工知能とは何かということを、惜しみなく、そしてきわめてわかりやすく記述しています。私も確か発売してすぐ注文したのですが、これほど平易な人工知能入門はないだろうと思わせるほどです。

 これは厳密には将棋の本ではありません。もちろん将棋関係の記述も少なくありませんが、あくまで人工知能について書かれた本です。
 にもかかわらず今回、将棋ペンクラブ大賞の文芸部門にノミネートされたというのは快挙でしょう。山本さんがもっとも力を注いできた将棋ソフト、そこから見えてきた人工知能の世界というテーマは、まさに新規性に満ちた物語、万人に響くノンフィクションだと、審査員が認めたということなのだと思います。
 まだ未読の方は、ぜひこの機会に読んでみてはいかがでしょうか。