現役続行を懸けて! 中尾敏之五段が明日運命の対局
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先日書いた牧野光則五段の記事の中で、対中尾敏之五段戦を取り上げました。
この対局が話題になった理由は、戦後公式戦最長手数の他にもうひとつありました。それは中尾五段が引退の瀬戸際に立っているというものです。
中尾五段は1998年に四段プロデビュー。2007年には勝数規定により五段に昇段しています。
しかし翌2008年には、順位戦C級2組において降級点が累積3個となったことで、フリークラスへ降格しました。
フリークラスとは順位戦に参加できないクラスのことで、このクラスに在籍することになるパターンはいくつかありますが、中尾五段のように順位戦C級2組から降格したフリークラス棋士は、10年以内に規定の成績を挙げて順位戦に復帰できなければ引退となります。
その規定の成績とは、以下の4つです。
- 年間対局の成績で、「参加棋戦数+8」勝以上の成績を挙げ、なおかつ勝率6割以上。
- 良い所取りで、30局以上の勝率が6割5分以上。
- 年間対局数が「(参加棋戦+1)×3」局以上。ただし、同じ棋戦で同一年度に2度(当期と次期)対局のある場合も1棋戦として数える。
- 全棋士参加棋戦優勝、タイトル戦挑戦。
中尾五段にとって可能性があるのは1です(参加棋戦数は10)。22日の棋王戦予選3回戦、対日浦市郎八段戦に勝ったことで、今年度の成績を17勝10敗(0.6296)としています。つまり3月末までにあと1勝すれば規定を満たし、現役続行が決まります。
そして明日27日、同じく棋王戦予選4回戦の対青嶋未来五段戦があります。これが中尾五段にとって最後のチャンスです。
これは本日、将棋連盟がサイトを更新する前のキャプチャです(連盟サイトは午前10時更新)。
よく見ると対局予定に中尾五段と青嶋五段の名前がありません(現在は更新済み)。22日の対日浦戦の棋譜コメントによれば、勝者が27日に対局することはその時点で決まっていたようですが、それにしても急遽組まれたことがわかります。
青嶋五段は有望な若手のひとりとして知られています。
2015年、三段リーグ史上最多タイの16勝(2敗)を挙げてプロデビューすると、順位戦C級2組ではいきなり9勝1敗の好成績で1期抜けを成し遂げます。さらに2016年度には勝率1位賞と連勝賞に輝きました。
まさに強敵ですが、中尾五段も今年度は勢いがあります。特に朝日杯将棋オープン戦において、A級棋士の佐藤康光九段を長手数(246手!)の末に下したことは多くの将棋ファンの感動を呼びました。未見の方はぜひご覧ください。
2017年12月21日 二次予選 佐藤康光九段 対 中尾敏之五段|第11回朝日杯将棋オープン戦
運命の対局の行方は、はたして? 大熱戦を期待しましょう。