Arai Koh's Shogi Life

将棋ライター・アライコウのブログです。将棋について書いていきます。

タレントとしても人気の竹俣紅女流初段、ネット中継で対局姿を見られる!

 第8期リコー杯女流王座戦は、本戦トーナメントへの出場者を決める二次予選がいよいよ今週から開幕します。

リコー杯女流王座戦 |棋戦|日本将棋連盟

 女流棋士の対局はタイトル戦や挑戦者決定戦、一部のプロアマ混交予選、あとは非公式のイベント対局くらいしか中継される機会がないのですが、対局予定のページを見ると、この二次予選はリコー杯サイトと将棋連盟モバイルでの中継が予定されています(二次予選の全部が中継対象であるかは、まだわかりませんが)。
 そして6月7日(木)には、竹俣紅女流初段vs里見咲紀女流初段が行われるのですが、この対局が有料会員サービスの「将棋プレミアム」でも中継されるのです。

 有料会員しか閲覧できないとはいえ、予選段階での動画生中継というのは、男性棋士の対局でもそうそう組まれるものではありません。やはりタレントとしても人気の竹俣さんだから、この中継は実現したのでしょう。

 竹俣さんといえば、先日に文春オンラインでのインタビューが公開されていました。

bunshun.jp

bunshun.jp

学生といっても職業を持っているので、経済的に自立したい思いが強かったんです。私は棋士として対局料をいただいていますが、高校の時に自分の対局料を知って、将棋だけではまったく自立できないことを自覚したんです。それで、もう一個何か職業を持った方がいいと考えて、タレント業もすることにしました。

 対局料だけでやっていける女流棋士は、タイトル戦に出るトッププレイヤーくらい。このことは知識としては知っていましたが、当人の口から出る言葉はやはり重いですね。
 一将棋ファンとしては、できる範囲で棋士の対局料に寄与したいと考えていますので、今回の対局、将棋プレミアムに1day会員登録してみようと思います。みなさんもいかがでしょうか。

竹俣紅ファーストフォトエッセイ『紅本』

竹俣紅ファーストフォトエッセイ『紅本』

 

千駄ヶ谷で将棋めしのイベントが開催!

 6月3日に渋谷区で「渋谷おとなりサンデー」というイベントが開催されます。

渋谷おとなりサンデー さあ、おとなりさんと何しよう。

 地域コミュニティーの活性化を目的として開催されるイベントで、いろいろと楽しい企画があるようです。
 そして明日には、前夜祭としてこんなイベントが。

shibuya-otonari.jp 

千駄ヶ谷の鳩森八幡神社の裏手に将棋会館があります。
この将棋会館では棋士の方々が対局の合間のお昼ご飯や晩御飯に、出前をとって食べます。昨年「将棋めし」として注目をされました。
わたしたちは、「渋谷おとなりサンデー」の趣旨に賛同し、この「将棋めし」で「渋谷おとなりサンデー」の前夜祭を企画しました。
出前だけのお祭りは、今までないと言えます。色々と試行錯誤しておりますが、緑豊かな神社の境内敷地内で食べる出前は、とても美味しいのではと思っております。関係者一同、鋭意準備をしております。
皆さん、出前をとって一緒に「将棋めし」のご飯を食べにきませんか

 将棋ファンにはおなじみの鳩森八幡神社で、これまた将棋ファンにはおなじみの店(ほそ島や・ふじもと・みろく庵・紫金飯店・千寿司)に出前を頼む。ただ食べるだけなのに、何と面白そうなイベント!
 普段は見られない「将棋堂」の扉も開かれるそうなので、近隣の方もちょっと遠い方も、足を運ぶ価値があるのではないでしょうか。

将棋めし 3 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

将棋めし 3 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

 

いつの間にか公開されていた「女流棋士の降級点と引退制度」

 先日、女流棋界のレジェンドである蛸島彰子女流六段の引退祝賀会が開催され、大好評のうちに終わりました。

 蛸島さんの功績は非常に大きく、この方がいなければ今の女流棋界はなかったと言っても過言ではありません。蛸島さんはもう公式戦には出ませんが、今後もLPSAプロとして「1dayトーナメント」など、LPSA主催の大会には出場されます(ちょうど6月9日に開催されます)。まだまだ後輩たちに存在感を示されることでしょう。

 さて、蛸島さんは自らの意思で引退されたわけですが、女流棋士にも棋士と同様に、降級点と引退に関する規定があります。
 その規定というのは、これまで非公開でした。そのためどういう場合に降級点を取り、引退に追い込まれるか、ファンにはほとんどわからなかったのです。プレイヤーそれぞれにファンがいる競技にとって、これは好ましくないことでした。

 しかしその降級点と引退制度についての文章が、将棋連盟サイトに公開されていたのです。

www.shogi.or.jp

 これが記載されているのは「よくある質問」のページ。どうやら先月には公開されていたようなのですが、トップページでもお知らせを見た記憶はありません。知らなかったという人のほうが圧倒的に多いのではないでしょうか。かなり大事なことなので、もっと大々的に告知してもよさそうなものですが……。
 この内容は昨年度までとそう変わりはないのか、それとも女流棋士規定変更に合わせて、こちらにもかなり手が入ったのか、定かではありません。ともあれ、今までベールに包まれていた事柄が明らかになったのは、ファンにとってはプラスでしょう。

将棋かくしふで

将棋かくしふで

 

新たな女流3級、田中沙紀さんがプロへの道へ

 本日、女流棋界に明るいニュースがありました。

 関西研修会C1クラス所属の田中沙紀さんが、女流3級に!
 今年度から女流棋士規定が改定されて、今後は女流3級がなくなると当ブログでも書いてきたのですが、

  • 平成30年5月末日までに旧規定か新規定かを選択する。
  • 旧規定を選択した者には、平成31年3月末日の申請まで旧規定を適用する。
  • 旧規定での申請は1回限りとし、申請期間は資格取得日から2週間以内とする。

 という項目があるのを失念しておりました。ともあれ、田中さんが旧規定を選択しての最初の適用者ですが、他に選択者がいなければ最後でもあるかもしれません。B2への昇級で女流2級を目指すとなれば、また少なくない時間が必要だったでしょうし、これは好手でしょう。

 立場が人を強くするとは、よく言われることです。仮資格とはいえプロになったことで、これからは堂々と公式戦に参加できます。その身分が、きっと棋力の向上に寄与するはずです。
 デビュー戦はおそらく夏のマイナビ女子オープン予選。ここで本戦入りすれば一気に女流2級なので、期待したいですね。

正規プロを目指す藤井奈々女流3級、試練の2年目は好調スタート

 今年度から女流棋士規定が変更され、いわば仮免許である女流3級が今後はなくなるということを以前にも書きました。

女流棋士になるための規定、LPSAも将棋連盟と歩調を合わせる - Arai Koh's Shogi Life

 しかし現在女流3級の人は、それまでどおりの規定で正規プロを目指している最中です。そのうちのひとりが藤井奈々女流3級です。

www.shogi.or.jp

 藤井さんは京都府出身の20歳。女流3級となったのは2017年2月20日のことです。
 2年以内に規定の成績を挙げれば、晴れて女流2級となることができるのですが、2017年度は1勝もできずに終わるという、かなり厳しい状況となっていました。
 ところが今年度に入ってからは4戦して全勝と、それまでの遅れを取り戻すには十分な活躍をしています。特に倉敷藤花戦の2回戦で、現在女流王位戦にも挑戦している実力者・渡部愛女流二段から挙げた白星が光ります。これで強くないはずがありません。

 では、女流2級に上がるための昇段規定を見てみましょう。

  • YAMADA女流チャレンジ杯ベスト4
  • 1年間で参加公式棋戦数と同数の勝星を得る。
  • 2年間で参加公式棋戦数の4分の3以上の勝星を得る。
  • 「女流棋士昇段級規定」の女流1級に該当した場合。

 藤井さんは2番目を除くすべてで可能性があるわけですが、4番目の女流1級への条件をさらに見てみましょう。

  • マイナビ女子オープン本戦入り
  • 女流王座戦本戦入り
  • 女流名人予選決勝進出
  • 女流王位リーグ入り
  • 霧島酒造杯女流王将戦本戦入り
  • 倉敷藤花戦ベスト8
  • YAMADA女流チャレンジ杯決勝進出
  • 女流2級昇級後の対局で、年度成績指し分け以上(7勝以上)
  • 女流2級昇級後30勝

 藤井さんは現在女流王座戦の二次予選と、倉敷藤花戦の3回戦(ベスト16)に進出しています。日程的に一番早い昇級の可能性としては、このどちらかでの勝利ということになりそうです。次に近いのがYAMADA女流チャレンジ杯のベスト4、先頃五番勝負が終わったマイナビ女子オープンの予選は夏ですね。
 逆に言うとこれらを逃せば、かなり厳しくなります。「2年間で参加公式棋戦数の4分の3以上の勝星を得る」を満たす以外になくなりますが、具体的に計算すると、

参加公式棋戦数は7なので、2年間では14。その4分の3以上なので11。

 藤井さんは現在通算4勝しているので、あと7勝が必要です。トーナメントは負けたら終わりなので、1棋戦でも敗退すればそれだけチャンスがなくなってしまいます。

 しかし間違いなく実力はある人ですから、この厳しさも乗り越えてくれるのではないでしょうか。そしていずれは女流棋界にも藤井あり、をアピールしていただきたいところです。

伊奈川愛菓女流初段、復帰後負け知らずの4連勝!

 本日はマイナビ女子オープン五番勝負の第4局があり、西山朋佳三段が加藤桃子女王を破り、念願の初タイトルを手にしました。
 しかし女流棋界にはもうひとつ、見逃せないニュースがありました。

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 当ブログでたびたび取り上げている伊奈川愛菓女流初段が、先日の倉敷藤花戦2回戦で貞升南女流初段に勝利していたのです。
 これで復帰後は負け知らずの4連勝、本当に驚きです。とても2年間のブランクがあったとは思えません。この快進撃はどこまで続くのでしょうか?

 それでは伊奈川さんの今後の予定をまとめてみましょう。

マイナビ女子オープン:予選の組み合わせ発表待ち
女流王座戦二次予選進出、次は山口恵梨子女流二段と対戦
女流名人戦:復帰前に予選が始まったため、今期は未出場
女流王位戦:予選の組み合わせ発表待ち
女流王将戦:復帰前に予選が始まったため、今期は未出場
倉敷藤花戦3回戦進出、次は藤井奈々女流3級と対戦
YAMADA女流チャレンジ杯1回戦で高浜愛子女流2級と対戦

 大一番はやはり女流王座戦でしょうか。山口恵梨子女流二段はイベントに聞き手に引っ張りだこの、女流棋士の中でも特に人気の人ですが、将棋のほうは「攻める大和撫子」と称されるほどの強烈な攻めで評判です。
 女流棋戦は予選だとなかなか中継されないのですが、この一番はぜひともモバイル中継で見たいものです。

今年度も好調! 大橋貴洸四段の躍進

 以前に書いた大橋貴洸四段の記事、数ある記事の中でもよく読まれています。やはり人気の若手棋士のことを知りたい人は多いようですね。

araishogi.hatenablog.com

 今年度に入ってからも、大橋四段は好調をキープしています。各ランキングは以下のとおりです。※2018年5月22日対局分まで(未放映のテレビ対局を除く)

  • 6勝2敗
  • 対局数ランキング:同率3位
  • 勝数ランキング:同率3位
  • 連勝ランキング:同率3位

 棋戦別に見ると、竜王戦6組ランキング戦の決勝進出が光ります。5組への昇級を決め、あと1つ勝てば挑戦者決定トーナメント進出です。
 そして先日発表された超早指し棋戦「AbemaTVトーナメント Inspired by 羽生善治」の出場者に選ばれています。

 シード棋士以外の出場者は、すべて勢いのある若手や中堅です。大橋四段が選ばれたのも納得ですね。どんな色のスーツを着るのか、今からワクワクです。

 さらに現在、棋書の執筆にも取りかかっているようです。

 対局に執筆に、ますます忙しくなりそうな大橋四段。明日も王将戦一次予選で対局があり、モバイル中継もされます。しっかりチェックしましょう!

目からウロコ! 0手詰の詰将棋

 昨晩、宮本広志五段がこんなをツイートをされていました。

 0手詰! お前はもう詰んでいる、と思わず言いたくなってしまいます。

 3手詰、1手詰といったきわめて短手数の詰将棋本が人気になったのは、比較的最近のことです。 
 そこで提唱された0手詰。これは目からウロコではないでしょうか。そもそも初心者は、どういう形が詰んでいるのかよくわからないのだと思います。0手詰の本がもし出たら、きっと今までにないものだと評判になるはず! というかどこか、宮本五段にオファーを出すべきでしょう!

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 出たとしたら、とりあえず第1問目はこれですかね?

藤井聡太推薦!  将棋が強くなる実戦1手詰

藤井聡太推薦! 将棋が強くなる実戦1手詰

 

またひとつ将棋漫画が誕生! 『リボーンの棋士』

 先週、週刊少年ジャンプで『紅葉の棋節』という将棋漫画がスタートしましたが、青年誌のほうでもこんな作品が。

 週刊ビッグコミックスピリッツで連載開始する『リボーンの棋士』。まったく事前情報はキャッチしていなかったので驚きました。作者は鍋倉夫さん。どうやらデビューしてからそう経っていない若手作家のようです。
 そして監修は鈴木肇さん。元奨励会三段のアマチュア強豪で、最近新聞でも取り上げられましたね。

www.sankei.com

 掲載誌のカラーからすると、骨太の人間ドラマが展開されそうです。それにしても、いろんな雑誌で将棋漫画が連載されるというのは本当に喜ばしいかぎり。

藤井聡太七段誕生! そして九段への最短ルートは?

 つい先ほど、藤井聡太六段が竜王戦5組ランキング戦準決勝において船江恒平六段に勝ち、七段昇段を決めました。

 ↓の記事を書いたのは1月だったのですが、本当にここで想定したとおりの展開になってしまいました。とんでもなさすぎる!

araishogi.hatenablog.com

 さて、彼の昇段には多くの人が興味津々のようで、今日はこの記事のアクセスも増えていました。

araishogi.hatenablog.com

 執筆時点から状況が少し変わっているので、整理しましょう。
 九段になるための最短ルートである「タイトル3期獲得」ですが、王座戦と竜王戦は勝ち残っているのですが、3つめの王将戦は、すでに敗退しています。
 しかし王将戦七番勝負とほぼ同時期に開催される棋王戦五番勝負があります。藤井七段は現在、この棋王戦の予選決勝まで勝ち残っています。

 つまり「藤井聡太九段が誕生するとしたら最短でいつか?」の答えは、ほとんど変わっておらず、来年の春あたりということになります。 

藤井聡太全局集 平成28・29年度版

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頂へ 藤井聡太を生んだもの

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藤井聡太語録 言葉から紐解く若き天才の思考術 (DIA Collection)

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藤井聡太 新たなる伝説 (別冊宝島 2613)

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