Arai Koh's Shogi Life

将棋ライター・アライコウのブログです。将棋について書いていきます。

ますます増える将棋系Vtuber!

 以前、将棋系Vtuber(バーチャルYoutuber)について記事にしました。

araishogi.hatenablog.com

 しばらく経ったので改めてチェックしてみたのですが、また新たに2人の将棋系Vtuberが確認されたのでご紹介したいと思います。

 未良々桂さん(@miraraKnight)と鷺宮ローランさん(@SaginomiyaL)。コラボを行ったりと、毎日精力的に活動しているようです。
 Vtuberは今年に入ってからあまりにも増えすぎて、競争がずいぶん激しいようなのですが、将棋系Vtuberのみなさんには細く長く活動していってほしいと思います。

バーチャルYouTuber名鑑2018 (三才ムック)

バーチャルYouTuber名鑑2018 (三才ムック)

 

教育に最適! 『語彙力アップ 漢字しょうぎ』

 将棋は教育にいいと言われているものの、具体的にどういいのかはイマイチわからないところがあります。しかしその具体性を持たせた将棋ゲームが今月発売します。

語彙力アップ 漢字しょうぎ

語彙力アップ 漢字しょうぎ

 

 玩具メーカーのハナヤマから発売される『語彙力アップ 漢字しょうぎ』。まだ公式の紹介ページがないのでAmazonから引用しましょう。

数々の漢字ゲームを開発されている馬場雄二先生が考案した「漢字しょうぎ」。
漢字を将棋の遊び方で楽しむゲームです。
将棋駒には小学1年の主要40漢字を使用しているので小学1年生から遊べます。186以上の二字熟語が作れます。
組み合わせて熟語にすることで「語彙力」が自然につき、ゲームで遊んで、楽しみながら漢字の実力を身に付けることができます。

 

【漢字将棋とは…】
漢字一文字が書かれた駒を将棋のように並べ、自分の駒の漢字と相手の駒の漢字を合わせ熟語を作るゲームです。
熟語が成立するときのみ駒を動かし、相手の駒を取ります。
多く駒を取った方が勝ちです。

 今年から小学生になったくらいの子供に、ちょうどいい感じですね。リーズナブルですし、お子さんをお持ちの親御さんはいかがでしょうか。ここから将棋に興味を持ってくれるかもしれません。

百花繚乱の戦い、マイナビ女子オープン一斉予選が開幕

 女流棋界の夏の風物詩、マイナビ女子オープンの一斉予選が明日7月7日に行われます。予備予選のチャレンジマッチについては、先日も記事にしました。

araishogi.hatenablog.com

 この一斉予選は、対局場に将棋ファンが足を運んで観戦や大盤解説会を楽しめます(チケットは事前購入制ですでに締め切られています)。
 そして最大の特徴は「対局スポンサー」になれることです。両対局者との3ショット撮影ができる、対局者へ応援メッセージを贈れるといった特典があります。ちなみにスポンサー数の途中経過はこちら。

 

あい……一九九(特別スポンサー 一一七・通常スポンサー 八二)
天衣……二〇一(特別スポンサー 一四一・通常スポンサー 六〇)

「桁が違うッ!!」
 思わずそう叫んでいた。ロリコン多過ぎィィッ!!*1

 将棋ライトノベル『りゅうおうのおしごと!』ではこんな笑える描写がありました。さすがに現実的にはこんなことはあり得ないですが。

 個人的に注目しているのは、アマチュア選手6名がどこまで勝ち抜けるかですね。中でも前期に唯一本戦出場している、女性アマ最強の呼び声も高い小野ゆかりさんは、チャレンジマッチを飛び越えてこの一斉予選からの登場です。
※「前期の本戦出場者はプロ・アマを問わず、予選シードとなる」という規約があります。
 
 いくつかは携帯中継もされますので、熱戦を期待しましょう。

*1:白鳥士郎『りゅうおうのおしごと!』第4巻 P178

振り飛車党必見! 久保利明王将の最新振り飛車講座がスタート

 7月になり、囲碁・将棋チャンネルに最新の将棋講座が加わるのですが、そのラインナップにいささか驚きました。

www.igoshogi.net

 久保利明王将の「久保流! 攻める振り飛車」。まさかの現役タイトルホルダー&A級棋士の登場です。以前にNHKの将棋フォーカスで佐藤天彦名人が講座を担当されていましたが、トッププロがこうした番組に登場するのは、将棋ファンにとって本当にありがたいことだと思います。

全26回
木、土 午後9:45~9:55 5日から

 

(再放送)
火、木 午前9:45~9:55
日 午後3:38~3:58(2本放送)

 という放送スケジュールになっています。振り飛車党は要チェックです!

久保の中飛車

久保の中飛車

 
久保流 最強先手振り飛車

久保流 最強先手振り飛車

 

引退が決定した中尾敏之五段、棋士人生最後の戦いが始まる

 昨年度、規定により引退が決定した中尾敏之五段については、以前に当ブログでも記事を書きました。

araishogi.hatenablog.com

araishogi.hatenablog.com

 そして明日7月5日、中尾五段は竜王戦6組昇級者決定戦に登場します。竜王戦は他の棋戦と違い、ランキング戦で敗退→昇級者決定戦という流れで、一度敗退してもまた対局するチャンスがあります。中尾五段にとっては実に数ヶ月ぶりの対局で、携帯中継もされます。

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 中尾五段は引退が決まってはいますが、この昇級者決定戦で敗退した日が正式な引退日となります。異業種への転身を発表し、今は普通の勤め人としての生活を送っていると思いますが、まだ現役のプロ棋士なのです。最後まで勝ち上がる可能性も決してゼロではありません。それほどの結果を残しても、もちろん現役続行とはならないのですが……。
 はたしてどこまで勝ち進めるか。中尾五段の最後の戦いに注目していきましょう。

藤井聡太七段の「待った」疑惑騒動の所感と、加藤一二三九段が銀河戦で処分された件の疑問

www.asahi.com

 この件について書くことは気が進まなかったのですが、このように将棋連盟からすぐに声明が出されて一安心しましたし、まだ事情がよくわからない将棋に詳しくない方のためにも、まとめておくべきかと思った次第です。

 私も生放送を見ていて、このシーンは目撃していました。藤井七段があれほど慌てた場面をほとんど見たことがなかったこともあり、反射的に「え? いいの?」と思ってしまったのは正直なところです。しかし見れば見るほど微妙な感じで、断言するのは早計だと思い直しました。他の方の反応を見ても明確に「待った」とまでは言えない――という意見が主流でした。実際、それは正しかったことになります。やはりいったん落ち着いて考えるのが大切ですね。

 そもそも将棋には「投了優先の原則」というものがあります。将棋連盟サイトに対局規定(抄録)が掲載されているので見てみましょう。

  • 対局中に反則を犯した対局者は即負けとなる。
  • 両対局者が反則に気がつかずに対局を続行し、終局前に反則行為が確認された場合には反則が行われた時点に戻して反則負けが成立する。
  • 終局後は反則行為の有無にかかわらず、投了時の勝敗が優先する(投了の優先)。
  • 対局者以外の第三者も反則を指摘することができる。

 当時、対局相手の増田康宏六段はその場で指摘しませんでした。そして「対局者以外の第三者も反則を指摘することができる」ですが、記録係と立会人、そして控え室にいた棋士たちや記者たちもアクションを起こしませんでした。その後対局は進み、藤井七段は敗れました。藤井七段が反則認定される根拠はどこにもないことになります。

 盤上では完璧と思われる藤井七段でも、あのように慌てて指すことがある。今回はそれで決着する話です。師匠の杉本昌隆七段が注意をするということですし、まだ若い(まだ15歳なんです)藤井七段はこれを契機に成長してほしいと思います。今後は終始強い指し回しを見せた増田六段と、最後まで粘りに粘った藤井七段、両者の作った名局そのものが話題にされるべきでしょう。


 さて、一部報道にもあったように、加藤一二三九段が現役時代にテレビ棋戦の銀河戦で「待った」を認定されたことがあります。対局相手は阿部隆八段でした。その経緯が加藤九段の著書に記されています。

 銀河戦で阿部さんと戦った時の話です。この棋戦はテレビ放映されるので、視聴者のために消費時間の数字が盤側の記録机に置かれています。この数字は見ようと思えば対局者も見ることができます。
 私は対局中、記録係に「あと何分?」と自身の残り時間を聞きます。これはルール違反ではなく正当な権利なのですが、それを繰り返している時に、阿部さんは「見ればわかるんだから答えなくていい」と記録係に言いました。
 私はむっとして言い返そうと思いましたが、テレビ対局なので遠慮します。しかし精神が乱れたせいもあったのか、その後にあった私の着手で「待った」と判断されるものがありました。
 将棋の着手というものは、指した駒から手を離して初めて着手完了とされます。一度離れたあとに再びその駒を持って指し手を変えるのが「待った」です。
 私が指した時、阿部さんは「待った」の指摘はしませんでした。*1

 この対局は加藤九段が勝利しました。しかしその後、対局が放映されると視聴者からの指摘があり、それを受けて将棋連盟は加藤九段に処分を科しました。罰金と次期銀河戦の出場停止という重い処分でした。当時のお知らせのアーカイブが残っていますが「ビデオを確認したところ」とあります。

 対局中に反則認定はされなかったのですが、番組の放送後に認定された――これは疑問手ではないか、と思うのです。
 この加藤九段vs阿部八段、囲碁・将棋チャンネルでリバイバル放送されたのを見たことがあります。確かに阿部八段は「待った」の指摘はしておらず(消費時間に関してやりとりはありましたが)、対局が続けられていました。
 銀河戦はテレビ棋戦のため、対局してから放送されるまでにタイムラグがあります。その間何もしなかったにも関わらず、後になって視聴者からの指摘があったからと、反則認定し処分まで科す――。これははたして適切なものだったのでしょうか。

 今さら10何年も前のことを覆すことはできませんが、これを前例として扱えるものかどうかは、議論する価値があると思います。「反則は事実あり対局中に認定された」「反則は事実あったが対局中に認定されなかった」この2つには大きな隔たりがあります。

「対局中に反則認定されなかった着手については、いかなる理由があっても対局後に反則認定されることはない」

 このように対局規定に明記し、将棋ファンにも周知するのが最善と個人的には考えています。サッカーで「あれはレッドカードだった」と後日に認定されることは決してないのと同じことです。こうであれば、今回の藤井七段も不要な騒動に巻き込まれずに済んだかもしれません。

負けて強くなる ~通算1100敗から学んだ直感精読の心得 (宝島社新書)

負けて強くなる ~通算1100敗から学んだ直感精読の心得 (宝島社新書)

 

*1:『負けて強くなる ~通算1100敗から学んだ直感精読の心得~』 P136

名著『瀬川晶司はなぜプロ棋士になれたのか』が文庫で復刻

 瀬川晶司五段の自伝が原作の映画『泣き虫しょったんの奇跡』、関係者向けの試写会では大好評のようですね。9月7日(金)から一般公開ですが、待ち遠しいかぎり。

 瀬川さんのプロ入りは、将棋の歴史上特筆される出来事でした。いくつかの関連本が出版され、もっとも知られるのが『泣き虫しょったんの奇跡』であるわけですが、これに勝るとも劣らない良書があります。

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 古田靖さんの『瀬川晶司はなぜプロ棋士になれたのか』。

僕の知らなかった「真実」がここにある

 とあるように、プロ編入試験の裏側――この大問題に直面した日本将棋連盟がいかに混乱し、苦慮し、試験開催を決定したか。そして夢の実現のために瀬川さんの支援者がどれほど奔走したかを克明に記したノンフィクションです。

 戦前に特例でプロ入りした元真剣師・花村元司九段の例がありますが、これは時代が違いすぎます。瀬川さんのプロ編入嘆願は何もかも初めてづくしでした。棋士の間でも議論が紛糾、その様子がめっぽう面白い。個人的に一番感じ入った一文があります。

自ら理事になる道を選ばず、口先だけで介入してくる棋士がなぜこれほど多いのか。森下は理事になったことを後悔すらしていた。(P151)

 森下とは森下卓九段のことです。現在将棋連盟の理事ですが、当時もこの問題で最前線に立っていました。当時の将棋連盟の閉鎖性や経営問題も絡めた描写は、最近将棋に興味を持ったばかりのライトなファンには、いささか刺激が強いかもと思わされるほどです。しかし繰り返しになりますがとても面白く、グイグイ読ませます。

 あまり詳しく書くとご迷惑になるのでこのへんにしますが、この隠れた名著ともいうべき本が、映画の公開に合わせてでしょう、文庫で復刻することになりました。

 発売は8月。脚本協力ともなった本書を、未読の人はぜひ映画公開の前に手に取ってみることをおすすめします。加筆されているとのことなので、単行本を持っている人にとっても読む価値がありそうです。

奇跡の六番勝負: サラリーマンがプロ棋士になった日 (河出文庫 ふ 17-1)

奇跡の六番勝負: サラリーマンがプロ棋士になった日 (河出文庫 ふ 17-1)

 

Twitterで人気の漫画『将棋好きに成りまして』が商業誌に進出!

 最近将棋漫画の連載が増えていますが、またまた新たな作品が商業誌に登場します。

 さくらはな。さんの『将棋好きになりまして!』。「本当にあった愉快な話」の8月号から短期集中連載されます。
 さくらはな。さんは以前からTwitterとブログで『将棋好きに成りまして』という4コマ漫画を公開しており、これが多くの将棋ファンの好評を呼んでいます。ほんわか可愛い絵柄で、将棋あるあるのシーンを描いているのです。ぜひ第一話から見てみましょう。

sakusaku160307.hateblo.jp

 その人気を受け、将棋会館などで頒布されている将棋フリーペーパー「駒doc.」では『将棋好きに成りました!』を連載中。そしてこのたび『将棋好きになりまして!』と少しだけタイトルを変え、商業誌にも進出と相成ったわけです。

 これが評判よければ、本格的に連載――なんてこともあるかもしれませんね。コンビニ等で見かけたら、手に取ってみてはいかがでしょうか。Amazonでも購入できます。

本当にあった愉快な話 2018年 08 月号 [雑誌]

本当にあった愉快な話 2018年 08 月号 [雑誌]

 

Google Homeで将棋の棋譜を読み上げてくれるアプリが登場!

 最近、スマートスピーカー(AIスピーカー)と呼ばれる家電製品が浸透しています。音声で呼びかければいろいろやってくれるというスピーカーで、「Amazon Echo」や「Google Home」などが知られています。読者の中にも導入しているという方がいるかもしれません。

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感想(2件)

Google Home(グーグル ホーム)

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感想(166件)

 スマートスピーカー用のアプリもあるのですが、このたび将棋ファンが見逃せないアプリが公開されました。

 Google Homeで将棋の棋譜を読み上げてくれるアプリ『棋譜読み上げ』。シンプルイズベストな名前ですね。作者の大田洋輔さんは出版社の編集者で、最近刊行された石田和雄九段の『棋士という生き方』を担当されました。

「棋譜読み上げ」は、将棋の棋譜を読み上げるアプリです。
先手番の棋士と後手番の棋士をフルネームで指定すると、データベースに登録されている棋譜を読み上げていきます。
読み上げは「1手」や「10手」など、一度に最大20手ずつ進められます。

 とのことです。普通は棋譜並べというと、左手に棋譜を持って右手で駒を動かして……という感じですが、これなら盤だけに集中できそうです。
 将棋界でAIといえばコンピューター将棋ソフトでしたが、今後はこういう家庭に根ざしたアプリもどんどん登場するかもしれません。将棋新時代の到来を予感させます。

初心者必見! 窪田義行七段の奇襲戦法講座

 将棋連盟サイトのコラムの中には、プロ棋士による戦法の紹介があるのですが、このたび非常に興味深いシリーズがスタートしました。

 窪田義行七段による、奇襲戦法講座です。
 相手が受け方を知らないために、一方的に攻め倒せる。これが奇襲戦法の楽しみのひとつで、また将棋の楽しみのひとつです。やっぱり将棋は攻めてこそ面白いもので、まだあまり難しいことは覚えられないけど、ガンガン攻めていきたい――そう考える初心者の方にはぴったりなんですね。

 鬼殺し戦法は奇襲戦法の中でも、もっともよく知られているものです。このコラムで、ぜひとも習得してみましょう!