Arai Koh's Shogi Life

駆け出し将棋ライター・アライコウのブログです。将棋について書いていきます。

将棋AIは入玉戦をどう解説するか

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 先日行われた将棋電王トーナメント、盛り上がりましたね。といっても私は外に仕事で出ていたので、生では見ていないのですが。

 何と言っても優勝の大本命だったPonanzaが、準決勝で敗れました。あのPonanzaが決勝にも残れないとは、いったいどこまで将棋ソフトたちは進化していくのか。

 Ponanzaを破ったのは「平成将棋合戦ぽんぽこ(以下ぽんぽこ)」というソフトです。このソフトは予選でもPonanzaと当たっていたのですが、視聴者を驚かせたのはむしろこの予選の対局でした。従来の将棋には見られなかった、驚愕の光景が展開したのです。

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 これが終局図です。どちらの玉も詰む見込みがない、相入玉という形です。こうなると互いの駒を点数化して勝敗を決することになるのですが、結論から言うとこの勝負は引き分けでした。

 入玉についてはルールに明記されているので見てみましょう。第20条の入玉宣言法です。

次の各号に掲げる条件がすべて成立する場合、勝ちを宣言できる(以下「入玉宣言」という)。1つでも条件を満たしていない場合、宣言した方が負けとなる。

  • 一. 宣言側の手番である。
  • 二. 宣言側の玉が敵陣三段目以内に入っている。
  • 三. 宣言側が、大駒5点小駒1点で計算して先手の場合28点以上の持点がある。後手の場合27点以上の持点がある。点数の対象となるのは、宣言側の持駒と敵陣三段目以内に存在する玉を除く宣言側の駒のみである。
  • 四. 宣言側の敵陣三段目以内の駒は、玉を除いて10枚以上存在する。
  • 五. 宣言側の玉に王手がかかっていない。
  • 六. 宣言側の持ち時間が残っている。

 本来であればPonanzaがすべての条件を満たしており勝ちだったはずなのですが、別のルールにある「256手以上の対局は引き分け」が適用され、引き分けとなったのでした。

 この数手前にぽんぽこが繰り出していた一見無意味な王手ラッシュが見事でした。Ponanzaはあと1枚持ち駒を投入すれば条件4を満たし、宣言勝ちできたのです。しかしその暇を与えないように王手ラッシュしたのです。

 ようやく持ち駒を打てたPonanzaでしたが、持ち駒を打った瞬間の宣言はできないため、手番は後手のぽんぽこに。それが256手目で、引き分けが成立しました。ここまで緻密に計算できるというのが驚きですし、将棋にこんな決着があるとは想像もできませんでした。

 さて、この実に個性的な決着を見た将棋、今回も将棋山脈に読み込ませてどんな解説文を自動生成してくれるのか試してみました。

 

Ponanza 対 平成将棋合戦ぽんぽこ

 

 残念ながら入玉というキーワードは生成されません。人間なら「これは入玉を目指した手か」などと簡単に書けるのですが、現在のところは難しいようですね。

 しかし決着が近づこうとしている254手目、私は感動しました。「mate:5」と表示されるではないですか。あと5手で勝てるという意味です。

候補手:▲3一金打 △3二銀打 ▲同馬 △9九成桂 宣言勝ち

 なんと宣言勝ちにも対応しています! 実際にはその宣言はできなかったわけですが、今や将棋AIは入玉戦にも人間のように対応でき、解説文もそのように書けるのです。

 Ponanzaをはじめ多くの強豪ソフトとの激闘を繰り広げ、ぽんぽこは今回のトーナメントで優勝を果たしました。名実ともに今回もっとも脚光を浴びたソフトでした。一方、Ponanza開発者の山本一成さんが今回で引退を表明しました。おそらくこうした大会にはもう出ないということだと思います。

 しかし将棋AIは、まだまだ進化し続けていくのでしょう。魅力的な自動生成解説文も、きっとその後を追うでしょう。