Arai Koh's Shogi Life

駆け出し将棋ライター・アライコウのブログです。将棋について書いていきます。

名人撃破! 絶好調、あるいは一皮剥けた橋本崇載八段

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 昨日のA級順位戦「将棋界の一番長い日」、すさまじいの一言でした。前代未聞の6人によるプレーオフ、冤罪事件を経て理不尽な最下位に置かれた三浦弘行九段の残留、その三浦九段に敗れた渡辺明棋王の陥落。今後数十年にわたって語り継がれるであろう、伝説の日になりました。

 この特大ニュースの影響ですっかり影が薄くなってしまったのですが、昨日はもうひとつ大きなカードがありました。竜王戦2組ランキング戦の、橋本崇載八段対佐藤天彦名人です。

 この対局は橋本八段の勝利でした。戦型は横歩取り。横歩取りといえば佐藤名人の十八番で、名人奪取の原動力となったことでも知られています。
 一方の橋本八段は居飛車も振り飛車も指しこなすオールラウンダー。しかし現在振り飛車の採用は減っており、代わりに積極的に横歩取りを指すようになっています。ここ最近モバイル中継されたものを見ても、その割合はかなりのものです。

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 そして昨日も現役名人のエース戦法を真っ向から迎え撃ち、見事に勝利しました。これで橋本八段の今年度成績は13勝14敗。負け越しているのですが、直近10局だと8勝2敗となっており、その充実ぶりがわかります。

 かつての橋本八段は、NHK杯に金髪パンチパーマで出たとか、カメラ目線をしたとか、佐藤伸哉七段のモノマネをしたとか、何かと話題先行の面がありました。しかしそれが将棋ファンに知られるようになった一因であり、実際のところ私もそうして彼のファンになったひとりです。

 橋本八段が将棋バーをオープンしたと聞くと、それまでバーなどというものに行ったこともなかった私が、一念発起して足を運んでみました。ぜひとも実際に会ってみたかったのです。
 間近で接した彼は、非常に真摯で礼儀正しい青年でした。テレビで見せるのはあくまでパフォーマンスであり、これが本来の彼の姿なのだなと感銘を受けたものです。それからも定期的に足を運んで、誕生日を周りのお客さんと一緒になって祝ったこともありました(確かそのとき「後手振り飛車もう辛い」と言っていました)。

 しかし2016年、冒頭でも触れた三浦九段の冤罪事件が起こります。
 橋本八段はこの件に直接の関わりはなかったのですが、Twitterでの勇み足な発言がありました。直後から疑問の声が上がりましたが、いよいよ三浦九段のシロが明らかになると、いっそう批判の声が集中しました。彼にとっては拭いがたい痛恨のミスであり、失望した将棋ファンも少なくなかったことでしょう。※橋本八段はその後、三浦九段に謝罪をしています。

橋本崇載八段が三浦弘行九段に謝罪「一兆%無実です。疑ってごめんなさい!」 | 将棋ワンストップ・ニュース

 この事件を経て、彼は変わったように感じます。
 Twitterアカウントを閉鎖し、あれだけ真摯に経営していた将棋バーも閉店し、新たな気持ちで将棋一本のみに打ち込んでいます。

 最近はこのように、和服をよく着用しています。常に自分は見られているのだと、まるでタイトル戦のように気を引き締めている。
 現在の好成績は、この姿勢と無関係ではないと思います。橋本八段は、棋風の変化とともに一皮剥けました。

 そして今、A級への返り咲きが見えてきました。
 B級1組の最終戦は3月9日(金)。橋本八段は現在単独2位で、自身が勝てば昇級。負けても3位の阿久津主税八段が敗れれば昇級が決まります。
 かつては即陥落の憂き目に遭った最高峰の舞台に、再び乗り込もうとしています。昨夜死闘を繰り広げたA級棋士たちと比べても、何ら見劣りすることはありません。

 

 最後に今日は、橋本八段の誕生日です。おめでとうございます。

橋本崇載の勝利をつかむ受け (NHK将棋シリーズ)

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